ユーロ圏の物価上昇は減速か 8月CPI予想 上振れならユーロ高も
ユーロ圏の8月のCPIは伸び率が下がる見込み。予想に反して強い結果なら、15年ぶりの水準にある円安ユーロ高の再加速も。
欧州連合(EU)統計局が31日に発表する8月のユーロ圏の消費者物価指数(CPI)の速報値は物価上昇率の低下が見込まれている。物価上昇の十分な減速になれば、欧州中央銀行(ECB)が続けてきた利上げの効果が感じられ、9月の理事会での利上げ見送り観測が強まりそうだ。こうした中、外国為替市場での円安ユーロ高は2008年8月以来の1ユーロ=160円台を目前に一服感が出ている。しかし8月のCPIが予想以上に強くなった場合は、円安ユーロ高が再加速する材料とみなされる可能性もある。
ユーロ圏8月CPIは総合指数の伸び率が5.1%の予想
EU統計局は日本時間31日午後6時に8月のCPI速報値を発表する。ロイター通信のエコノミスト調査によると、総合指数の伸び率は前年同月比5.1%となり、7月の5.3%から低下する見込み。2022年10月の10.6%からの低下がさらに進むとみられている。また、エネルギー、食品、酒類、タバコを除いたコア指数の伸び率は5.3%の予想で、こちらも7月(5.5%)から減速する見通しだ。
ECBは2022年7月の理事会以降、9会合連続で利上げを決めてきた。今回のCPIで物価上昇が十分に減速していると受け止められれば、ECBの思惑通りの展開といえ、次回9月14日の理事会で利上げが見送られるとの見方が強まりそうだ。金融情報会社リフィニティブのデータによると、9月の利上げ見送りについて、投資家の動向から算出される確率は、日本時間29日午後5時30分の段階で約50%。0.25%利上げの確率の約50%と同水準だ。ラガルド氏は7月の理事会後の記者会見で、9月の理事会の見通しについて「利上げもあり得るし、見送りもあり得る」と述べていた。
ユーロ円相場は15年ぶりの160円台が目前
こうした中で、ユーロ円相場(EUR/JPY)では円安ユーロ高の流れが弱まっている。ユーロ円相場は7月に日本銀行がイールド・カーブ・コントロール(YCC)の修正を決めつつ、大規模金融緩和の維持を強調したことなどから、円安ユーロ高が進行。しかし8月中旬以降は、15年ぶりの水準となる160円台を目前にして頭打ちとなっている。
ただし8月のCPIが予想よりも上振れた場合には、ECBの利上げが意識され、円安ユーロ高が改めて進行する可能性もある。ラガルド氏は25日の米ワイオミング州ジャクソン・ホールでの演説で、「物価上昇との戦いに勝利したわけではない」と強調。賃金上昇が物価上昇を引き起こすなどして、物価上昇率が高止まりする事態への警戒感を示した。さらに物価上昇率2%という目標に変化はないことも明言しており、必要に応じて利上げを進める構えを維持している。
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