日銀ショックをひとまず消化する円相場 /ドル円と豪ドル円の注目ポイントは?
日銀の政策修正を受けた円高はひとまず一服している。今後の円相場は金融政策や金利の動きだけでなく、株式の動きにも影響を受けることが予想される。状況が複雑化するなか、ドル円と豪ドル円の動きに注目したい。目先の注目ポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
日銀ショックをひとまず消化する円相場 目先の焦点は?
【サマリー】
・円相場はひとまず「日銀ショック」を消化する局面に
・目先の焦点は黒田総裁の講演と日米金利の動向
・ドル円は戻り高値の水準を見極める局面にある
・米金利の低下と株高が同時に発生する局面では豪ドル円の動きに注目したい
日銀ショックをひとまず消化する円相場
今週前半の外為市場は、市場参加者が少なく方向感のない展開が予想される。
このような状況の中で注目すべきイベントは、26日に日本経済団体連合会審議員会で行われる黒田総裁の講演である。
先週20日の金融政策決定会合では、イールドカーブ・コントロール(YCC)の修正が決定された。一方、国債購入額は月間で7.3兆円から9兆円に増額された。
YCCの修正と量的な面での金融緩和政策の強化で黒田日銀は、歪なイールドカーブの修正を図ってきたと考えることができる。
しかし決定会合直後の円相場は、YCCの修正のみがフォーカスされ円高が進行した。だが、先週後半は決定会合全体の内容を消化したのか、円高の勢いが一服した。
ドル円(USDJPY)は130円ミドルを底に、133円台まで反発する局面が見られた。クロス円もひとまず下げ止まっている。これらの動向を考えるならば、円相場は日銀ショックをひとまず消化する状況にある。
ドル円と主要なクロス円のチャート
黒田総裁の講演と日米金利の動き
短期的に円高の圧力が後退するかどうか?この点を見極める上で、目先は上で述べた26日の日本経済団体連合会審議員会での黒田総裁による講演内容に注目が集まろう。
先週20日の金融政策決定会合後の記者会見で黒田総裁は、YCCの修正について「市場機能の改善をはかる」ためと主張した。日銀のサイトでも「YCCを起点とする金融緩和の効果が、企業金融などを通じて、より円滑に波及」するとしている。
ゆえに経団連の講演で黒田総裁が今後の金融政策について言及する場合は、緩和姿勢の維持を主張すると思われる。円高の圧力が強まっても、市場参加者が少ないことを考えるならば、一時的な現象で終わることが予想される。
今後の円相場の動向、特にドル円(USDJPY)のトレンドを考える上で、日米金利の動きが重要となろう。
海外の投資家は、さらなる政策の修正や緩和政策からの転換を意識した日本国債売りを仕掛けてくる可能性がある。一方、現在の米債市場では、インフレの鈍化や景気減速の懸念により、利回りに低下の圧力が強まりやすい状況にある。
クリスマス休暇明けで海外勢が市場に戻ってくる今週の半ば以降、国内金利の高止まりと米金利の低下が同時に進行すれば、日米利回り格差の縮小によりドル円には下押しの圧力が強まる展開が予想される。
ドル円の下落は、クロス円の上値を抑制する要因である。だが、米金利の低下により株式市場が堅調地合いとなればドル円の下落の影響が相殺され、クロス円の中には上値をトライする動きが見られよう。特にリスク資産(株式)と高い相関関係にある豪ドルは対円(AUDJPY)で堅調地合いが予想される。
日米金利差とドル円の動向
ドル円と豪ドル円の展望
ドル円は戻り高値の水準を見極める局面に
目先のドル円(USDJPY)は、戻り高値の水準を見極めることが焦点となろう。
現状、レジスタンスポイントの候補は3つある。ひとつは134.00レベルである。12月2日の安値133.62レベルを上方ブレイクする場合は、134.00の攻防を想定したい。
ドル円がこの水準(134.00レベル)を難なく突破する場合は、21日線(MA/136.08レベル)と短期レジスタンスラインの攻防が焦点として浮上しよう。これらテクニカルラインの突破にも成功すれば、サポートからレジスタンスへの転換が確認されている138.00レベルを視野に反発相場が続くことが予想される。
一方、ドル円の下落局面では、先週20日の安値130.57レベルの維持が焦点となろう。8月2日の安値130.40レベルの存在も考えるならば、130円ミドルの維持が焦点となろう。
ドル円が130円ミドルをもあっけなくブレイクする場合は、130.00のトライおよびブレイクを警戒したい。
ドル円のチャート
豪ドル円は38.2%戻しと短期サポートラインの攻防が焦点に
今後の円相場は、株式市場の動きも考える必要がある。
その株式市場と高い相関関係にあるのが、豪ドルである。ゆえにクロス円の中でも豪ドル円(AUDJPY)は、株式の動きによって上下に大きく振れる展開が予想される。
株高局面での焦点は、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準89.30レベルの突破である。豪ドル円がこのテクニカルポイントを完全に突破する場合は、半値戻しの水準90.00レベルを視野に反発相場が続く展開を想定しておきたい。
一方、株安局面では豪ドル円の下落を想定しておきたい。このケースでは、短期サポートラインの攻防に注目したい。
豪ドル円が短期サポートラインを下方ブレイクする場合は、87.75レベルの維持が次の焦点として浮上しよう。87.75のブレイクは、日銀ショック時の安値87.00レベルを目指すシグナルと想定しておきたい。
豪ドル円のチャート
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