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円高急進ユーロでも ECBは6日利下げ濃厚 その後の見通しは?

ユーロ円相場は4日に約3週ぶりの円高ユーロ安水準に。ECBは6日理事会での利下げが確実視されており、関心は7月以降の見通しに移っている。

円高急進ユーロでも ECBは6日利下げ濃厚 その後の見通しは? 出所:ゲッティ

FX市場で進む円高が、ユーロ円相場にも及んでいる。4日のニューヨーク市場では1ユーロ=168円台前半をつけ、約3週間ぶりの円高水準を記録。日本銀行の利上げ観測を背景にしたドル円相場での円高がユーロ円相場にも反映されている形だ。また欧州中央銀行(ECB)は6日の理事会で利下げを決める見通しで、こちらもユーロ安要因として働いている可能性がある。ただし金融市場の関心はECBが7月以降も利下げを行うかに移っており、6日の声明文やクリスティーヌ・ラガルド総裁の会見の内容次第では、ユーロ安にブレーキがかかることも想定される。

ユーロ円相場は一時、168.05円まで円高が進行

ユーロ円相場(EUR/JPY)の4日のニューヨーク市場での終値は1ユーロ=168.48円で、前日比1.69円の円高ユーロ安。ドル円相場(USD/JPY)で0.79%の円高が進むと同時に、ユーロドル相場(EUR/USD)でも0.22%のユーロ安が進んだ結果だ。取引時間中には168.05円をつけ、5月16日につけた(167.32円)以来の水準となった。

ユーロ円相場の日足チャートと主な出来事のグラフ

4日のドル円相場で円高が進んだ背景には、13、14日の日銀の金融政策決定会合を前に、金融市場で利上げ時期の予想が前倒しされていることがありそうだ。LSEGによると、利上げ幅を0.1%と仮定した場合、6月理事会での利上げについて投資家の動向から算出される確率は日本時間5日午前11時現在で約20%。7月までの利上げの確率は約69%と見積もられている。

ECBは6日の理事会で利下げを決める見通し

こうした円高圧力と同時にFX市場では、ECBの金融政策の見通しがユーロ安圧力として働いている。ロイターがまとめたエコノミスト調査では、82人全員が6日の理事会で0.25%の利下げが決まると予想。LSEGのデータでも、投資家の動向から算出される6日の利下げ確率は96%となっている。ECBは日本時間の6日午後9時15分に理事会の結果を発表する。

ラガルド氏は5月21日のアイルランドのテレビ局RTEとのインタビューで「物価上昇をコントロールできていると強く確信している」と述べていた。ラガルド氏は4月の理事会後の記者会見でも利下げに前向きな姿勢を強調していた。

一方、ラガルド氏の自信とは裏腹にユーロ圏の物価上昇が減速していくとの見通しには影も差している。31日に発表された5月の消費者物価指数(CPI)の総合指数の伸び率は前年同月比2.6%で、4月の2.4%から加速。市場予想の2.5%も超えた。また、食品とエネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は2.9%で、こちらも4月(2.7%)を上回っている。

ユーロ圏の消費者物価指数(CPI、総合、コア)の前年同月比伸び率の推移のグラフ

ラガルド総裁のユーロ圏の物価上昇に関する見方は?

こうした中、6日の理事会では今後の利下げの見通しが焦点になりそうだ。LSEGのデータによると、金融市場ではECBの政策金利の下限である中銀預金金利は12月理事会後には約3.28%になると予想されており、現状の4.00%から0.25%幅で約3回の利下げが想定されている。

ECBが6日に発表する声明文やラガルド氏の記者会見で物価上昇の根強さに対する警戒感がみられた場合は、7月以降の利下げ見通しが後退し、ユーロ安要因が弱まる可能性がある。逆にラガルド氏が引き続き物価上昇の沈静化に自信を示した場合には、足元の円高傾向とあいまってユーロ円相場での円高ユーロ安が続くことも考えられそうだ。


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