パウエルスピーチと外為市場のシナリオそしてドル円の注目ポイントについて
今日の注目材料はパウエルFRB議長のスピーチ内容。FRBはハト派に傾斜しているーとの思惑を後退させる内容となるか?そして米金利はどのような反応をするのか?これらの点が焦点に。想定される外為市場のシナリオは?そしてドル円のチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
パウエルFRB議長のスピーチと米債市場の反応
【サマリー】
・米地区連銀総裁らは持続的な利上げを主張
・パウエルスピーチがタカ派と受け止められる場合の注目ポイント
・想定される外為市場のシナリオ
・ドル円のチャートポイント
・利上げ継続の主張も市場の反応は限定的
昨日は、米地区連銀の総裁達から利上げの継続を主張する発言が相次いだ。カンザスシティ連銀のジョージ総裁は、政策金利が一定の間4%を上回る必要性に言及した。フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は、インフレを抑制するために利上げを続ける必要があると主張。そしてアトランタ連銀のボスティック総裁は、経済指標の内容次第では0.75ポイントの利上げが選択肢になると指摘した。
いずれも米国の株式投資家が抱く来年の利下げ期待を後退させる発言だった。しかし、この日の米債市場では7年債の入札が好調だったこともあり、思惑先行で進行してきた米金利の上昇(米債売り)を調整する展開となった。長期金利の低下し、金融政策の方向性を反映して動く2年債利回りも3.4%でひとまず上昇が止めれた。
一方、米金利の動きが好感されこの日の米国株式は上昇した。株高のみのリスク選好相場となったことで、外為市場では米ドル高を調整する動きが見られた。
米金利のチャート
・パウエルスピーチの注目ポイント
各市場参加者の耳目は、今晩23時(日本時間)に予定されているパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長のスピーチ内容に集中している。
注目ポイントは2つある。ひとつは、パウエルスピーチが早期(来年)の利下げ期待を後退させるタカ派の内容となるかどうか?である。ふたつめは“タカ派のパウエルスピーチ”となる場合(そのように各市場の参加者が受け止める場合)、米債市場がどのような反応を示すか?である。
パウエルスピーチがタカ派の内容(=FRBがハト派に傾いているとの観測を否定する内容)となる可能性ついては、すでに報じられている。よって、米債市場ではこの点についてある程度は織り込んでいるだろう。しかし、その織り込み度合いは、市場の反応を確認する必要がある。
外為市場のシナリオ
・米金利の上昇/米株高のケース
現在のマーケット状況を考えると、このケースが発生する可能性は低い。なぜなら、FRBによる持続的な利上げ(=米金利の上昇)は、米国株の売り要因となっているからだ。
可能性は低いが、パウエルスピーチ後に米国市場全体がこの展開となる場合、外為市場では米ドル高優勢の展開を予想する。そしてこのケースでは、主要通貨ペアの中でもドル円(USDJPY)の上昇幅が拡大すること予想される。
・米金利の上昇/米株安のケース
上で述べたとおり、米地区連銀の総裁から持続的な利上げの必要性を主張する意見が相次いでいる。
パウエルFRB議長も同じ主張を展開する場合、投資家、特に株式の投資家が抱く来年(早期)の利下げ期待を後退させる要因となり得る。
パウエルFRB議長のスピーチがタカ派の内容となり、これに米金利が上昇で反応する場合、外為市場では米ドル買い優勢の展開を想定しておきたい。またこのケースでは、米金利の上昇が米株安(リスク回避相場の)要因となる(米ドル買い要因)。よって、米ドル高の圧力が最も高まる展開を想定しておきたい。
・米金利の低下/米株高のケース
パウエルスピーチがタカ派の内容となっても米金利が低下で反応する場合(米債市場での織り込み度合いが相当進んでいる場合)は、米国株の続伸が予想される。
このケースでの外為市場は、昨日と同じく米ドル安優勢の展開を想定しておきたい。一方、株式などのリスク資産の動きに影響を受けるオセアニア通貨や資源と関わりの深い新興国通貨(南アランド、メキシコペソ、ブラジルレアル)は、対米ドルで上昇することが予想される。
・米金利の低下/米株安のケース
米金利の低下と米国株の下落が同時に発生する場合は、外為市場で円が最も選好されると予想する。
パウエルFRB議長が経済成長をある程度犠牲にしてでもインフレ抑制の重要性を強く主張してくる場合は、このケースとなる可能性がある。
ジャクソンホール会議を前に、米債市場ではすでに思惑先行で米債売り(利回りの上昇)が進行している。よって、パウエルFRB議長が持続的な利上げによる景気の減速または後退のリスクに言及する場合、それを理由に米債売りを調整する(安全資産である米債を買い戻す)動きとなる可能性ある。
一方、米国の株式市場でも経済の先行きリスクが意識され下落する可能性がある。米金利の低下と米国株の下落が同時に発生する場合、外為市場では円高の圧力が最も高まるだろう。ドル円(USDJPY)は、下で述べる10日線の攻防が焦点となろう。
なお、今回のシナリオを分かりやすく図にすると、以下のとおりとなる。
米ドル相場と円相場のシナリオ
ドル円のチャートポイント
・138.00と138.30レベルの攻防
昨日のドル円(USDJPY)は、米金利の低下に連動し安値136.31レベルまで下落した。しかし136円台を維持する状況が続いている。一方、137円台では上値の重い展開となっている。
今日は、パウエルスピーチ後に136.00-138.00のレンジをどちらにブレイクするのか?この点に注目したい。
パウエルスピーチ後に米金利が上昇する場合は、レンジの上限138.00およびこのレポートで何度も指摘しているフィボナッチ・プロジェクション100.00%の水準138.29(138.30レベル)の攻防に注目したい。MACDの上昇基調に陰りが見え始めていること、そしてストキャスティクスが「売られ過ぎ」の水準で推移していることも考えるならば、ドル円が上昇しても上で述べたレジスタンスポイントで反落する展開を警戒しておきたい。
・21日線が136.00付近へ上昇
一方、パウエルスピーチ後に米金利が低下で反応する場合は、ドル円(USDJPY)の下落を想定しておきたい。
このケースでの焦点は、136.00レベルの維持となろう。25日のレポートで指摘した10日線の動きを確認すると、MAとEMAはともに136.00レベルで推移している。直近の相場が136円台を維持している状況を考えるならば、2つの10日線は現在、レンジの下限付近まで上昇していることになる。
ドル円のチャート
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