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ECB、利上げペース減速で円高ユーロ安 0.25%決定 6月も同率見通し

ECBは4日に利上げペースの減速を決め、ユーロ円相場はユーロ高に動いた。6月の理事会でも同じ幅の利上げが見込まれている。

出所:ブルームバーグ

欧州中央銀行(ECB)は4日の理事会で政策金利を0.25%引き上げることを決め、利上げペースを減速させた。今回の利上げ幅は2022年7月以降の利上げサイクルの中で最も小さく、利上げペースを鈍化させた形だ。ユーロ円相場(チャート)はECBの決定後に円高ユーロ安方向に動いた。またラガルド総裁は米国発の金融システムへの不安が欧州経済に悪影響をもたらす可能性にも言及しており、今後も経済動向を慎重に見極める方針だ。ただしECBが利上げを打ち止めにするとの見方は少なく、金融市場では次回(6月15日)の理事会でも0.25%の利上げが決まるとみられている。

ECB「基調としての物価上昇圧力は強い」

ECBは理事会後の声明で「総合的な物価上昇率はここ数か月で低下したが、基調としての物価上昇圧力は強いままだ」とし、5月10日から3つの政策金利すべてを0.25%上げると決めた。政策金利の下限となる中銀預金金利は3.25%となる。また、量的緩和策(APP)における資産の再購入を7月から停止し、膨らんだ資産規模の圧縮を加速させる。

2022年7月から前回までの6回の利上げはいずれも0.5%幅か0.75%幅だった。今回の利上げ幅は利上げペースの減速を意味する。声明発表前に1ユーロ=149円程度で取引されていたユーロ円相場では声明発表後に147円程度まで円高ユーロ安が進んだ。その後は148円程度まで買い戻されている。ユーロ円相場はこのところ14年7か月ぶりのユーロ高水準で取引されていた。

6月の「利上げ確率」は70%

また、ECBは米国発の銀行システムへの不安の拡大がユーロ圏経済を冷やす可能性にも目配りしている。ラガルド氏は理事会後の記者会見で、米国でのファースト・リパブリック銀行の経営破綻で再燃した金融市場の動揺が長引けば、「金融機関が貸し出しを想定以上に絞り込み、ユーロ圏の経済成長の見通しを下押しするリスクがある」と述べた。

ただし金融市場ではECBが6月の理事会でも利上げを続けるとの見方が多い。金融情報会社リフィニティブのデータでは、金融市場の動向から算出される6月に0.25%の利上げが行われる確率は約70%と見込まれている。ユーロ圏の4月の消費者物価指数(推計値)の伸び率は食品とエネルギー、酒類、たばこを除いたコア指数で5.6%という高水準で、ECBは経済の動向を見据えながらも利上げを続ける必要があるとみられている。


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