ユーロ安、再進行も　159円台　2025年のECB利下げ見通しは？

ユーロ円相場でのユーロ安が再燃する可能性が出てきた。日本時間11日の取引は1ユーロ＝159円台後半で推移。このところのユーロ高は一服し、160円を大きく超える動きにはつながっていない。欧州中央銀行（ECB）が12日の理事会で利下げすることが確実視されているうえ、2025年の利下げ継続も見込まれていることが背景だ。ただ、ユーロ円相場の値動きはドル円相場の影響が大きくなっており、日本銀行の利上げの動向にも注目が集まる。ドル円相場で円安が再燃することで、ユーロ円相場の今後の見通しがユーロ高方向に傾く筋書きも残っていそうだ。

ユーロ円相場のユーロ高は160円で頭打ちか　フランス政局なども要因

ユーロ円相場（EUR/JPY）の10日のニューヨーク市場の終値は1ユーロ＝159.97円。ブルームバーグによると、前日比0.40円のユーロ高となった。3日につけた156.18円を起点とすれば、1週間で3.79円程度のユーロ高となっている。

ただ、ユーロの対ドル相場（EUR/USD）は引き続き、ユーロ安見通しが続いている。ブルームバーグによると、ユーロドル相場は10日まで3営業日連続で下落し、合計0.56％のユーロ安。この結果、ユーロ円相場のユーロ高も、1ユーロ＝160円を大きく超える動きには至っていない。フランスでは2025年予算をめぐる対立から4日に内閣不信任が成立し、翌5日にミシェル・バルニエ首相が辞任した。ウクライナ情勢の悪化とあわせ、政局の不安定化もユーロ安要因として意識されている。

ECBは12日の理事会での利下げが確実　2025年の見通しが焦点に

こうした中、金融市場では、ECBが12日の理事会で3会合連続の利下げを決めることが確実視されている。ブルームバーグによると、ECBが0.25％幅の利下げを決めることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間11日午前11時段階で104％。0.50％幅の利下げも視野に入る状況だ。11月29日に発表されたユーロ圏の11月の消費者物価指数（CPI）速報値は、食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率が市場予想を下回っており、利下げ見通しを強める要因となっている。

このため12日の理事会では、2025年の金融政策についてどのような見通しが示されるかが焦点になりそうだ。金融市場ではECBが1月から6月に開かれる4回の理事会すべてで0.25％幅の利下げを決めるシナリオが有力視されている。理事会後の声明文や経済見通し、クリスティーヌ・ラガルド総裁の記者会見で、ユーロ圏経済や物価上昇が弱まっていくとの予想が示された場合には、0.5％幅の利下げの可能性が高まり、ユーロ安圧力として働く可能性もありそうだ。

ドル円相場の円安は一服　再加速ならユーロ円相場のユーロ高要因に

ただ、このところのユーロ円相場はドル円相場（USD/JPY）の影響も大きく受けてきた。ユーロが対ドルで下落しているにも関わらず、ユーロ円相場がユーロ高にふれてきたのは、円の対ドルでの下落がより大きかったためだ。日銀の18、19日の金融政策決定会合での利上げに関する見通しが揺れ動いていることが背景になっている。

ドル円相場は日本時間11日午前の取引では1ドル＝151円台後半で推移しており、152円を節目として円安進行は停止している。とはいえ、日銀の利上げをめぐる思惑が円安を後押しした場合には、ユーロ円相場の今後の見通しがユーロ安に振れる可能性もありそうだ。