ユーロ安見通し続くか ウクライナ緊迫 米財務長官人事の影響は?
ユーロ円相場は約7週ぶりのユーロ安水準。一時、159円台もつけた。トランプ氏の財務長官人事はユーロ円相場には中立的といえそうだ。
ユーロ円相場でユーロ安の流れが続いている。22日のニューヨーク市場では一時、1ユーロ=159円台をつけ、約7週間ぶりのユーロ安水準となった。ウクライナ情勢の緊迫化を受けて、ユーロの対ドル相場が約2年ぶりの安さとなったことが要因だ。ただ、25日のFX市場ではユーロが対ドルで上昇。アメリカのドナルド・トランプ次期大統領が発表した財務長官人事が影響しているとみられる。とはいえFX市場では円もドルに対して上昇しており、ユーロ円相場の今後の見通しをめぐっては、値下がり圧力が高まることも想定されそうだ。
ユーロ円相場は一時159円台 約3週間で4%超のユーロ安
ユーロ円相場(EUR/JPY)は22日の取引で一時、1ユーロ=159.93円をつけた。ブルームバーグによると、10月2日の安値(158.71円)以来のユーロ安水準だ。ユーロ円相場は10月31日には166.69円をつける場面もあったが、約3週間で4%超のユーロ安が進んだことになる。
ユーロ安の背景にウクライナ情勢の緊迫 日銀の追加利上げ見通しも影響か
ユーロ安の背景にあるのはウクライナ情勢の緊迫だ。ロシアのウラジミール・プーチン大統領は19日に核兵器使用に関する原則を改定。米国がウクライナに対して、米国製の長距離地対地攻撃ミサイル「ATACMS」を使ったロシア攻撃を容認したと報じられたことへの対応だとみられれている。その後、ウクライナによる実際の攻撃があり、ロシアはウクライナに対して21日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)で攻撃したともされており、欧州のエネルギー・経済情勢の見通しに不安が強まっている。
また、ユーロ安には日本銀行の利上げ見通しの強まりも影響している可能性がある。日銀の植田和男総裁は10月31日の金融政策決定会合後の記者会見で追加利上げへの距離を縮め、12月利上げの可能性を感じさせた。ユーロ円相場はこの日を境にユーロ安方向への流れが続いている。
ユーロは対ドルで約2年ぶりの安値水準 2週間では5.5%のユーロ安
こうしたユーロ安の流れはユーロの対ドル相場(EUR/USD)をみても明らかだ。22日の取引でつけた1ユーロ=1.0335ドルは、2022年11月30日につけた安値(1.0291ドル)以来のユーロ安水準。約2週間前の11月6日につけた直近の高値(1.0937)との比較では、5.5%のユーロ安となっている。
トランプ氏は財務長官にベッセント氏を指名 ユーロ円相場には11月CPIが影響か
ただ、ユーロの対ドル相場は25日の東京市場の取引では、22日のニューヨーク市場の終値から0.7%ほどユーロ高に振れている。トランプ氏が22日に財務長官候補として著名投資家のスコット・ベッセント氏を指名したことが影響しているもようだ。ベッセント氏は財政規律を重視する発言が報じられており、ブルームバーグによると、25日の取引では米国の長期金利(10年物米国債利回り)は4.35%程度まで低下している。
とはいえ、米国の長期金利低下はドル円相場(USD/JPY)でも円高要因として働いており、ベッセント氏の指名はユーロ円相場への影響は比較的小さいともいえそうだ。ドル円相場は日本時間25日午前の取引で22日終値から0.8%ほど円高に動いている。この結果、足元のユーロ円相場は22日終値比で0.1%ほどのユーロ安となっている。
ユーロ円相場の今後の見通しをめぐっては、29日に発表される11月のユーロ圏の消費者物価指数(CPI)も注目される。欧州中央銀行(ECB)は10月17日の理事会で2会合連続での利下げを決めており、物価上昇率が予想よりも下振れするなどした場合には、さらなるユーロ安要因として意識される可能性もありそうだ。
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