ユーロ円8年4か月ぶり高値も 背景に厳しい物価高 3月も過去最高見通し
ユーロ圏は3月もCPIコア指数の伸びが過去最高になる見通し。ECBは5月も利上げが有力で、ユーロ円は8年4か月ぶり高値が近づく。
ユーロ圏での物価上昇が右肩上がりになっている。消費者物価のコア指数の伸び率は過去最高の更新が相次いでおり、19日発表の3月のデータでもさらに拡大する見通し。米国でも物価上昇が課題となっているが、コア指数の伸び率のピークは昨年秋に過ぎており、ユーロ圏の問題の根深さがうかがえる。欧州中央銀行(ECB)は3月に金融システム不安の中でも0.5%の利上げを断行するなど、物価上昇への警戒感が強い。ユーロの対円相場はユーロ圏金利の先高観や日本銀行の金融緩和が今後も継続するとの見方から、8年4か月ぶりの高値が視野に入っている。
ユーロ圏の3月の物価上昇率はコアで5.7%の見通し
欧州連合(EU)統計局によると、ユーロ圏の消費者物価指数の伸び率は2月、食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数で前年同月比5.6%だった。ロイター通信がまとめるエコノミスト調査によると、3月の数字は5.7%に達すると予想されている。3月31日にEU統計局が発表した3月の推計値も5.7%だった。
EU統計局によると、ユーロ圏のコア指数の伸び率は、今回の物価上昇が始まるまでは2002年前半につけた2.5%が最高だった。この数字は2021年11月(2.6%)に突破済みで、その後も毎月のように過去最高が更新される状況が続いている。
一方、米国でも物価上昇が問題になっているが、消費者物価指数のコア指数(食品とエネルギーを除く)はユーロ圏とは異なる傾向だ。米国の3月のコア指数の伸び率は5.6%で、高水準ではあるものの2022年9月につけた6.6%からは落ち着いている。過去最高状態が続くユーロ圏の物価上昇の根強さが際立つ。
こうした中、ECBは物価上昇を抑え込むための利上げを続けてきた。ユーロ圏の経済状況は国によって大きく異なり、バルト3国やスロバキアなどでは2月のコア指数の伸び率が10%を超えるなど、状況はより深刻だ。ECBは0.5%利上げを決めた3月16日の理事会後の声明で「物価上昇率は極めて高い状態が極めて長く続くと予想される」と強調。米国発の金融システム不安がクレディ・スイスの経営問題として欧州に波及する中でも、物価上昇との闘いを重視する姿勢を示していた。
ECBは5月に利上げの見通し
ECBの利上げはユーロ相場にも影響している。17日のユーロ円相場(チャート)は1ユーロ=147円台半ばまで上がっており、2022年10月下旬以来の高さ。ECBは5月4日の理事会で0.25%か0.5%の利上げを行うと予想されている一方、日銀の植田和男総裁は4月10日の就任記者会見で「前体制からの大規模緩和を現状では継続する」と述べ、イールド・カーブ・コントロール(YCC)が早期に修正されるとの観測が改めて後退した。この結果、日欧の金利差が拡大するとの見方が浸透しているようだ。
金融情報会社リフィニティブのデータによると、1ユーロ=148.40円を超えると、2014年12月中旬以来の円安ユーロ高水準となる。ユーロ圏の物価動向とECBの金融政策の先行きは、今後のユーロ相場に大きな影響を与えそうだ。
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