ECBの利下げは6月か ラガルド氏言及 ユーロ高は円買いで帳消し
ユーロ円相場ではECBのラガルド総裁の記者会見後にユーロ高が進行。一方、日銀の動向への思惑から円高の流れも出ている。
欧州中央銀行(ECB)の利下げ開始時期が6月になるとの観測が強まっている。クリスティーヌ・ラガルド総裁が7日の理事会後の記者会見で、物価上昇の動向を見極めるために6月まで時間をとることを示唆したためだ。ECBはこの日の理事会では4会合連続で政策金利を維持しており、物価上昇率が2%まで下がる可能性を慎重に判断するとみられる。こうしたラガルド氏の発言を受けて7日のユーロ円相場ではユーロ高が進行。ただ、7日の記者会見前までの取引では日本銀行の金融政策をめぐる思惑から円高が大きく進んでおり、18、19日に金融政策決定会合を開く日銀の動向への注目度も改めて高まってきている。
ラガルドECB総裁「6月にはより多くのことが分かる」
ラガルド氏は7日の記者会見で物価上昇率が2%に到達する見通しについて「十分に確信していない」と述べ、物価上昇の減速を示すさらなるデータが必要だと言及。「4月になれば少し多くのことが分かるようになり、6月になればさらに多くのことが分かるようになる」と話した。ECBはこれに先立つ理事会では政策金利を据え置き、政策金利の下限にあたる中銀預金金利を4.00%で維持するなどした。
一方、ECBは理事会の結果と同時に発表した経済見通しでは、消費者物価指数(CPI)総合指数の伸び率が2024年は2.3%になるとし、12月段階で見込んでいた2.7%から引き下げた。また、2025年の伸び率は2.0%とし、こちらも12月段階の見通し(2.1%)よりも物価上昇の沈静化を見込む形となった。ただ、ラガルド氏はサービス部門の物価上昇の根強さを問題視するなどして、今後も賃上げの動向や企業が賃金上昇分を価格に上乗せするかどうかを見極める必要性を強調している。
ECB理事会後にユーロ円相場ではユーロ高が進行
こうしたECBの情報発信を受けて、ユーロ円相場(EUR/JPY)はユーロ高で反応。ラガルド氏の記者会見後には1ユーロ=162.00円程度での取引が続き、記者会見前の160.60円程度から約1.40円のユーロ高が進んだ。LSEGのデータによると、4月の理事会後に政策金利が現状よりも低くなっていることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間8日正午段階で約11%、6月までの利下げの確率は約90%となっている。1月末には4月利下げの確率が80%を超える局面もあっただけに、利下げ開始時期は後退しているといえる。
日銀のマイナス金利解除をめぐる思惑で円買いの流れも
とはいえ、7日のユーロ円相場は円買い圧力の強まりが値動きに大きく影響した。日本時間7日午前にブルームバーグ通信が、日本政府関係者の一部が日銀が3月か4月にマイナス金利政策を解除することに容認姿勢を示していると報じたことなどから、日本の金利水準が上がるとの思惑が広がったためだ。ユーロ円相場は7日朝に162.80円程度で取引されていたが、ラガルド氏の記者会見までに約2.20円の円高ユーロ安が進んでいた。ドル円相場(USD/JPY)は7日のニューヨーク市場の終値で1ドル=148.03円となり、2月6日(147.94円)以来の円高水準となっている。
日銀の金融政策をめぐっては内田真一副総裁が2月8日の講演で、マイナス金利を解除したとしても緩和的な金融環境が続くことを強調。マイナス金利が解除された場合でもFX市場への影響は限定的との見方が広がり、1ドル=150円前後の円安ドル高が続く要因となっていた。このため7日の報道後の円高進行がどこまで続くかは不透明だが、今後も日銀の動向をめぐる思惑でFX相場が動く局面が出てきそうだ。
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