ユーロ高は継続 フランス総選挙で極右伸びず 経済の見通しは悪化か
フランスの総選挙後、ユーロ円相場は高値で推移。議会の勢力拮抗で変化が起こりにくくなったとの見通しが背景にあるが、株価は下落している。
FX市場でのユーロ高が続いている。7日に決選投票が行われたフランスの総選挙は金融市場で不安視されていた極右政党の躍進は起こらず。第1会派となった左派も過半数には届かず、中道派や右派と勢力を分け合う形になった。こうした中、週明け8日のユーロ円相場は1ユーロ=174円台で取引終了。9日もユーロ高が進んでおり、大きな政策変更が起こりにくくなったことが安心材料となっているようだ。ただしフランスの政治の停滞が現実になれば、経済面でも改革は進まなくなる。フランスの代表的な株価指数は8日に下落しており、ユーロ圏でドイツに次ぐ経済規模を誇るフランス経済の見通しは悪くなったといえそうだ。
フランスの総選挙では左派が第1会派に
フランスの公共メディアによると、フランスの下院(定数577)は7日の決選投票の結果、左派の新人民戦線(NFP)が180議席を獲得。次いでエマニュエル・マクロン大統領を支持する中道会派であるアンサンブルが163議席を取った。極右政党の国民連合(RN)は連携勢力を含めても143議席で、第3勢力にとどまった。いずれの勢力も過半数には届かなかった。
RNは6月30日の第1回投票で躍進。第1党になるとの予想も出ていた。しかし危機感を強めたNFPとアンサンブルが反RNの立場からの選挙協力を進め、勝機のない候補者を撤退させて得票の集約を進めたことがRNの勢力拡大を阻んだ形だ。
ユーロ円相場ではユーロ高が進行 174円台で推移
こうした結果を受け、ユーロ円相場(EUR/JPY)の8日のニューヨーク市場の終値は1ユーロ=174.05円で取引を終えた。ユーロ円相場は9日の東京市場でも史上最高値水準である174円台前半で推移している。マクロン氏が6月9日に総選挙実施を発表する前との比較では2.9%程度のユーロ高となっている。
フランスの政治は混迷する見通し 株価は下落
フランス総選挙後のユーロが安定的な値動きをみせた背景には、総選挙の結果、3つの会派の勢力が均衡したことがありそうだ。RNが躍進した場合は移民規制強化や欧州連合(EU)予算への拠出減額などが進み、経済が不安定化するとの懸念があった。またNFPが勢力を伸ばした場合でも、拡大的な財政政策がフランス政府の財政の健全性を大きく損なうとの不安があった。しかし今回の選挙結果は右派と左派の両方が主導権を握れない形で、結果として急激な政策変更が起こりにくくなった側面がある。
ただし今後、マクロン氏が誰を首相に任命するにしても、議会で多数派を形成して政策を遂行することは困難。政治の空転が続けば財政再建も進みにくくなり、投資家心理は冷え込みそうだ。フランスの代表的な株価指数であるCAC40(FCHI)は8日、前週末比0.63%安の7627.45。総選挙決定前の6月7日との比較では4.68%安となっており、値上がりが続くアメリカのS&P500種株価指数(SPX)や、最高値を更新した日本の日経平均株価(N225)との格差は大きい。フランス経済や株価をめぐる見通しは暗くなっているともいえそうだ。
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