ECBの利下げ接近? 1月物価低下予想 4月実施観測でユーロ安
ユーロ圏の1月CPIが下振れれば、円高ユーロ安要因に。利下げ観測をけん制するラガルド氏のトーンにも変化が感じられる。
欧州連合(EU)統計局が1日に発表するユーロ圏の1月の消費者物価指数(CPI)は、物価上昇減速が進むと予想されている。結果がさらに下振れれば、欧州中央銀行(ECB)による利下げへの期待を後押ししそうだ。一方、ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は過度な利下げ観測の拡大を抑えこもうと懸命だ。しかし金融市場ではすでに4月の利下げも見込まれているうえ、ラガルド氏自身の発言にもトーンの変化が感じられ、ユーロ円相場はユーロ安方向に動いている。
ユーロ圏の1月の物価上昇率は総合指数で2.8%の予想
EU統計局は日本時間の2月1日午後7時に1月CPIを発表する。ロイターがまとめたエコノミスト調査によると、総合指数の伸び率は前年同月比2.8%となり、12月の2.9%からわずかに低下する見通し。また食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は3.2%となり、やはり12月(3.4%)よりも低くなると見込まれている。
ユーロ圏の物価をめぐっては、12月CPIの総合指数の伸び率が11月の2.4%から大きく上昇した。ただ12月の上昇は、ドイツの暖房費引き下げのための補助金が期限切れになったことの影響が大きいとされ、物価上昇の減速基調は崩れていないとみられている。こうした中で1月CPIでも物価上昇の落ち着きが示されれば、ECBの期待通りの結果だといえ、金融市場での利下げ期待を強めそうだ。
ラガルド氏「物価上昇率は年内を通じてさらに低下」
実際、ECBは25日の理事会で3会合連続での政策金利据え置きを決めた際、今後の物価下落に自信を示している。ラガルド氏は理事会後の記者会見で「物価上昇率は年内を通じてさらに低下していくと見込まれる」と述べ、理由としてエネルギー価格の低下や、供給不足の解消、新型コロナウイルス禍明けの需要拡大の一服、ECBの利上げの効果を挙げた。
一方、ラガルド氏は過度な利下げ観測への警戒感も隠さない。ECBが利下げに踏み切った後で物価が上昇すれば、ECBの信頼が傷つき、今後の金融政策運営が難しくなるからだ。ラガルド氏は25日の記者会見では、「利下げについて議論するのは時期尚早だというのが理事会の一致した考えだ」とも言及。引き続き、新たな経済指標などのデータを踏まえて金融政策を判断してくとの立場を強調した。
金融市場が見込む4月利下げの確率は83%
ただ、金融市場ではECBが4月にも利下げに踏み切るとの見方が強まっている。LSEGのデータによると、ECBの政策金利が4月の理事会後に現状よりも低くなっていることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間30日午後2時段階で約83%に達している。
ラガルド氏自身も17日のブルームバーグ・テレビでのインタビューで、利下げの可能性があることを否定しなかった。12月の理事会後の記者会見では「利下げについては全く議論していない」と明言していただけにトーンの変化が感じられる。ユーロ円相場(EUR/JPY)では1月中旬から円高ユーロ安の流れが出てきており、1月CPIの結果が弱かった場合、さらにユーロ安が進む可能性がありそうだ。
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