米インフレリスクの後退と日銀の政策修正の思惑
12月米CPIでインフレリスクと金融引き締めの長期化に対する懸念が後退。日銀の政策修正の思惑も重なりドル円は128円台へ急落。下値を模索する動きが続く。クロス円も円高優勢の展開に。円相場の展望は?ドル円のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
米インフレリスクの後退と日銀の政策修正の思惑
【サマリー】
・12月の米消費者物価指数(CPI)でインフレの鈍化が鮮明に
・米債市場ではインフレリスクと金融引き締めの長期化に対する懸念が後退
・ドルインデックスは米ドル相場の先安感を示す動き 102ポイントを視野に下落幅が拡大
・ドル円は日銀の政策修正の思惑が重なり128円台へ急落 クロス円でも円高優勢の展開に
インフレリスクと金融引き締めの長期化に対する懸念が後退
12月米CPIと米債市場の反応
米労働省が12日発表した22年12月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で6.5%と伸びが鈍化した。7%を割り込むのは1年1カ月ぶりとなる。
インフレ率は、連邦準備制度理事会(FRB)の物価目標2%程度と比べ依然として高い水準にあるが、12日の米債市場では長期ゾーンを中心に利回りが低下した。
米ドル相場のトレンドに大きな影響を与える10年債利回りは、昨年12月上旬から中旬にかけて利回りの低下を止めた3.4%が視野に入っている。米債市場ではインフレのピークアウトとそれに伴う米利下げペースの鈍化、その先の利下げの可能性を意識する動きが続いている。
米長期金利の動向
外為市場では米ドル安が進行
米金利の低下に連動し、外為市場では米ドル安がさらに進行している。
米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は、昨年6月以来となる102ポイント台まで下落している。
米金利のトレンド転換(上昇トレンド → 低下のトレンド)が鮮明となった昨年の秋以降、ドルインデックスは前日比で1%を超える状況が多く見られる。今後も米金利が低下トレンドを辿る可能性が高いことを考えるならば、今年の米ドル相場は “どこまで下落するのか?” この点が焦点となろう。
ドルインデックスの動向
政策修正の思惑と円高の加速
ドル円は128円台へ急落
昨日の外為市場は米ドル売り優勢の展開となった。対照的に買われたのが日本円だった。
12日早朝の「日銀、大規模緩和の副作用点検へ」(読売新聞)のヘッドラインをきっかけに東京時間から円高の圧力が高まった。12月米CPIによる米ドル売りも重なり、ドル円(USDJPY)は一気に128円台へ急落する局面が見られた
本日の東京時間も米ドル安の流れが続き、一時128.60台まで下落する局面が見られた。
米金利の低下とそれに伴う米ドル売りが今後も続く可能性が高いことを考えるならば、ドル円は下値を模索する状況が続くだろう。
ドル円の下落幅が拡大する場合、「126円前半の攻防が焦点になる」とIG為替レポートで指摘したことがある。22年5月の調整局面で相場をサポートしたこの水準(126円前半レベル)をドル円があっさりと下方ブレイクする場合は、22年高安の76.4%戻し122.56レベルを視野に下落幅の拡大を想定しておきたい。
ドル円の61.8%水準128.17のブレイクは、126円台を目指すシグナルの一つと捉えたい。
一方、ドル円が反発する局面では、昨日あっさりと下方ブレイクした130.00レベルがサポートからレジスタンスへ転換するかどうか?この点に注目したい。この状況が確認される場合も、ドル円が126円台を目指すシグナルと捉えたい。
ドル円のチャート
ドル円の急落に追随しクロス円でも円高
ドル円の急落に追随し、クロス円も総じて円高優勢の展開となった。
今年のクロス円は、「米ドル安vs円高」の構図になることが予想される。
日銀が政策修正に踏み切った昨年12月20日や昨日の相場のように、今年は日銀の政策修正を意識した円買いが続くだろう。米ドル安はクロス円のサポート要因である。しかし、今年はドル円で下落幅の拡大が多く散見されることが予想される。ゆえに米ドル安の局面でクロス円が反発しても、トレンドの軸は円高を想定しておきたい。
円相場の動向:1月12日
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