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【ドル円の週間見通し】同時に進行するドル高と円安、今週の注目指標は米小売売上高、ドル円の焦点は150円のトライ

アメリカ経済のソフトランディング期待が高まり、10月の外為市場では米ドル高が進行している。今週は9月の米小売売上高が発表される。個人消費の底堅さを示す内容となれば、米ドル高のトレンドをサポートしよう。円安の圧力も根強い。ドル円は節目の水準150円の攻防を意識したい。

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記事のポイント

・10月に入り外為市場では、米ドル高と円安が同時に進行している
・ソフトランディング期待の高まりで、アメリカの長期金利が4.1%台へ上昇
・今週の注目指標は、米国の9月小売売上高と新規失業保険申請件数
・ドル円、今週の見通しと注目のチャート水準について


米長期金利の反発とドル高の進行

10月に入り、外為市場では米ドル高が進行している。対主要通貨の騰落率を確認すると、メキシコペソ以外で米ドル高優勢の状況にある。

対日本円での上昇率は3.8%。米ドル相場のトレンドを示すドル指数(DXY)の上昇率2.1%をはるかに上回っている。この状況は、現在の外為市場では米ドル高だけでなく、円安も同時に進行している状況を示唆している。

米ドル相場の動向:月初来

ブルームバーグの為替データで筆者が作成 / 10月11日までの動向

米ドル高のトレンドを支えているのが、米金利の上昇である。

10月の第1週目に発表された8月と9月の雇用関連指標は、いずれもアメリカ労働市場の底堅さを示唆した。9月のISM非製造業景気指数も54.9と、2023年2月以来の水準へ上昇しサービス業が景気を下支えしている状況が確認された。

強い経済指標は、市場が抱くアメリカ経済のソフトランディング期待を高めた。この期待は米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースが緩慢になるとの観測を強め、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ見送りの可能性がわずかではあるが台頭する状況にある。

そして米債市場では、10年債利回り(長期金利)が先週11日の市場で4.11%台へ上昇した。20年債や30年債の長期ゾーン利回りもそれぞれ4.46%台、4.41%台へ上昇した。米金利の上昇が10月の米ドル高を支える状況が鮮明となっている(下のチャート、赤ラインを参照)。

米金利とドル指数のチャート:日足 2024年6月以降

米金利とドル指数のチャート:日足 2024年6月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 10月11日までの動向

米ドル高と円安の同時進行

10月に入り、米ドル高と同時に円安が進行している。この点は、上で述べたドル円(USD/JPY)の上昇率が示唆している。

根強い円安のトレンドが続いている要因は、日銀の植田和男総裁と石破茂首相の言動にある。

植田総裁は先月20日に開かれた金融政策決定会合後の定例会見で、今後の追加利上げの判断については「時間的な余裕がある」と述べた。同月の24日に開かれた大阪経済4団体共催の懇談会での講演後の記者会見でも、政策判断に当たっては「内外の金融資本市場の動向やその背後にある海外経済の状況などについて、丁寧に確認していく必要がありますし、そうした時間的な余裕はある」と述べ、慎重に追加利上げの時期を見極める考えるを繰り返した。

一方、石破首相は今月2日に植田総裁と会談し、その後記者団に対して個人的な見解としながらも「追加の利上げをするような環境にない」と発言した。12日の日本記者クラブ主催の党首討論会での質疑では、「政府が何を言ったとしても日銀は日銀として独自の判断がある」と述べた。日銀の独立性を尊重する姿勢を示すことで、今月2日の発言を軌道修正してきた感がある。

しかしドル円は現在、節目の150円を視野に上昇トレンドにある。今週の外為市場でも円安が続き、石破首相の”軌道修正”が材料視されない場合は、国内の政治情勢が追加利上げの障害となる可能性について市場参加者が意識している動きと捉えたい。

円相場の騰落率:月初来

円相場の騰落率:月初来

ブルームバーグの為替データで筆者が作成 / 10月11日までの動向

今週の注目指標は9月の米小売売上高

現在の米債市場は、経済指標にらみの状況にある。今週は個人消費の動向を考えるうえで重要な経済指標、9月の小売売上高が発表される。9月は前月比で個人消費の伸びが見込まれている。予想以上に個人消費の拡大が確認される場合は、アメリカ経済のソフトランディング期待をさらに高めるだろう。このケースでは、「米金利の上昇→米ドル高の進行」を想定しておきたい。

一方、小売売上高が予想外に下振れる場合は、米ドル高の調整要因となろう。しかし現在の外為市場では円安だけでなく、対米ドルで欧州通貨の売り圧力も高まっている。アメリカ労働市場の底堅さも考えるならば、小売売上高が下振れしても、米ドルの下落幅は限定的となることが予想される。

米国 小売売上高:2023年9月以降

米国 小売売上高:2023年9月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成


ドル円、今週の見通しとチャート分析

149円ミドルの突破と150円のトライ

ドル円(USD/JPY)は現在、149円台の攻防にある。通貨オプション市場のリスクリバーサルの動向を確認すると、1週間と1ヶ月はともに横ばいの推移で大きな変動は見られない。一方、予想変動率は1週間と1ヶ月がともに低下の基調にある。

今夏のリスク回避局面と真逆の動きにある今の状況は、ドル円が高値圏での攻防を維持する可能性について、通貨オプション市場の参加者が意識していることを示唆している。

ドル円のリスクリバーサルと予想変動率:日足 2024年7月以降

ドル円のリスクリバーサルと予想変動率:日足 2024年7月以降

ブルームバーグの為替データで筆者が作成 / 10月11日までの動向

上で述べた米ドル高と円安が同時に進行している状況も考えるならば、ドル円の焦点は引き続き新たな上値水準の見極めにあろう。

日足チャートでトレンドを確認すると、10日線のみならず21日線でも50日線との間でゴールデンクロスが確認された(下の日足チャート、黒矢印を参照)。MACDは上昇基調を維持している。RSIは買われ過ぎの水準付近へ上昇しているが、デッドクロスは確認されていない。これらテクニカルの動向も、ドル円の地合いの強さを示唆している。

ドル円のチャート:日足 2024年7月以降

ドル円のチャート:日足 2024年7月以降

出所:TradingView

ドル円の上昇局面では、149円ミドル水準の突破が焦点となろう。具体的には8月15日の高値149.40、そして先週10日の高値149.58レベルを完全に突破できるかどうか?この点に注目したい(上の日足チャートを参照)。

ドル円が後者の149.58レベルを突破する場合は、節目の150円(150.00)の攻防が焦点に浮上しよう。そのきっかけとして注目したいのが、上で述べた9月の小売売上高である。

また、週間の新規失業保険申請件数で労働市場の堅調さが確認される場合も、ドル円が150.00を目指す要因になり得る。先週は25.8万件と、予想外に新規失業保険申請件数が増加した(下のチャート、黒矢印を参照)。失業保険継続受給者数も増加したことで米金利の上昇が抑制され、米ドル売りの要因となった。今週も米金利と米ドルの変動要因として注目しておきたい。

米国 新規失業保険申請件数:週次 2023年以降

米国 新規失業保険申請件数:週次 2023年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

反落局面では147円の維持が焦点に

一方、ドル円(USD/JPY)の反落局面では、147円の維持が焦点となろう。147.30レベルはサポートラインへの転換が確認された水準である(下の1時間足チャート、黒矢印を参照)。この水準の下方ブレイクは、147.00レベルをトライするシグナルと捉えたい。

ドル円が147.30レベルをトライするシグナルとして、2つのフィボナッチ・リトレースメントの攻防に注目したい。ひとつは、10月4日の安値を起点とした38.2%戻し148.18レベルである。148円の維持を見極める水準としても注目のサポートポイントである。

148.20レベルの下方ブレイクは、ドル円が147円台へ反落するサインと捉えたい。このケースでは、9月30日の安値を起点としたもう一つのフィボナッチ・リトレースメント23.6%戻し147.71レベルのトライを想定しておきたい。

ドル円が147.73レベルをも難なく下方ブレイクすれば、147.30の攻防を想定したい。

1時間足のMACDとRSIがデッドクロスへ転じた後、低下幅が拡大する場合は、上で取り上げた各サポート水準の攻防を意識したい。

一方、これらテクニカル指標が一転してゴールデンクロスへ転じる場合は、ドル円の反発を意識したい。特に上で取り上げたサポートの水準でゴールデンクロスが確認される場合は、反発相場を強く意識したい。

なお、ドル円が149.58レベルを突破する場合は、上で述べたフィボナッチ・リトレースメントの水準も上昇しよう。その都度、新たな水準を確認したい。

ドル円のチャート:1時間足 9月27日以降

ドル円のチャート:1時間足 9月27日以降

出所:TradingView


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