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ユーロ安加速の可能性も 29日CPI発表 ECB利下げ見通し強固

ユーロ円相場は一時、158円台寸前までユーロ安が進んだ。12月利下げが確実視されるECBと、利上げが見込まれる日銀の差が材料視されている。

ユーロ安加速の可能性も 29日CPI発表 ECB利下げ見通し強固 出所:Adobe Images

ユーロ円相場でユーロ安がじわじわと進んでいる。28日の東京市場の取引は1ユーロ=160円を挟んだ値動きで、前日には159円台前半までユーロ安が進む場面もあった。欧州中央銀行(ECB)の12月利下げが確実視されるユーロ圏と、日本銀行の利上げ見通しが維持されている日本との金融政策の方向性の違いが材料になっている形だ。一方、29日に発表される11月のユーロ圏の消費者物価指数(CPI)の伸び率は10月からの物価上昇加速が見込まれている。ただ、物価上昇率は2025年には2%の目標に向かって下がっていくとも予想されており、11月CPIの結果が想定よりも下振れるなどした場合には、ユーロ円相場の今後の見通しをユーロ安方向に揺らすことが考えられそうだ。

ユーロ円相場は一時159.10円 約2週間で6円近いユーロ安

ユーロ円相場(EUR/JPY)は28日午前の東京市場で1ユーロ=159円台後半で取引された後、160円台をつける場面も出た。ただ、ブルームバーグによると、前日の取引では一時、159.10円までユーロ安が進行。15日には165.04円をつける場面もあったことを考えれば、約2週間で6円近いユーロ安の流れが出たことになる。

ユーロ円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

また、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)はアメリカ大統領選挙があった5日をピークとして下落。ロシアのウラジミール・プーチン大統領が核兵器使用に関する原則を改定した19日以降も、ウクライナ情勢悪化が欧州経済の見通しを暗くするとの懸念がユーロ安材料とされてきた。

円、ユーロ、ポンド、豪ドルの対ドルレートの推移のグラフ

ECBは12月利下げがほぼ確実な見通し 11月CPIは物価上昇の落ち着きを示すか

さらにユーロ安の背景には、ECBが12月理事会で利下げに踏み切ることが確実視されている情勢もある。ブルームバーグによると、ECBが12月12日の理事会で0.25%の利下げを決めることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間28日午後3時の段階で100%に達しており、0.5%幅の利下げも想定される状況だ。一方、日本銀行の金融政策をめぐっては12月18、19日の金融政策決定会合での利上げ確率は60%と見積もられており、ECBと日銀の金融政策の対照的な方向性がユーロ円相場でのユーロ安につながっているといえる。

こうした中、ユーロ円相場の今後の見通しをめぐっては、欧州連合(EU)統計局が29日に発表する11月CPIが注目される。ブルームバーグがまとめた市場予想によると、総合指数の伸び率は前年同月比2.3%で、10月の2.0%よりも大きくなる見通し。また、食品、エネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は2.8%と見込まれ、10月の2.7%から物価上昇がわずかに加速する形だ。

ユーロ圏の消費者物価指数の伸び率と1ECBの政策金利の推移のグラフ

ラガルド総裁は物価上昇の低下に自信 2025年の利下げ幅が大きくなる可能性も

ただ、総合指数の伸び率の拡大は1年前にエネルギー価格が低下していたことの反動の影響があるとみられ、予想通りの結果であれば物価上昇率低下の流れは変わらないとみなされそうだ。ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は2会合連続での利下げを決めた10月17日の理事会後の記者会見で、今後数か月は物価上昇の加速がみられると予想したうえで、「その後、物価上昇率は来年中に目標(2%)に向けて下がっていく」と言及していた。

このため11月CPIの伸び率が見通しに沿った内容だった場合は、上昇率が前月よりも大きくなったとしても金融市場では冷静に受け止められそうだ。また、CPIの伸び率が想定よりも下振れた場合には、ECBの12月利下げがより確実とみなされるとともに、2025年中の利下げ幅が大きくなるとの見通しが強まる可能性がある。この場合は、ユーロ円相場でのユーロ安圧力が強まることが考えられそうだ。


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