日経平均、週次3000円上昇 円安追い風 半導体株も見通しに光
日経平均株価は週次で史上最大の上昇。最高値からの大幅値下がり分の6割を回復した。ただし今後も波乱のおそれは残っている。
日経平均株価がようやく急反発を実現した。日経平均の16日の終値は1週間前比で3037円高となり、週次としては史上最大の上げ幅。7月中旬につけた最高値から8月初めまでの大幅値下がり分の6割超を取り戻す水準に到達している。追い風となったのは、ドル円相場で一時、1ドル=149円台まで進んだ円安。半導体株も底値を抜け出しており、見通しに光がさした形だ。ただ、米国経済やドル円相場の先行きの不透明感はぬぐえず、今後も波乱のおそれは残る。
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日経平均株価は週次3037円の上昇 史上最大
日経平均(N225)の16日の終値は3万8062.67円。週次での上昇幅は3037.67円で、史上最大の上げ幅となった。これまでの記録は、日本銀行が新型コロナウイルス禍の混乱の中で、上場投資信託(ETF)の買い入れ額倍増を決めた翌週にあたる2020年3月23-27日週の2836.60円高だった。日経平均は7月11日の最高値(4万2224.02円)から8月5日の安値(3万1458.42円)まで10765.60円下落していたが、16日の終値はこの下落分の61%を取り戻す水準だ。また、週次での上昇率(8.67%)は、2020年4月6-10日週(9.42%)以来の高さで、史上15番目の大きさだった。
日経平均の反発を後押ししたのはドル円相場(USD/JPY)での円安だ。16日の東京市場では1ドル=149.34円をつける場面もあり、前週末(8月9日)の終値から3円近く円安に振れた。アメリカで14日に発表された7月消費者物価指数(CPI)や、15日発表の7月小売売上高と失業保険関連統計がそろって米国経済の堅調さを示す内容だったためで、円を売ってドルを買う動きにつながった。一時は141円台まで進んだ円高が重荷になっていたトヨタ自動車(7203)の株価は16日までの1週間で12.13%高と反発している。
アドバンテストなど半導体株が急回復 見通しに明かるさ
また、米国経済の見通しの改善は投資家心理を上向かせ、日経平均への影響度が大きい値がさ株の買い戻しも進んだ。衣料品大手ファーストリテイリング(9983)の株価は週次10.37%高で、日経平均を403円押し上げ。半導体製造装置の東京エレクトロン(8035)や半導体検査装置のアドバンテスト(6857)も10%を超える上昇で日経平均の上昇に寄与した。このうちアドバンテストは7月10日から8月5日までの大幅下落分の84%を取り戻す急回復。東京エレクトロンは7月11日から8月5日までの下落分の43%を取り戻している。
日経平均の割安感は後退 今後の見通しはFRBの動向が左右か
ただ、日経平均の見通しに差した光がこれからも強くなっていくかは定かではない。日経平均急反発の背景となった株価の割安感は、これまでの値上がりで失われており、今後は継続性が問われる局面となる。日経平均プロフィルによると、日経平均の水準と会計年度ベースでの予想収益から算出される株価収益率(PER)は8月5日段階で17.13倍まで低下していたが、16日終値段階では20.50倍となり、8月1日以来の20倍台となった。
また米国経済の今後の見通しも晴れわたっているわけではない。米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は物価上昇の減速を歓迎する一方で、労働市場の悪化への警戒を強めている。今後も米国で雇用関連の経済指標が発表されるたびに投資家心理が揺れ動く可能性がありそうだ。さらにドル円相場は16日のニューヨーク市場の終値では1ドル=147.58円まで円高方向に戻しており、不安材料といえる。21日公表予定の7月連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨や23日のパウエル氏のスピーチなどでもドル円相場が動き、日経平均の見通しを左右することも考えられる。
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