米国株、上昇にブレーキ S&P500連騰停止 エヌビディア見通し不安
S&P500は27日に8営業日ぶり反落。トランプ氏の政策運営が半導体株の重荷となっている可能性があるが、長期金利の低下は好材料だ。
アメリカの株式市場の上昇にブレーキがかかった。S&P500種株価指数の27日の終値は8営業日ぶりの反落。前日に更新した最高値から後退した。半導体大手NVIDIA(エヌビディア)など大手ハイテク株の下落が足を引っ張ったほか、エヌビディア以外の半導体株も値下がりが続いており、ドナルド・トランプ次期大統領の通商政策をめぐる不安が見通しを悪くしている可能性がある。ただ、米国の長期金利(10年物国債利回り)は約1か月ぶりの低さまで下がっており、米連邦準備制度理事会(FRB)の12月利下げへの期待も維持されている。12月初めに発表される米国の経済指標が好感されれば、S&P500の今後の見通しの明るさが続くことも考えられる。
アメリカのS&P500は8営業日ぶり反落 休日ムードの中で最高値から後退
S&P500(SPX)の27日の終値は前日比0.38%安の5998.74。8営業日ぶりの反落となり、前日につけた最高値(6021.63)から後退した。S&P500は26日までの7連騰で2.57%上昇していたが、ブレーキがかかった形だ。また、米国株式市場は28日はサンクスギビングデーで休場、29日も午後1時までの取引で終わる休日ムードのため、27日の取引量は低調だった。
エヌビディアは決算発表前日から7.94%下落 27日は大手ハイテク株が冴えず
27日のS&P500の下落を主導したのはエヌビディアだ。エヌビディアの株価(NVDA)の27日の終値は前日比1.15%安の135.34ドル。決算発表前日にあたる19日つけた直近の高値(147.01ドル)からの下落率は7.94%となった。エヌビディアは20日の2024年8-10月期決算発表で示した業績見通しが成長ベースの鈍化を感じさせ、株価の下落要因となっている。27日はテスラ(TSLA)が1.58%安、マイクロソフト(MSFT)が1.17%安となるなど、大手ハイテク株の値動きは冴えなかった。
半導体株の不振の背景にはトランプ氏の政策運営への不安がありそうだ。トランプ氏は26日にSNSへの投稿で中国からの輸入品に10%の追加関税を課すと表明。その後、米通商代表部(USTR)代表にジェミソン・グリア氏を指名した。グリア氏は前回のトランプ政権でもUSTR首席補佐官として通商政策に携わっており、今回のトランプ政権でも厳しい中国への交渉姿勢が維持されることを感じさせる人選だ。今後、中国に対する半導体輸出規制強化の見通しが強まるなどすれば、半導体株には下落圧力がかかることも想定される。
長期金利は1か月ぶりの低さに 中小型株に下支え効果
ただ、米国の株式市場には長期金利の低下という明るい動きもある。ブルームバーグによると、27日のニューヨーク債券市場での長期金利の終値は4.264%で、10月29日(4.255%)以来の低さ。金利水準の低下は中小型株を下支えしたもようで、中小型株の代表的な株価指数であるラッセル2000(RUT)の27日の終値は前日比0.08%高となった。
FRBの12月利下げ予想は維持 S&P500の今後は見通しは11月雇用統計などが左右か
また、米国の金融市場ではFRBの12月利下げへの期待も維持されている。CMEグループによると、12月17、18日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間28日午前11時段階で約67%。利下げ確率は51%まで下がる局面もあったが、26日公表の11月FOMCの議事要旨で利下げ見通しが揺らがなかったことが影響した。また、27日に発表された10月の個人消費支出(PCE)物価指数の伸び率は前月よりも高くなったものの市場予想通りの結果で、金融市場では利下げへの期待をつなぐ結果と受け止められたようだ。
こうした中、S&P500の今後の見通しは12月6日発表の11月雇用統計をはじめとする、米国の経済指標で左右されることになりそうだ。米国経済の堅調さが維持されつつ、FRBの利下げが進む構図が意識されれば、S&P500の上昇基調が保たれる可能性が高まりそうだ。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。