ユーロ円の展望とチャートポイントについて
ラガルドECB総裁は27日の基調講演で、高インフレの状況を抑制するために7月理事会での追加利上げに言及した。一方、短期金融市場では7月だけでなく9月理事会での利上げの可能性も意識する状況にある。日欧の政策スタンスの差はユーロ円の押し上げ要因となろう。今日以降のユーロ円の展望は?注目のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※ドル円の見通しについてはこちらのレポートをご覧ください
サマリー
・ラガルドECB総裁はインフレを抑制するために追加利上げの必要性を主張
・今日の注目材料は日米欧英の中銀トップが参加するECBフォーラムでの討論会
・日欧中銀の政策スタンスの差が意識され、ユーロ円は158円が視野に
・ユーロ円の反落局面では10日MAの攻防が焦点となろう
上値トライの局面では158.67レベルの攻防が焦点に
27日のIG為替レポートでは、ユーロ円(EURJPY)が一度調整の反落局面に直面することについて述べた。しかし、昨日は円安の進行によりドル円(USDJPY)と同じく上値トライの展開となった。
28日の東京時間では調整の「ユーロ売り/円買い」が見られる。しかし、157.40台でサポートされ下落幅は限定的となっている。
日足チャートで昨日の動きを確認すると、レジスタンスポイントとして意識された157.00レベルだけでなく、V計算値の水準157.09レベルをも大陽線でブレイクアウトした。ストキャスティクスやRSIでは短期的な相場の過熱感(買われ過ぎ)が示唆されているが、日銀と欧州中央銀行(ECB)との金融政策スタンスの差が強く意識されている状況を受け、この過熱感を無視する状況が続いている。
ユーロ円の日足チャート1:レジスタンスポイント
今日の注目材料
今日は、ECBフォーラムでの討論会で各国中銀のトップによる今後の経済情勢や金融政策についての発言に市場参加者の関心が集まるだろう。
ラガルド総裁は27日の基調講演でインフレリスクについて言及し、ECBが近い将来に政策金利がピークに達したと宣言できる可能性は低いと述べた。そして7月の追加利上げを示唆した。
短期金融市場(OIS市場)では7月だけでなく、9月の理事会でもラガルドECBが利上げを行う可能性を意識する状況にある。
一方、植田日銀は7月の会合で政策に修正に動く可能性があるが、実際に修正に動くとしてもまだ1ヶ月あり、すぐに日欧中銀の政策スタンスの差が解消に向かうわけではない。
ゆえに今回の討論会でECBとの政策スタンスの差があらためて意識される場合、ユーロ円(EURJPY)は158円台へ上昇する展開が予想される。
実際にユーロ円が158円台の攻防となる場合は、N計算値の水準158.67レベルのトライおよびブレイクアウトが焦点となろう(上の日足チャート1を参照)。
反落の局面では10日MAの攻防に注目
ユーロ円(EURJPY)が158.67レベルをも突破する場合は、159.00そして節目の160.00と、1円レンジで新たなレジスタンスの水準を探る展開が続くと予想する(下の日足チャート2を参照)。
一方、短期的な過熱感が意識されユーロ円が反落する場合は、157円台および昨日の安値156.40レベルの維持が焦点となろう。
今日現在、10日MAが155.90台まで上昇している。ユーロ円が156.40レベルを下方ブレイクしこの移動平均線をトライする場合は、156円台を維持できるかどうか?を見極める攻防となろう。
ユーロ円の日足チャート2:レジスタンス / サポートポイント
通貨オプション市場のリスクリバーサルの動きを確認するとユーロ・プットへ傾く状況が続き、相場と真逆のトレンドにあることが分かる(下チャートのグレーゾーンを参照)。
確かにユーロ円の地合いは強い。しかしリスクリバーサルの動向を重視するならば、今は不意の反落を警戒する局面にあることも常に意識しておきたい。
ユーロ円(EURJPY)が反落しても10日MA(156円台)以上の水準を維持し続ける場合は、地合いの強さを市場参加者に意識させよう。このケースでは、上で述べた各レジスタンスポイントの候補をトライする展開を想定しておきたい。
一方、ユーロ円が10日MA(156円台)を一気にブレイクアウトする展開となれば、6月23に相場をサポートした155.00レベル、または20日に同じく相場をサポートした154.00レベルの攻防が焦点として浮上しよう(上の日足チャート2を参照)。
ユーロ円とリスクリバーサルのチャート
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