ユーロ安が156円台に ECB追加利下げ見通し 失業率上昇懸念も
ユーロ円相場は156円台までユーロ安が進行。ドル円相場での円高に加え、ECBが12日の理事会で利下げを決めるとの見通しが要因だ。
ユーロ円相場でユーロ安が進行している。11日の東京市場は1ユーロ=156円台半ばで推移。9月2日につけた162円台から3%超のユーロ安水準となっている。ドル円相場で円高が進んだことに加え、12日の欧州中央銀行(ECB)理事会で6月以来の追加利下げが見込まれていることが要因だ。ユーロ圏経済をめぐっては物価上昇率が低下すると同時に、失業率上昇への懸念も持ち上がっており、ECBが今後も利下げを進めていくとの見通しが強まることも考えられる。ECB理事会後にクリスティーヌ・ラガルド総裁がどのようなメッセージを発するかによって、さらにユーロ安が進む可能性もありそうだ。
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ユーロ円は一時、156.20円 円高とユーロ安が同時進行
ユーロ円相場(EUR/JPY)の10日のニューヨーク市場の終値は1ユーロ=156.95円。2日の高値(162.88円)との比較では3.6%のユーロ安水準となっている。この間、ドル円相場(USD/JPY)では1ドル=147円台から142円台まで3%超の円高が進行。同時にユーロの対ドル相場(EUR/USD)では0.5%程度のユーロ安が進んだ。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ見通しの強まりが円高につながる一方で、ユーロへの買いは進まなかった形だ。ユーロ円相場は11日の東京市場でも156.20円をつける場面があった。
ECBは12日の理事会で0.25%利下げの見通し
ユーロ安の背景にはECBが中央欧州時間の12日午後2時15分(日本時間12日午後9時15分)に結果を発表する理事会で、追加利下げに踏み切るとの観測がある。LSEGのデータによると、ECBが政策金利の下限である中銀預金金利を0.25%下げることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間11日午前11時30分現在で97%。0.5%幅の利下げについても3%の確率が見積もられている。さらに中銀預金金利は12月の理事会後には3.03%程度になるとみられており、現状の水準(3.75%)を踏まえれば、年内にさらなる利下げが見込まれているようだ。
ユーロ圏経済をめぐっては8月30日に発表された8月の消費者物価指数(CPI)の伸び率が総合指数で2.2%まで下がり、2021年7月(2.2%)以来3年1か月ぶりの低さとなった。食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率も2.8%まで低下している。ECBのラガルド総裁は7月の理事会後の記者会見で「ユーロ圏内の物価上昇圧力は強い」としていたが、物価の見通しに対する不安が和らいだといえる。
ユーロ圏では失業率上昇の懸念も ドイツは3.7%
一方、ユーロ圏内では失業率の上昇という悪いニュースも出てきた。欧州連合(EU)統計局のデータによると、ユーロ加盟20か国のうち12か国は7月の失業率が6月よりも高くなった。なかでもユーロ圏で最大の経済規模があるドイツの7月の失業率は3.7%で、2023年12月の2.9%から大きく上昇している。一方、ユーロ圏全体としての7月の失業率は6.3%で2月の6.9%からの低下が感じられるが、今後、各国の労働市場の見通しが悪くなっていけば、ECBはさらに急ピッチでの利下げを迫られる可能性もある。
こうした中、ユーロ円相場の今後の見通しをめぐっては、ラガルド氏が12日の理事会後の記者会見で、ユーロ圏経済の現状についてどのような判断を示すかが焦点になりそうだ。物価上昇鎮静化への自信を示したり、労働市場悪化への懸念の強まりを感じさせたりした場合には、ECBの利下げ見通しが深まり、ユーロ円相場でユーロ安圧力が強まることも考えられる。また、アメリカで11日に発表される8月CPIもドル円相場を左右して、ユーロ円相場に影響を及ぼすことになる。
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