ユーロ下落要因になるか フランス総選挙7日決着 極右政党躍進度は?
フランス総選挙は7日に決選投票が行われる。国民連合が大きく躍進すれば政治・経済の混迷は深まり、ユーロ安要因になりそうだ。
ユーロ相場に緊張感が続いている。7日に決選投票が行われるフランスの総選挙で極右政党の国民連合(RN)が躍進する見通しだからだ。国民連合は6月30日の第1回投票後、決選投票を経て第1党になるとの見方が拡大。同時に金融市場では、国民連合は単独過半数には届かないとの判断から、ユーロの対ドル相場でのユーロ安はストップした。とはいえ選挙結果がエマニュエル・マクロン大統領の政権運営を難しくすることは必至。決選投票の結果次第では再びユーロ安が進む可能性もあり、ユーロの対円相場で続く史上最高水準のユーロ高に歯止めがかかることもありえる。
フランス総選挙は極右政党の国民戦線が躍進する見通し
フランスの総選挙は6月30日に第1回の投票が行われた。50%以上の得票率などの条件を満たす候補者がいない選挙区で7月7日に決選投票が行われる。第1回投票の結果や世論調査などをふまえた分析では、マリーヌ・ルペン氏が率いる極右政党の国民連合(RN)は最終的に最大280議席を獲得する見通し。左派政党の新人民戦線(NPF)は120-160議席程度、エマニュエル・マクロン大統領の支持会派である「アンサンブル」は70-100議席程度にとどまる見通しで、国民連合が第1党に躍り出る予想だ。
国民連合は、移民規制強化や欧州連合(EU)予算への拠出減額、マクロン氏が進めた年金支給開始年齢の引き上げを見直すことなどを公約にかかげる。国民連合のフランス政治での影響力が増せば、経済が不安定化するとの見方は多い。6月6-9日の欧州議会選挙で国民連合などの右派がフランス国内で躍進し、マクロン氏が下院の解散・総選挙を決めた際にはユーロがドルに対して売られた。
ユーロの対ドル相場でのユーロ安にはブレーキ
一方、総選挙をめぐっては当初、国民連合が単独過半数にあたる289議席を獲得するとの見方もあった。また、決選投票に向け新人民戦線やアンサンブルの間では候補者を一本化する動きも進んでおり、国民連合の勝利は想定されてきたほどの度合いにはならないともみられている。
こうした中、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)では総選挙決定後に進んだユーロ安はストップ。3日の東京市場では1ユーロ=1.074ドル程度で取引され、総選挙実施決定前の6月7日終値との比較では、0.54%ほどのユーロ安にとどまっている。第1回投票の結果が出るまでは、7日比で1%超値下がりする場面も出ていただけに、フランス経済の混乱への不安は後退したもようだ。
フランスの政治や経済の混乱はユーロ安要因に
ただ、議席数の最終結果に関わらず、総選挙の結果がマクロン氏の不人気ぶりを示すことは避けられない。国民連合が他の右派勢力の協力も得て過半数を確保することも想定され、フランスで初めての極右政党出身の首相が誕生する可能性も残る。こうした場合、フランスの政治や経済の混乱が続くとの見通しがユーロ安要因として働くことになりそうだ。
ユーロ圏経済をめぐっては、2日に発表された6月の消費者物価指数(CPI)で、総合指数の伸び率は前年同月比2.5%増となり、5月の2.6%から減速。一方、食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は5月と同じ2.9%だった。総合指数は市場予想通り、コア指数は市場予想の2.8%を上回った。
フランス総選挙後、史上最高の円安ユーロ高に歯止め?
ロイター通信によると、ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁はポルトガルで開かれているECBの年次総会で2日、ユーロ圏の物価上昇減速は「大きく進展した」と評価しつつ、不確定要素の多い経済の先行きには「大きな疑問符」がついているとした。ECBは6月6日に利下げに踏み切っている。
フランスの政治情勢の混迷は、ユーロ圏経済の見通しをさらに難しくするが、足元のユーロ円相場(EUR/JPY)は史上最高のユーロ高が進行。LSEGによると、3日の東京市場では一時、1ユーロ=173.69円をつけている。ただし、こうした値動きはドル円相場(USD/JPY)での円安進行が主要因で、ユーロの強さが評価されているわけではない。フランス総選挙の最終結果が金融市場を驚かせ、ユーロが売られた場合にはユーロ円相場でもユーロ安が起きる可能性がある。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
IG証券のFXトレード
- 英国No.1 FXプロバイダー*
- 約100種類の通貨ペアをご用意
* 英国内でのCFDまたはレバレッジ・デリバティブ取引(英国でのみ提供)での取引実績において、FX各社をメイン口座、セカンダリー口座として使用している顧客の割合でIGがトップ(Investment Trends UKレバレッジ取引レポート 2022年6月)
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。