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円安圧力衰えず ECBは18日利下げ見送り予想 ユーロ高圧力か

ユーロ円相場は11日の急落後、円安方向への値動きが続く。ECBの利下げ見送りの公算と、日銀の利上げ期待の後退が影響していそうだ。

円安圧力衰えず ECBは18日利下げ見送り予想 ユーロ高圧力か 出所:Adobe Images

ユーロ円相場での円安ユーロ高圧力が衰えていない。17日の東京市場のユーロ円相場は1ユーロ=172円台で推移。11日には史上最高値からの急落をみせる局面もあったが、改めてユーロ高方向に進んでいる。背景にあるのは、欧州中央銀行(ECB)が18日の理事会で利下げを見送るとの公算。同時に、日本銀行の利上げへの期待は後退気味で、やはりユーロ高圧力として働いているようだ。ただ、ECBの金融政策が利下げ方向にあることに変わりはなく、中期的にはユーロ安の流れが続くことも考えられる。

円安はユーロ円相場でも徐々に進行 172円台後半に 

17日のユーロ円相場(EUR/JPY)は正午現在で1ユーロ=172.75円程度で推移している。11日には史上最高値(175.42円)をつけた後、一気に171円台半ばまでユーロ安が進んだが、その後は徐々にユーロが買い戻されている形だ。相場が急変した11日は日本政府の為替介入があったとみられ、ドル円相場では1ドル=161円台後半から157円台前半までの急激な円高が進んでいた

ユーロ円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

ECBは18日の理事会での利下げ見送りが濃厚

為替介入とみられる値動きの後にユーロが買い戻されている背景には、ECBが18日の理事会で利下げを見送るとの見通しがありそうだ。LSEGのデータによると、18日の利下げ見送りについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間17日正午段階で約96%に達している。ECBが6月6日の理事会で4年9か月ぶりの利下げを決めた際、クリスティーヌ・ラガルド総裁は、追加利下げの可能性についての言及を避けていた

また、日銀の金融政策をめぐっては、7月30、31日の金融政策決定会合での利上げ見通しは後退している。LSEGによると、金融市場では0.1%幅の利上げの確率は40%程度とみられており、6月下旬につけた66%よりも低くなっている。為替介入とみられる値動きでドル円相場での円安が一服したことが、日銀が円安阻止のために利上げに動く必要性を薄れさせた側面が影響していそうだ。

ユーロは対ドルでも上昇 FRBの利下げ見通しも影響

こうしたECBと日銀の金融政策の流れは、ユーロと円の対ドル相場の値動きに表れている。ユーロの対ドル相場(EUR/USD)はECBの利下げ見送りが濃厚となる中で、ユーロ高が進行。直近の4週間では、1.9%程度のユーロ高となっている。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待が高まっていることも、ユーロ高の背景だ。一方、円の対ドルレートでは、やはり円安傾向が根強い。直近4週間では、為替介入とみられる値動きにも関わらず、0.3%の円高にとどまる。

ユーロと円の対ドルレートの推移のグラフ

ECBの年内利下げは2-3回か 中期的にはユーロ安も

ただ、中期的にみれば、ECBの金融政策が利下げに向かうとの予想が崩れているわけではない。LSEGによると、金融市場ではECBの政策金利の下限にあたる中銀預金金利は12月理事会後には3.17%になるとみられており、現状の3.75%から0.25%幅の利下げが2-3回あると想定されている。今後、ECBとFRBの利下げが同時並行で進んだ場合、ユーロ高はさほど進まないことも考えられる。こうした中で、日銀が「利下げをしない」という特異性が、円高材料として受け止められる可能性もありそうだ。

ユーロ圏経済をめぐっては、7日に総選挙を終えたフランスで首相不在の状況が続いているという不安定要素もある。フランス政治の混乱が長期化していけば、やなり中期的なユーロ安が意識される要因ともいえる。


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