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米ドル安だけでなく将来の円高進行も想定する必要あり

さえない経済指標が続きアメリカ金利の低下基調が続いている。外為市場では米ドル安の進行を意識する局面にある。さらにこれからは円高の進行も想定する必要がある。その理由は?詳細はIG為替レポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

※ドル円とユーロドルの見通しについてはこちらのレポートをご覧ください。


サマリー

・さえない経済指標が続き米金利は低下基調を維持
・外為市場では米ドル安の進行を意識する局面にある
・景気リスクによる米金利の低下と株安で今後は円高も想定する必要あり
・ドルインデックスの見通しとテクニカル分析について


さえない経済指標が続き米金利は低下基調を維持

米連邦準備制度理事会(FRB)は、インフレ抑制を重視し大幅利上げを行ってきた。経済へ及ぼすその影響は、これから出てくるだろう。

将来の経済動向を考える上で今後重要となる指標のひとつが、雇用関連の経済指標である。2月の雇用動態調査(JOLTS)求人件数は993.1万件と、市場予想の1,050万件を下回り2021年5月以来、約2年ぶりの低水準となった。2020年以降の推移を確認すると、昨年の4月をピークに求人件数は減少の傾向にあることがわかる(チャート点線)。

JOLTS求人件数の推移

JOLTS求人件数の推移 米労働省とブルームバーグのデータを基に作成 / 月次:2020年以降


3月のISM製造業景気指数に続き雇用関連指標もさえない内容となったことで、米債市場では利回りの低下基調が続いている。

今日は3月のISM非製造業景気指数が発表される。市場予想の54.4を下回る結果となれば、景気の先行きリスクが意識され米金利は低下基調を維持することが予想される。

ISM非製造業景気指数の推移

ISM非製造業景気指数の推移 全米供給管理協会(ISM)とブルームバーグのデータを基に作成 / 月次:2005年以降

予想どおり米ドル安が進行

これから米債市場では、FRBによる大幅利上げの影響で将来の景気減速または後退がメインテーマとなる可能性が高い。ゆえに、米金利の低下基調は続く公算が大きい。反発してもその幅は限定的となることが予想される。ゆえに外為市場では、米ドル安を意識する局面にある。
米ドル相場の方向性を示すドルインデックス(DXY)は昨日、サポートポイントとして意識されてきた102.00レベル(フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準)を陰線で完全に下方ブレイクした

21日MA(103.26レベル)と50日MA(103.47レベル)でデッドクロスの状況にあり、MACDでは地合いの弱さを示唆する動きが続いている。

また、ユーロドル(EURUSD)はレジスタンスとして意識されてきた1.0910-20のゾーンを大陽線で一気に突破し、NY金は2,000ドル台へ上昇してきた。これらの状況を総合的に考えるならば、ドルインデックスは2月の安値100.82レベルを視野に下落幅の拡大が予想される。102.00レベルの “レジスタンス転換” は、100.82レベルをトライするシグナルの一つとなろう。

ドルインデックスのチャート

ドルインデックスのチャート TradingViewの日足:23年2月以降

今後は円高の進行も想定する必要あり

昨日の外為市場が示唆した重要なことは、米金利の低下と株安が同時に発生する局面では円高の圧力が高まりやすい、ということである。

主要通貨に対する円相場の動向を確認すると、昨日は総じて円高優勢で推移したことがわかる。

昨年までは、米金利の上昇が米ドル高と株安の要因だった。しかし現在は、米金利の低下とそれによる米ドル安を意識する状況にある。ここで問題となるのが株式市場、特に米国株の動向である。昨日は米金利が低下したにもかかわらず、主要なアメリカの株価指数は軒並み下落した。S&P500種株価指数(SPX)のセクターパフォーマンスを確認すると、景気敏感株を中心に株安となった。債券市場のみならず株式市場でもアメリカ経済の先行きリスクが焦点に浮上しつつあることを示唆する動きである。

今後もさえない経済指標が続けば、「景気の減速/後退の懸念→米株安」の展開となる可能性が高まるだろう。米債市場では利回りの低下幅が拡大するだろう。

ゆえに、外為市場では米金利の低下と株安による将来の円高進行を意識することが重要となろう。

円相場の動向:4月4日

円相場の動向:4月4日 基準日:4月3日 / 緑:円高、赤:円安

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