ドル円の上昇トレンドを支える2つの理由 / ユーロドルの焦点とチャートポイント
ドル円は一気に143円台の攻防へシフト。2つの理由からドル円の上昇トレンドは続くと予想。一方、ユーロドルは下値トライを意識する状況が続く。両通貨ペアで注目しておきたいチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
ドル円の上昇トレンドを支える2つの理由
【サマリー】
・ドル円は一気に143円台の攻防へ
・金融政策スタンスの差による円安の加速
・「米金利の上昇→米ドル高」のトレンドが進行
・ユーロドルの焦点とチャートポイント
・ドル円は一気に143円台の攻防へ
昨日のNY時間にドル円(USDJPY)は143円台へ上昇し、高値143.07を付ける局面が見られた。
そして今日の早朝には、IGレポートで指摘し続けてきたフィボナッチ・プロジェクション100.0%の水準143.42レベルの攻防が見られた。このレジスタンスポイントを一時突破する局面が見られたことを考えるならば、ドル円は今の上昇トレンドを維持することが予想される。
ドル円のチャート
・金融政策スタンスの差による円安の加速
ドル円(USDJPY)が上昇トレンドを維持すると予想する理由は2つある。
ひとつは、金融政策スタンスの差を意識した円安の加速である。
豪準備銀行(RBA)は6日の会合で50bps(ベーシスポイント)の利上げを決定した。政策金利は7年ぶりに2.35%まで引き上げられたが、ロウ総裁は物価の安定を目指し追加の利上げについて示唆した。
今日はカナダ中銀が金融政策会合を開催する。75bpsの大幅利上げを行い政策金利の水準を現行の2.50%から3.25%へ引き上げる予想となっている。
そして明日は、欧州中央銀行(ECB)の理事会が予定されている。カナダ中銀と同じく大幅利上げ(75bps利上げ)の可能性を市場は織り込んでいる。
今月、市場参加者が最も注目する中銀イベントが連邦公開市場委員会(FOMC / 9月20~21日開催)である。連邦準備制度理事会(FRB)が3会合連続で75bpsの利上げを行う確率が、再び70%台へ上昇している(FEDウォッチ)。
これら海外の主要中銀の金融引き締めスタンスとは対照的に、日銀は金融緩和政策から脱却できずにいる。これまで見られた「株安→円高」のパターンが完全に崩れていることも考えるならば、外為市場では国内外の金融政策スタンスの差を強く意識する展開が予想される。
なお、先月26日にパウエルFRB議長がジャクソンホール会議で講演を行って以降、外為市場では主要国の通貨に対して円安優勢の展開となっている。
円相場のパフォーマンス
・「米金利の上昇→米ドル高」のトレンドが進行
ドル円(USDJPY)が上昇トレンドを維持すると予想するもう一つの理由は、米金利が上昇基調を維持していることにある。
パウエルFRBや各国中銀の金融引き締めスタンスが意識され、2年債利回りは3.5%付近で高止まりの状況が続いている。
一方、長期金利は6月下旬以来となる3.3%台の水準へ上昇してきた。長期金利について米債市場の参加者が注視するのは、6月14日にトライした3.5%の攻防である。この水準では米債価格の値ごろ感が意識されやすく買戻しが入る(金利が低下する)との見方がある。しかし、今月から量的引き締め(QT)のペースが加速(月額最大475億ドル→月額最大950億ドルに加速)すること、そしてインフレに対するパウエルFRBの警戒レベルの高さも考えるならば、9月のFOMCに向けて米金利の上昇基調が続き、長期金利は3.5%の水準を突破する可能性がある。
パウエルFRBのタカ派スタンスとそれを受けた米金利の上昇基調は、米ドル相場の押し上げ要因となっている。この点については、6日のIGレポートで指摘したとおり米ドル相場の大まかなトレンドを示すドルインデック(DXY)の上昇が示している。また、先月26日にパウエルFRB議長がジャクソンホール会議で講演を行って以降、外為市場では主要国の通貨に対して米ドル高優勢の展開となっている。
米ドル相場のパフォーマンス
ユーロドルの焦点とチャートポイント
・0.99の下方ブレイク
対円で米ドル高が加速する一方、対ユーロでの米ドル高は限定的となっている。
明日の理事会でECBは大幅利上げ(75bpsの利上げ)を決定する可能性がある。この期待がユーロドル(EURUSD)のサポート要因になっていると思われる。
しかし、日足チャートでトレンドを確認すると、ユーロドルの下落トレンドが続いていることがわかる。ローソク足の実体ベースではかろうじてサポートポイント0.99レベルでの攻防が続いているが、相場の戻りは限定的であり、かつ日足のローソク足では上ヒゲが何度も示現している。これらの状況を考えるならば、今のユーロドルは0.99以下の攻防へシフトする展開を常に想定しておきたい。
・0.9860と0.9700
ユーロドル(EURUSD)が0.99以下の攻防となる場合、最初に注目しておきたいチャートポイントが、フィボナッチ・プロジェクション76.4%の水準0.9862レベルである。この点はIGレポートで何度か指摘してきた。昨日は安値0.9863レベルで相場が反発した。この動きは、フィボナッチ・プロジェクションの説明力がそれなりに高いことを示唆している。
ECBの大幅利上げ期待を受けて先週からユーロを買う動きが見られたが、9月のFOMCではパウエルFRBが大幅利上げに踏み切る可能性が意識されている。米欧の金融引き締めペースの差は、今後も外為市場で意識されるだろう。
また、ロシアーウクライナ紛争がユーロ圏経済に及ぼす悪影響や、エネルギー資源を保有しかつ生産できる米国とそれらができない欧州、という構図もユーロ売り要因である。
よって、ユーロドルは0.9862の下方ブレイクを想定しておきたい。実際にこの展開(0.9862を下方ブレイクする展開)となる場合、次の焦点は0.9700のトライおよびブレイクである。
ユーロドルのチャート
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