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ユーロ高が162円台目前 円安と足並み ECBは6月まで利下げ見通し

ユーロ円相場は162円台目前に到達。円安が主な要因となってユーロ高が進んでいる。一方、ECBは2025年の利下げ継続姿勢を鮮明にしている。

ユーロ高が161円台後半 円安と足並み ECBは6月まで利下げ見通し 出所:Adobe Images

ユーロ円相場がユーロ高に振れている。16日の東京市場では1ユーロ=162円台目前まで到達。約3週間ぶりのユーロ高水準を更新している。ドル円相場での円安と足並みをそろえてユーロ高が進んでいる形だ。一方、欧州中央銀行(ECB)は12日の理事会で政策金利を引き下げ、金融市場では2025年6月まで4会合連続での利下げが見込まれている。しかしユーロの対ドル相場には反発の動きも出ており、こちらもユーロ円相場でのユーロ高要因となった。ただしECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁はユーロ圏経済の先行き不透明感も強調しており、ユーロ円相場の今後の見通しがユーロ安に振れる可能性もぬぐえない。

ユーロ円相場は161円台後半 ドル円相場の円安が影響

ユーロ円相場(EUR/JPY)は日本時間16日午前の取引で一時、1ユーロ=161.99円をつけた。ブルームバーグによると、11月26日(162.01円)以来のユーロ高水準だ。ユーロ円相場は3日に156.18円をつけた後にユーロ高が進み、13日に161円台に到達していた。

ユーロ円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

ユーロ高の主な要因はドル円相場(USD/JPY)での円安だ。ドル円相場は16日午前の取引で1ドル=153.94円をつけ、やはり11月26日(154.49円)以来の円安水準。ドル円相場は日本銀行の利下げ見通しの後退が要因となって、12月に入ってから円安が進んでいる

円、ユーロ、ポンド、豪ドルの対ドルレートの推移のグラフ

ECBは利下げ継続見通し 2025年6月まで4会合連続予想

一方、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)ではユーロ安圧力が意識されてきた。ECBは12日の理事会で3会合連続での利下げを決定。政策金利の下限にあたる中銀預金金利を0.25%引き下げて3.00%とした。経済見通しでは2025年の物価上昇率は年率2.1%とされ、9月段階の見通しから0.1%ポイント引き下げられた。ラガルド氏は記者会見で、「物価上昇率は中期的には2%周辺で持続的に落ち着く」と述べた。

またラガルド氏はアメリカのドナルド・トランプ次期大統領が強調している高関税政策などを念頭に、「世界貿易で大きな摩擦が起きるリスクは、輸出の下押しや世界経済を弱めることでユーロ圏経済の成長の重荷となりえる」とも言及。さらにフランスやドイツの政治的な混乱も踏まえて経済の見通しは不確実性が高いとも話した。今回の理事会では「0.50%幅での利下げの可能性を考慮すること」も提案されたと明かしている。

こうした中で、金融市場ではECBが2025年も利下げを続けるとの見通しが支配的だ。ブルームバーグによると、投資家の動向から想定される6月理事会後の政策金利は、日本時間16日午前の段階で1.933%。1月以降の4回の理事会で毎回、0.25%幅の利下げが行われると見込まれている形だ。

ECBの中立金利は1.75-2.50%か 日銀の金融政策決定会合もユーロ円を左右

ただ、ユーロドル相場はECB理事会があった12日は0.27%のユーロ安に振れたものの、翌13日は0.32%のユーロ高。16日もさらにユーロ高に振れている。ラガルド氏が12日の記者会見で、経済活動を刺激することも冷やすこともない政策金利の中立的な水準について、約1年前にECBスタッフが作成したレポートでは「1.75-2.50%の範囲だった」と言及。中立金利は「さまざまな理由から以前の水準よりも少し高くなっている可能性がある」とも述べたことが、ECBの利下げが現状の見通し以上に進むことはないとの見方につながった可能性がある。

とはいえ、不確実性が高い経済情勢の中で、ユーロ圏経済の減速や物価上昇の下振れが明らかになれば、ECBは政策金利を中立金利よりも低くして景気を刺激する必要に迫れらることになる。また、18、19日に金融政策決定会合を開く日銀の情報発信次第では、ドル円相場が円高に振れる可能性もあり、ユーロ円相場の今後の見通しがユーロ安方向に振れる筋書きも残されている。


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