ユーロ安、156円台 年初来安値も視野 フランス政局波乱見通しで
ユーロ円相場は2か月半ぶりのユーロ安水準。7月の総選挙後のフランス政治の混乱が背景にある。日銀の利上げ観測を受けた円高も材料になっている。
ユーロ円相場でユーロ安が続いている。日本時間3日の取引では一時、1ユーロ=156円台をつける場面もあり、2週間あまりで5%超のユーロ安が進んだことになる。ユーロ圏経済で2番目の規模を持つフランスで、ミシェル・バルニエ内閣に対する不信任案が提出されたことが経済の見通しを悪くしていることが要因だ。ウクライナ情勢の緊迫や欧州中央銀行(ECB)の利下げ見通しといったユーロ安材料もあるだけに、年初来安値にあたる154円台前半も視野に入ってきた。さらにユーロ円相場には日本銀行の利上げ観測という円高材料も大きく働いているだけに、今後の見通しをめぐってはユーロ安圧力が意識される状況が続く可能性がある。
ユーロ円相場は一時、156.38円 2か月半ぶりのユーロ安水準
ユーロ円相場(EUR/JPY)はニューヨーク時間2日昼(日本時間3日未明)の取引で一時、1ユーロ=156.38円をつけた。ブルームバーグによると、9月17日(156.05円)以来、約2か月半ぶりのユーロ安水準だ。ユーロ円相場は11月15日には165.04円をつけていたが、2週間あまりで8.66円ものユーロ安が進んだことになる。
フランスで内閣不信任案成立も ウクライナ情勢やECB利下げ見通しも要因
ユーロ安の背景にあるのはフランス政局で波乱が起きる見通しの強まりだ。フランスの野党である左派の新人民戦線(NFP)と極右政党の国民連合(RN)は2日にそれぞれ、バルニエ内閣に対する不信任案を提出。ブルームバーグによると、今回の不信任案は2025年度予算案をめぐる対立がきっかけで、早ければ4日にも不信任が成立する可能性があるという。
フランス政治をめぐっては7月7日の下院総選挙の決戦投票で、新人民戦線を中心とする勢力が180議席超、エマニュエル・マクロン氏を支持する中道勢力が160議席超、国民連合などの勢力が140議席超を獲得。マクロン氏が9月に中道勢力のバルニエ氏を首相に選んで内閣が発足したが、不安定な政権運営を強いられていた。ユーロ円相場は決選投票4日後の11日に1ユーロ=175.43円をつけたが、その後はユーロ安傾向が続いている。
ユーロ円相場ではこのところ、ウクライナ情勢の緊迫化がユーロ安材料となってきた。また29日に欧州連合(EU)統計局が発表した11月の消費者物価指数(CPI)の伸び率は、食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数で2.7%となり、ブルームバーグがまとめた市場予想の2.8%を下回った。総合指数の伸び率は市場予想と同じ2.3%だったものの、ECBは物価上昇が鎮静化していくとの見通しに自信を示しており、金融市場ではECBが12日の理事会で3会合連続での利下げを決めることが確実視されている。
日銀の利上げ見通しによる円高もユーロ円相場の値動きの背景に
また、ユーロ円相場の動向には、日銀の利上げ見通しを背景にした円高も影響している。3日のドル円相場(USD/JPY)は1ドル=150円前後で取引されており、11月6日からの4週間で約3%の円高が進んでいる。これに対してユーロの対ドル相場(EUR/USD)は2.3%ほどユーロ安に振れており、ユーロ円相場での円高ユーロ安につながっている形だ。
こうした中、ユーロ円相場の今後の見通しをめぐっては、8月5日につけた、2024年で最大のユーロ安水準である1ユーロ=154.42円も視野に入ってくる可能性がある。フランスの内閣不信任案可決や、日銀の18、19日の金融政策決定会合での利上げがより確実になっていけば、ユーロ安圧力が高まっていくことが考えられそうだ。
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