次の注目イベントは日銀金融政策決定会合 / 円高の進行を警戒する市場
外為市場で円高の警戒感が高まるなか、今日は日銀金融政策決定会合が開かれる。今の円相場は、日銀の動向次第で円高の進行も円安の再燃もあり得る。円高がさらに進行する場合、ドル円の下値の焦点は?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・欧州中央銀行(ECB)イベントはユーロ売りの要因に
・日銀金融政策決定会合を前に外為市場では円高への警戒心が高まっている
・今の円相場は、日銀イベントの動向で円高の進行も円安の再燃もあり得る状況に
・日銀イベントを受けて円高が進行する場合、ドル円は2つのサポートラインが焦点に
ECBイベントはユーロ売りの要因に
ラガルド総裁も「データ重視」
連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は26日、追加の利上げについて「データ次第」とあらためて強調した。
そして、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁も27日の理事会後の定例会見で、パウエルFRB議長と同じく次回以降の理事会での政策動向については「データ次第」と述べた。
ユーロ圏のコアインフレ率は、日米と比較して高い水準で推移している(前年同月比5.5%、下チャートを参照)。ゆえにラガルド総裁は、そう簡単に利上げ政策の旗を降ろすことができない状況にある。この点を意識してか、短期金融市場では、9月利上げの確率が理事会前の50%台から70%台へ上昇している。
しかし、7月の購買担当者景気指数(PMI)はユーロ圏の景気が減速していることを示した。よって、追加の利上げについてラガルド総裁は、景気の動向をにらみながらその是非を慎重に検討していくことになろう。
日米欧のコアインフレ率
対円でユーロ安が進行
27日の外為市場はユーロ安の展開となった。
現状、次回以降のECB理事会で追加の利上げを行う可能性は十分にあり得る。しかし、昨日の動き(ユーロ安)は、市場参加者がFRBと同じくECBの利上げサイクルも近く最終局面を迎えることを意識していることを示唆した。
特に、対円で下落幅が拡大した状況は、市場参加者の関心が今日の日銀金融政策決定会合に集中していることを示唆している。
ユーロ相場の動向:7月27日
日銀イベントの焦点と円相場の展望
交錯する思惑
日本経済新聞の電子版(7月28日午前2時)は、日銀が28日の金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正案を議論すると報じた。上限の0.5%を据え置くものの、市場の動向に応じて0.5%を一定程度超えることも容認する案が浮上しているという。
各市場やメディアでは、日銀の政策動向に関して様々な思惑が交錯している。
今回の会合で政策の修正やその可能性を市場参加者に意識させる決定があれば、外為市場のファーストリアクションは円買いと予想する。
一方、日銀の植田総裁が現行の金融緩和政策の維持に固執する場合は、円安の再燃を想定しておきたい。
7月の展望レポートでは物価の見通しが焦点に
経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、物価の見通しが焦点となろう。
23年度のそれについては、4月の展望レポートで示された前年度比+1.8%から2%台へ上方修正される公算が大きいとの報道がある。
注目すべきは、24年度と25年度の物価見通しである。4月時点の見通しから上方修正される場合は、9月以降の会合での政策修正の観測が各市場で高まることが予想される。
ゆえに、24年度と25年度の物価見通しが上方修正される場合は、円買いの要因と想定しておきたい。
展望レポートの物価見通し
ドル円は円高の進行を警戒、下値トライとなる場合のチャートポイントは?
円高の進行を警戒する市場
ドル円(USD/JPY)は現在、円高トレンドへ転換するムードが漂っている。
この点を通貨オプション市場のリスクリバーサルで確認すると、1ヶ月のそれがドルプットへ急速に傾いていることが分かる。
また、ドル円の予想変動率(1ヶ月 / 3ヶ月)の上昇幅も拡大傾向にある(下チャートのグレーゾーンを参照)。
これらの動きは、円がドルに対して上昇する(円高が進行する)可能性を通貨オプション市場の参加者が警戒していることを示唆している。
ドル円のリスクリバーサルと予想変動率の推移
2つのサポートラインの攻防
今日の日銀イベントが円高の進行を促す場合、2つのサポートラインの攻防がドル円(USD/JPY)の焦点となろう。
ひとつめの短期サポートラインは、今年の3月安値129.64レベルを起点としたラインである(下チャートの「サポートライン1」を参照)。このラインは今日現在、138.20レベルで推移している。
ドル円が「短期サポートライン1」を完全に下方ブレイクする場合は、IG為替レポートで何度か指摘している138.00レベルの「レジスタンス転換」が確認されるかどうか?この点に注目したい。
この状況(レジスタンスの転換)が確認される場合は、今年の1月安値127.22レベルを起点とした2つ目の「短期サポートライン2」を視野に、ドル円の下落幅が拡大する展開を警戒したい。
その可能性(下落幅が拡大する可能性)を高める要因として、3月安値(129.64レベル)と6月の戻り高値(145.07レベル)の半値戻し137.36レベルの攻防にも注目しておきたい。この水準は7月14日に相場をサポートし、日足ローソク足では長い下ヒゲが示現した経緯がある。
ドル円の日足チャート
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