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ECBの利下げ確度高まるか ユーロ圏物価減速予想 ユーロ安要因に

ユーロ圏の3月CPIはコア指数が減速する見込み。ECBが6月までに利下げするとの観測が強まり、ユーロ安要因になる可能性がある。

ECBの利下げ確度高まるか ユーロ圏物価減速予想 ユーロ安要因に 出所:ブルームバーグ

欧州連合(EU)統計局が3日に発表する3月の消費者物価指数(CPI)の速報値は基調的な物価上昇が減速すると予想されている。欧州中央銀行(ECB)が利下げ開始を見据える中、3月CPIの結果が予想通りなら、金融市場で有力視されている6月までの利下げの確度が高まりそうだ。ユーロ円相場ではこのところ、日本銀行の金融緩和姿勢の継続を背景に加速していたユーロ高が一服しており、3月CPIの結果がユーロ安圧力として働く可能性がありそうだ。

ユーロ圏のCPIの伸び率はコア指数が3.0%に下がる予想

EU統計局は日本時間3日午後6時に3月CPI速報値を発表する。ロイターがまとめた事前予想では、総合指数の伸び率は前年同月比2.6%となり、2月から横ばいとなる見通し。また、食品、エネルギー、酒類、タバコを除いたコア指数は3.0%が見込まれ、2月(3.1%)から物価上昇が減速するとみられている。コア指数が予想通りになれば、2022年3月(3.0%)以来2年ぶりの低水準で、基調的な物価上昇の落ち着きが感じられそうだ。

ユーロ圏の消費者物価指数(CPI、総合、コア)の前年同月比伸び率の推移のグラフ(2024年4月1日作成)

これまでのユーロ圏の物価上昇率低下はECB内での利下げ時期をめぐる議論を活発化させている。ロイター通信によると、ECB理事会メンバーのフランソワ・ビルロワドガロー仏中銀総裁は3月28日の講演で、ECBが今春に緩やかな利下げに着手する可能性が高いと分析。オーストリアやギリシャの中銀総裁からも利下げに前向きな発言が出ている。

ECBの利下げ時期は4月か6月?

ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁も3月7日の理事会後の記者会見で、物価動向について「4月になれば少し多くのことが分かるようになり、6月になればさらに多くのことが分かるようになる」と言及。利下げ時期が6月になる可能性を示唆していた。しかしビルロワドガロー氏は4月利下げの可能性にも含みをもたせており、3月CPIが予想通りの結果になれば、早期の利下げへの期待が高まることもありそうだ。

LSEGのデータによると、4月11日の理事会後にECBの政策金利が現状よりも低くなっていることについて投資家の動向から算出される確率は、日本時間4月1日午前11時段階で約18%。6月理事会までの利下げの確率は約80%となっている。

ユーロ円相場ではユーロ高が和らぎ、163円台で取引

ECBの利下げへの期待は、ユーロ円相場(EUR/JPY)ではユーロ安の流れを作っている。1日午前は1ユーロ=163円台前半で取引されており、3月下旬につけた165円台からユーロ高が和らいでいる状況だ。

ユーロ円相場の日足チャートと主な出来事(2024年4月1日作成)

ユーロ円相場は3月、日銀がマイナス金利政策を解除するのではとの思惑から一時、160円台前半までユーロ安が進んでいたが、19日に日銀が実際にマイナス金利を含む大規模金融緩和策を終了しつつ、当面は緩和的な金融環境が続くことを強調し、3月下旬の165円台までのユーロ高につながっていた。しかしその後は、日本政府による為替介入への警戒もあり、日銀の金融政策を材料視した円安は進んでいない。

こうした中、ユーロ圏の3月CPIでECBの利下げの確度が高まった場合はユーロ安の要因として受け止められそうだ。逆にCPIの結果が予想よりも強くなれば、ECBの利下げ観測が後退し、ユーロ円相場でユーロ高が進行する可能性も残されている。


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