ユーロ安が対ドルで進行 フランス総選挙で見通し悪化 ECB利下げも
フランスの総選挙決定は欧州経済の見通しを悪くした。ECBの利下げ決定もあり、ユーロの対ドルでの下落率は円などよりも大きくなっている。
FX市場でユーロ安が進みだした。ユーロの対ドルレートはこの1週間で1%超下落。アメリカの雇用統計が市場予想を超える強さだったことが背景にあるが、ユーロの下落率は円やポンド、豪ドルと比べても大きい。フランスのエマニュエル・マクロン大統領が国民議会(下院)の解散総選挙を決め、経済の見通しが不透明になっていることの影響がありそうだ。また、欧州中央銀行(ECB)が利下げに踏み切ったこともユーロ安要因として働く可能性がある。アメリカで12日まで開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)後、米国の利下げが遠のいたとの見方が広がれば、ユーロ安圧力がさらに強まることも想定される。
ユーロは対ドルで1%超下落 円などよりも大幅な値下がり
LSEGによると、12日のユーロドル(EUR/USD)相場は1ユーロ=1.074ドル程度で推移している。1週間前にあたる5日のニューヨーク市場の終値との比較では1.18%安の水準だ。円やポンド、豪ドルのドルに対する下落率が0.3-0.7%程度であることを考えれば、ユーロにかかる下落圧力が大きいといえる。
ユーロがドルに対して下落している理由の一つが7日に発表された米国の5月雇用統計が予想を超える強さだったこと。7日のユーロドル相場の終値は、円などの3通貨と同様に大きく値下がりした。ユーロの下落率は円よりも大きく、ユーロ円相場(EUR/JPY)でもユーロの下落傾向が出始めている。
欧州議会選挙でEUに懐疑的な右派が躍進
さらにユーロの先行きを不透明にしたのは6-9日に投開票された欧州議会選挙(定数720)での欧州連合(EU)に懐疑的な右派の躍進だ。欧州議会によると、右派の「欧州保守改革(ECR)」はイタリアやポーランドで多くの議席を得て、全体で73議席を獲得。「アイデンティティーと民主主義(ID)」はフランスで躍進し、全体で58議席を獲得した。ロイター通信は「明確な右へのシフトがあった」と報じている。
こうした中、フランスのマクロン氏は9日、下院を解散し、総選挙を行うと発表。ロイター通信によると、マクロン氏は「フランスは明確な多数派を必要としている」と述べ、下院選挙で国民の信を問う考えを示した。下院選挙の第1回投票は6月30日、決算投票は7月7日に行われる。
フランス総選挙の見通しは不透明 マクロン氏敗北も
ただしマクロン氏の決断が政治や経済の安定につながるとは限らない。フランスでの欧州議会選挙では、マクロン氏が所属する中道勢力の「欧州刷新(RE)」が13議席にとどまったのに対し、極右政党の国民連合(RN)が所属するIDは30議席を得た。RNの得票率は31%に達しており、マクロン氏らの与党勢力の15%を大きく上回っている。下院選挙でもRNが躍進すれば、マクロン氏の政権運営はさらに厳しくなり、経済の見通しは悪くなる。
また、ECBが6日に決めた利下げも徐々にユーロ安圧力として働く可能性がある。クリスティーヌ・ラガルド総裁は6日の理事会後の記者会見で追加利下げを明言せず、ユーロは買い戻された。しかし今後、追加利下げの見通しが強まっていけば、ユーロ相場への影響が積み重なっていきそうだ。LSEGのデータによると、金融市場では政策金利の下限にあたる中銀預金金利について、12月の理事会後には3.318%程度になるとみられている。現状の3.75%を基準に考えれば、0.25%幅の利下げが1-2回行われると想定されている形だ。
ユーロ相場にはアメリカのCPIやFOMCの結果も影響
ユーロ相場の見通しには、日本時間12日午後9時30分に発表される米国の5月消費者物価指数(CPI)や、その5時間半後に発表されるFOMCの結果も大きく影響する。物価上昇率の根強さが連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを難しくするとみなされれば、欧州政治やECBの金融政策の動向とあわせてユーロ安に拍車をかける可能性がありそうだ。
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