ECB、利上げ見送り確実視 ラガルド氏は利下げに言及? ユーロ安も
ECBは14日の理事会での利上げ見送りが濃厚。ラガルド氏が記者会見で利下げをめぐるトーンを変化させるかが注目点だ。
欧州中央銀行(ECB)は14日の理事会での利上げ見送りが確実視されている。ユーロ圏の物価上昇率は2%台まで下がっており、ECBが10月の理事会に続いて政策金利を据え置く可能性が高い。ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は10月段階では利下げへの言及をかたくなに避けてみせたものの、金融市場ではすでに2024年早々にもECBが利下げに踏み切るとの観測も浮上している。ラガルド氏が理事会後の記者会見で利下げに関するトーンを変化させれば、日本銀行の金融政策の先行きをめぐる思惑もあって、ユーロ安が進む可能性がありそうだ。
ECBは14日の理事会で利上げ見送りへ
ECBは日本時間の14日午後10時15分に理事会の結果を発表する。ロイターがまとめたエコノミスト調査では、90人全員が政策金利の据え置きを予想。金融市場の動向から算出される利上げ見送りの確率は、日本時間12日夕方の段階で約96%に達している。0.25%利下げの確率も約5%あるとみられている。
ECBの利上げ見送りが確実視される背景にはユーロ圏の物価上昇の沈静化が進んでいることがある。11月30日に発表された11月の消費者物価指数(CPI)速報値は総合指数の伸び率が前年同期比2.4%となり、10月の2.9%や、事前予想の2.7%を下回った。エネルギー、食品、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は3.6%で、こちらも10月(4.2%)や事前予想(3.9%)を下回っている。
ラガルド氏は10月時点では利下げの議論すら否定
物価上昇の減速傾向を背景に、ECBはすでに10月26日の理事会で11会合ぶりの利上げ見送りを決定。政策金利の下限にあたる中銀預金金利を4.00%に据え置くなどした。この際、ラガルド氏は「基調的な物価上昇に関するほとんどの指標が弱まり続けている」と述べた。
一方、ラガルド氏は10月の記者会見では利下げへの言及は厳重に避けていた。「利下げはまったく議論されていない」「利下げについて議論することさえ全くもって時期尚早だ」と繰り返し、今後も利上げの可能性が残されているとの立場を強調した。ただ、金融市場では、この記者会見の後で発表された10月と11月のCPIを受け、すでに2024年1月の理事会での利下げも視野に入っている。今回の理事会後のラガルド氏の会見で、利下げを否定するトーンが弱まれば、ユーロ円相場(EUR/JPY)ではユーロ安の動きが進む可能性がある。
日本銀行発の円高材料も
また、ユーロ円相場ではこのところ、日銀の金融政策変更の可能性を材料にした円高ユーロ安も進んでいる。植田和男総裁が「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と述べた7日には、ユーロ円相場は一時、1ユーロ=153.22円をつけた。11月27日に163.71円をつけていたことを考えれば、1週間強で10円超の円高ユーロ安が進んだ形となった。ECB理事会後の値動きは、日銀の金融政策の先行きに関する思惑でも左右されそうだ。
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