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経済指標にらみの展開が続く / 外為市場とユーロ円の展望について

今日の注目材料は、米欧の4月購買担当者景気指数(PMI)速報値。内容次第で外為市場は上下に振れる展開が予想される。注目の通貨ペアはテクニカルの面で分岐点にあるユーロ円。今日の展望は?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

※今日のドル円の焦点と見通しについてはこちらのレポートをご覧ください。


サマリー

・さえない経済指標を受け米金利が低下、外為市場は米ドル売りの展開に
・今日の注目材料は米欧の4月PMI指数
・4月の米国PMI指数と外為市場の展望について
・ユーロ円、目先の展望とテクニカルポイントについて


さえない米国経済指標と市場の反応

米金利とドル相場(ドルインデックス)の反応

4月フィラデルフィア連銀製造業は-31.3と、市場予想の-19.2を大きく下回った。また、3月の景気先行指標総合指数も-1.2%と、市場予想の-0.6%と予想以上に落ち込んだ。

4月ニューヨーク連銀製造業景気指数が前月の-24.6から10.8へと急回復したが、昨日のさえない経済指標の内容は、米債市場で景気の先行きリスクを市場参加者に意識させる要因となり得る。事実、20日の米債市場では10年債利回りが3.52%まで低下した。金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りも4.14%まで低下した。

米金利の低下に連動し、米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)も軟調地合いとなった。

米金利とドルインデックスのチャート

米金利とドルインデックスのチャート TradingViewの5分足:20日 欧州タイム以降

経済指標にらみの展開が続く

今日の注目材料は4月の米国PMI指数

外為市場では引き続き経済指標にらみの状況が続くだろう。

今日は4月の米国購買担当者景気指数(PMI)速報値が発表される。サービス業は52.6から51.5へ、製造業は49.2から49.0へ、総合PMIは52.3から51.2へそれぞれ低下する見通しとなっている。

米国 購買担当者景気指数(PMI)の推移

米国 購買担当者景気指数(PMI)の推移 ブルームバーグのデータをもとに作成 / 月次:2022年以降

外為市場の展望

連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ長期化に対する警戒心がじわりと高まっている。

この状況で4月の米国PMI指数でも予想外の落ち込みが確認される場合は経済の先行きリスクが米債市場で意識され、利回りには低下の圧力が高まることが予想される。米金利の低下は、外為市場で米ドル売りの圧力を高めるだろう。

このケースで注目したいのが、米国株の反応である。本日、総務省が公表した3月国内消費者物価指数(CPI/前年比)は、ほぼ予想通りの内容となった。しかし、コアコアCPI(生鮮食品及びエネルギーを除くインフレ率)は3.8%と、前月の3.5%から伸びが加速した。政策修正の思惑がくすぶる中で国内の基調的なインフレ圧力の根強さが確認された。

このタイミングで昨日と同じく米国株が下落すれば、短期的にせよ日本円の買い圧力が高まること(円安の調整相場)が予想される。

対照的にリスク資産の動きに影響を受けやすい豪ドルやNZドルは、対円で下落することが予想される。ユーロ円(EURJPY)やポンド円(GBPJPY)でも下落相場を想定しておきたい。

4月の米国PMI指数が予想以上に強い結果となるケースでは、米金利の反応を確かめたい。米金利が素直に上昇で反応するならば、米ドルの買い戻し要因となろう。

一方、米金利の反応が限定的、または低下で反応する場合は、米国株の反発が予想される。後者のケース(米金利の低下/米国株の上昇のケース)では、米ドル売りの圧力が最も高まりやすい。

対照的に対米ドルと日本円でオセアニア通貨の上昇が予想される。ユーロやポンドも同様の展開が予想される。


ユーロ円の見通しとテクニカル分析

上昇の局面では147.75レベルの攻防が焦点に

4月に入り円安が進行しているが、主要なクロス円の中でもユーロ円(EURJPY)の上昇幅が拡大している。

4月10日の総裁就任会見で植田氏は、現行の金融緩和政策を継続する方針を示した。それ以降、ユーロ円は短期レジスタンスラインと相場の上昇を止めた経緯のある145.50レベルおよび146.72レベルを一気にブレイクした。これらの状況は、日欧の金融政策スタンスの差がユーロ円の上昇を支えていることを示唆している。

そして現在のユーロ円は、昨年10月の下旬に相場の上昇を何度も止めた147.75レベルの攻防が焦点となっている。今週19日と20日の市場では、再びこのレベルで上昇が止められる展開が見られた。ゆえに、この水準のブレイクアウトに成功する場合はユーロ円の地合いの強さが再確認されることで、昨年10月21日の高値148.40レベルを視野に上昇幅の拡大が期待できる。

反落の局面で注目しておきたい2つの水準

一方、ユーロ円(EURJPY)が147.75レベルの突破に失敗し続ける場合は、反落相場を想定しておきたい。このケースでは、昨年12月15日の高値146.72レベルがサポートへ転換するかどうか?まずはこの点が焦点となろう。今年の4月上旬以降、相場を下支えしている10日MAがすぐ下の水準146.64レベルまで上昇している。テクニカルの面でも146.70前後は、目先の重要サポートポイントとして意識しておきたい。

ユーロ円が146.70レベル(10日MA)をあっさりと下方ブレイクする場合は、145.50レベルの “サポート転換” が次の焦点として浮上しよう。

ユーロ円のチャート

ユーロ円のチャート TradingViewの日足:22年10月以降

今日のユーロ相場の注目材料:4月欧州PMI指数

欧州中央銀行(ECB)は20日、3月15〜16日に開催された理事会の議事要旨を公表した。大多数のメンバーが3会合連続となる0.5%の大幅利上げを支持した一方で、金融市場の緊張を理由に一部のメンバーが利上げの見送りを主張していたことが分かった。

ラガルド総裁はインフレ抑制のスタンスを崩していない。ゆえに利上げ政策を維持するだろう。だが、金融システム不安とそれに伴う経済リスクがECB内で議論された状況を考えるならば、次回5月の理事会では利上げ幅が焦点となるだろう。現状では、0.25%の利上げが予想されている。だが、経済指標の内容次第で利上げ幅の予想は変化するだろう。

その経済指標で今日注目したいのが、4月の欧州購買担当者景気指数(PMI)速報値である。ユーロ圏では製造業が落ち込んでいるが、4月は47.3から47.8へ若干ながら改善する見通しとなっている。総合PMIも52.7から52.9に改善する見込みである。一方、サービス業は53.9から53.5へ低下する予想となっている。

ユーロドル(EURUSD)は現在、1.10レベルで上値の重い状況にある。昨日の欧州株式市場も低調な企業決算が嫌気され下落した。このタイミングで欧州PMI指数が外為市場の参加者に域内経済の先行きリスクを意識させる内容となれば、ユーロ円の反落ムードが高まることが予想される。

ユーロ圏 購買担当者景気指数(PMI)の推移

ユーロ圏 購買担当者景気指数(PMI)の推移 ブルームバーグのデータをもとに作成 / 月次:2022年以降

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