米国株に年末ラリー期待 S&P500が4連騰 雇用統計見通しは?
S&P500は4日連続で最高値更新。エヌビディアなどの躍進が続き、年末ラリーに期待が高まる。ただし6日の雇用統計が波乱を招くリスクもある。
アメリカの株式市場に年末ラリーへの期待が高まってきた。S&P500種株価指数の4日の終値は4日連続で最高値を更新。半導体大手NVIDIA(エヌビディア)などの大手ハイテク株もこの4日間で7%超の値上がりをみせている。4日の上昇は米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長が米国経済の堅調さに自信を示し、株式市場に安心感が広がったことが要因だ。ただ、パウエル氏の強気は利下げペースの減速を予感させるうえ、値上がりが続くS&P500に割高感が増しているという不安材料もある。さらに6日に発表される11月雇用統計がショックになる可能性もぬぐえず、S&P500の今後の見通しが下振れることも考えらえる。
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アメリカのS&P500は4日連続で最高値 年末に向けて見通しに明るさ
S&P500(SPX)の4日の終値は前週末比0.61%高の6086.49。サンクスギビングデーの休日明けの11月29日から4日連続で最高値を更新した。S&P500は休日前日の27日こそ値下がりしたが、18日から26日にかけては7日続伸を記録しており、年末に向けた見通しが明るくなっている。
パウエル氏は米国経済の見通しに自信 FRBの利下げペースは減速か
4日の値上がりの背景にはパウエル氏の発言が好感されたことがある。パウエル氏はニューヨーク市での経済イベントに登壇し、足元の米国経済について「9月段階での想定よりも強い」と発言。株式市場では、FRBが利下げを始めた9月段階から、米国経済の見通しに対する不安が高まっていないとして株高の材料ととらえられた。
一方、パウエル氏の景気に強気な見方はFRBの利下げペースが緩やかになることを予感させる。パウエル氏は4日に、景気を冷やすことも過熱させることもない「中立金利」の水準を慎重に探っていくとも言及した。CMEグループのデータによると、12月17、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げについて投資家の動向から算出される確率は日本時間5日午前11時の段階で74%と高い。しかし2025年の利下げ回数については2回に留まるとの見通しが有力だ。
S&P500には割高感も 投資家心理を重くする可能性
また、S&P500は値上がりの結果、割高感も再燃してきた。ブルームバーグによると、S&P500の水準と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は4日段階で23倍程度となっており、上昇傾向が出ている。2020年以降の平均は20.6倍程度なだけに、投資家心理の重荷になる可能性もある。
11月雇用統計は就業者数が21.5万人増の見通し 波乱を呼ぶ可能性も
こうした中、株式市場の注目は米労働省が6日午前8時30分(日本時間6日午後10時30分)に発表する11月雇用統計に集まる。ブルームバーグがまとめた市場予想では、非農業部門の就業者数は前月比21.5万人増、失業率は4.1%、平均時給の伸び率は前年同月比3.9%となる見通しだ。10月はハリケーンやストライキの影響で就業者の伸びが1.2万人増という極端に少ない数字だっただけに、11月のデータは米国経済の実態を見極めるための重要性が高い。
雇用統計は8月2日に7月分のデータが発表された際、市場予想を大きく下回る結果が投資家の不安を招き、S&P500の急落や円高につながり、日経平均株価にまで影響が及んだことがある。雇用統計はブレの大きさでも知られるだけに、11月のデータにはS&P500の今後の見通しに対する楽観を急変させるリスクもはらんでいそうだ。
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