トヨタ株に下落圧力 決算発表から17%安 円高は業績に悪影響見通し
トヨタ自動車の株価の下落が続いている。投資家は業績見通し維持に不満を抱いているほか、円高進行が業績の足を引っ張る懸念も膨らんでいる。
トヨタ自動車の株価に下落圧力がかかっている。8日の終値は前日比1.98%安。2024年4-6月期決算発表の前日にあたる7月31日からの下落率は約17%に達している。トヨタが決算発表で2025年3月通期の業績見通しを据え置いたことに加え、足元で急進した円高が業績に悪影響を及ぼすことは避けられないとみられているからだ。足元のドル円相場は1年前の7-9月期の実績とほぼ同水準で、今年の7-9月期は円安による営業利益の上積み効果が薄れる公算が出てきた。トヨタが投資家の高い期待に応える難易度はますます上がっていそうだ。
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トヨタ自動車の株価は決算発表から17%下落
トヨタ自動車の株価(7203)の8日の終値は2451円。東京市場の取引時間中に決算を発表した1日に前日比8.48%安となったほか、日経平均株価(N225)が史上最大の下落幅を記録した5日には13.66%安となるなど、大幅な下落が目立っている。日経平均が急反発した6日には12.81%高と反発したが、8日の終値は7月31日比でみれば16.89%安にあたる水準だ。
トヨタ株の下落基調を強めたきっかけは4-6月期決算発表に際して、2025年3月通期の業績見通しを据え置いたことだ。総収入の予想は46兆円、営業利益の予想は4兆3000億円のままとされた。ロイターのまとめでは、決算発表前の金融市場では総収入が前年同期比5.3%増の47兆5000億円程度、営業利益が1.4%減の5兆3000億円程度になるとみられていただけに、失望感につながる発表だった。
また、4-6月期の実績も十分ではなかった。総収入は前年同期比12.2%増の11兆8378億円、営業利益は16.7%増の1兆3084億円という結果。総収入は直前の市場予想の11兆7370億円をわずかに上回ったものの、営業利益は1兆3470億円との見通しを下回った。トヨタが営業利益で市場予想を超えられなかったのは、2022年7-9月期以来7四半期ぶりだ。
7-9月期は円安による上積み効果は減衰の見通し
トヨタは国内販売が6月まで6か月連続の前年同月比マイナスに陥っているほか、海外販売も6月に4か月ぶりの前年同月比割れとなるなど、販売の勢いが欠けている。国内での認証不正問題に加え、ハイブリッド車プリウスで4月にドアの不具合がみつかり、生産ががストップしたことが響いた。
さらにトヨタ株にとって逆風となるのは円高の急進だ。LSEGによると、ドル円相場(USD/JPY)の8月7日のニューヨーク市場での終値は1ドル=146.69円で、1年前の2023年7-9月期の平均値(約145円)とほぼ同じ水準。このままドル円相場が横ばいで推移すれば、2024年7-9月期決算での円安による営業利益の押し上げ効果への期待は薄れる。決算が発表されたばかりの2024年4-6月期はドル円レートが平均156円で推移し、1年前の4-6月期(約137円)よりも19円もの円安水準となった結果、営業利益は3700億円押し上げられていた。
ただ、それでも投資家のトヨタの業績に対する期待は下がりきっていない。ロイターによると、金融市場で見込まれる2025年3月通期の営業利益は8日時点で5兆1460億円となっており、トヨタ自身が据え置いた4兆3000億円を大きく上回り続けている。今後もドル円相場が140円台半ばで推移し、円安効果への期待がしぼんでいけば、株価への下落圧力も強まっていく可能性がある。
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