日経平均、歴史的乱高下 4週続落で見通し悪化 半導体株に衝撃余韻
日経平均株価は歴史的乱高下の末、週次で884円安。半導体株には好材料もあったが、2024年の値上がり分の多くを失っており、見通しが悪化している。
日経平均株価が大混乱の余波にさらされている。日経平均の9日の終値は1週間前比で884円安。1週間のうちに史上最悪の下げ幅と史上最高の上げ幅を記録する歴史的な乱高下を経たうえで、4週連続の値下がりで着地した。日本銀行の利上げ見通しの強まりとアメリカ経済の弱まりへの懸念が急激な円高につながったことが波乱の要因だ。一方、日経平均は週後半の取引では落ち着きを取り戻し、値下がりの結果として割安感も出ている。ただ、これまでの上昇を引っ張ってきた半導体株は2024年に入ってからの値上がり分の多くを吐き出しており、傷口は深い。アメリカの株式市場の見通しにも不安は消えておらず、今後も値動きが荒くなる可能性がある。
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日経平均は週次で884円安 史上最大の乱高下
日経平均(N225)の9日の終値は1週間前比で884.70円安の3万5025.00円。週次での値下がりは4週連続で、2023年1月2-6日週までの4週連続以来、1年7か月ぶりの悪い記録となった。週明け5日には史上最大の下げ幅となる前週末比4451.28円安を記録。しかし翌6日には史上最大の上げ幅となる前日比3217.04円高で大反発するという歴史的な乱高下をみせる局面もあった。
大混乱のきっかけは2日に発表された米国の7月雇用統計で労働市場の弱まりが感じられたこと。7月31日には日本銀行の植田和男総裁が年内の追加利上げも辞さない姿勢を示していたこともあり、ドル円相場(USD/JPY)で急激な円高が進んだ。5日には一時、1ドル=141.66円をつけ、7月3日につけた37年半ぶりの高値(161.99円)から20円以上の円高となった。2023年以降の日経平均上昇の背景になってきた円安基調の劇的な変化は日経平均の見通しを一気に暗くしたといえる。
円高進行にはブレーキ 日経平均の割安感増す
一方、ドル円相場の円高にはブレーキもかかっている。日銀の内田真一副総裁は7日の北海道での講演で、「金融市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と言及。過度な利上げ見通しの折り込みを牽制した。その後、ドル円相場は1ドル=147円程度での値動きが続いた。
また、日経平均の急落の結果、割安感はさらに増している。日経平均プロフィルによると、日経平均の水準と会計年度ベースでの予想収益に基づいた株価収益率(PER)は9日終値段階で18.85倍。日経平均が史上最大の下落を記録した5日には17.13倍をつけ、2023年4月11日(17.12)以来の低さだった。このため今後の日経平均をめぐっては買い戻しが入る可能性もありそうだ。
半導体株が大きく値下がり 見通しは晴れず
ただ、個別銘柄の値動きをみると、乱高下がもたらした傷口の深さが感じられる。半導体検査装置のアドバンテスト(6857)は週次で8.25%安。半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)や、英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)を子会社にもつソフトバンクグループ(9984)も大幅な値下がりで日経平均の足を引っ張った。このうちソフトバンクグループは7日の2024年4-6月期決算発表に際して自社株買いを発表したが、翌8日の株価は前日比4.10%安。東京エレクトロンは8日の決算発表で2025年3月通期の業績を上方修正したが、翌9日の株価は前日比0.70%高どまりに終わっている。
米国の株式市場でも大手ハイテク株の値下がり傾向が強まっているほか、円高によるキャリートレードの見通し悪化という悪材料も続く。14日発表予定の7月の消費者物価指数(CPI)などの結果を受けてドル円相場が円高に進む場面があれば、日経平均とS&P500がともに下落圧力にさらされる可能性もありそうだ。
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