円高にブレーキ 日銀利上げは見通し不良? 雇用統計で再加速も
ドル円相場は150円前後で推移し、3日につけた148円台から円安に戻した。日銀の利上げ見通しの揺れが背景にあるが、円高の流れも根強い。
ドル円相場での円高にブレーキがかかった。5日のニューヨーク市場の終値は1ドル=150.10円。韓国政治の混乱が材料視された3日につけた148円台から円安方向に動いている。金融市場では日本銀行の18、19日の金融政策決定会合での利上げ見通しが揺れており、円高の勢いがそがれているようだ。ただしこのところの値動きは投資家の思惑に左右されている側面もあり、円高方向の流れも根強い。アメリカで6日に発表される11月雇用統計の結果次第では、ドル円相場の今後の見通しがさらに円高方向に振れることも考えられる。
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ドル円相場は150円前後で推移 韓国混乱時の148円台から円安に
ドル円相場(USD/JPY)は6日午前の東京市場では1ドル=150円前後で取引されている。ブルームーバーグによると、ドル円相場は3日に一時、148.65円をつけ、10月11日(148.41円)以来の円高水準を記録。その後は円が買い戻される展開となっている。3日の円高は韓国で尹錫悦大統領が「非常戒厳」を宣言し、有事への警戒が強まったことが要因だったが、非常戒厳は現地時間の4日未明には韓国国会の決議を経て解除されている。
日銀の利上げ確率は一時低下 植田和男総裁は利上げ時期接近を示唆
また、円高にブレーキがかかった背景には日銀の12月利上げの見通しが揺れていることもありそうだ。ブルームバーグによると、12月利上げについて投資家の動向から算出される確率は日本時間5日には21%程度まで下がる場面があった。金融市場では11月29日発表の東京都区部の11月消費者物価指数(CPI)の速報値が市場予想を超えたことを受けて利上げ確率が69%程度まで上がる場面もあったが、様相が大きく変化した。
ただし、利上げ確率の低下は長くは続いておらず、6日午前11時段階では61%程度まで戻っている。確率低下は4日午前に日銀内で早期利上げを避けるべきだとの意見が強まっていると一部で報じられたことが要因だとされており、市場の過剰反応だった側面がありそうだ。日本銀行の植田和男総裁は11月30日未明に公開された日本経済新聞のインタビューで、利上げ時期が近づいているとの認識を示している。
また、円高の背景となっている日本と米国の長期金利(10年物国債利回り)の縮小傾向も続いている。ブルームバーグによると、日米金利差は5日の終値段階で3.113%ポイントとなっており、10月16日(3.066%ポイント)以来の低さとなった。
アメリカの労働市場の不安再燃も 雇用統計では就業者数が大幅に伸びる見通し
こうした中、ドル円相場の今後の見通しは米国の経済指標で左右されそうだ。米労働省が5日に発表した11月24-30日の新規失業保険申請件数は22.4万件で、ブルームバーグがまとめた市場予想の21.5万件を上回った。申請件数はハリケーン被害の影響があった10月初めに26万件(改定値)まで増えた後、落ち着きをみせていたが、労働市場の悪化への懸念が再燃する可能性もある。
米労働省が6日午前8時30分(日本時間6日午後10時30分)に発表する11月雇用統計は非農業部門の就業者数が前月から大きく伸びるとともに、失業率は4.1%で横ばいになると予想されている。結果が下振れるなどした場合には、米国経済の見通しへの不安がドル安要因となって、ドル円相場が円高方向に振れることも考えられそうだ。
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