【新興国通貨】株高・円安トレンドが鮮明に トルコリラも対円で反発、目先の見通しは?
アメリカ経済に対する過度の景気懸念が後退し、世界的に株式市場が反発のムードにある。この動きに連動し、外為市場では新興国通貨買いと円売りが進行している。特にトルコリラ円は、テクニカルの面で分岐点の攻防にある。その分岐点とは?目先注目のチャート水準は?
記事のポイント
・アメリカ経済の先行き懸念が後退し、世界的に株高のムードにある
・株高に連動し外為市場では新興国通貨買い、円売りが進行している
・トルコリラ円は現在、テクニカルの面で分岐点に差し掛かっている
・目先、注目しておきたい上下のチャート水準について
アメリカ経済の先行き懸念が後退
強い経済指標で過度の景気懸念が後退
米商務省が15日に発表した7月の小売売上高(季節調整済み)は前月比で1%増と、市場予想の0.4%増を大きく上回った。
コアの小売売上高は同比0.3%増と前月の0.9%増からは減少したが、市場予想の0.1%増を上回り、高インフレのなかでもアメリカの個人消費が底堅さを維持していることが確認された。
米国 小売売上高:23年7月以降
同日に米労働省が発表した週間の新規失業保険申請件数(8月10日まで、季節調整済み)は、前週比7,000件減の22.7万件と市場予想(23.5万件)を下回り、2週連続の減少となった。4週移動平均は再び低下の基調へ転じている(下のチャート、赤ラインを参照)。
個人消費だけでなく、労働市場の堅調さも確認されたことで、この日のアメリカ株式市場では主要指数が上昇した。
米国 新規失業保険申請件数:23年8月以降
株式にらみの外為市場
株高が促す新興国通貨買い、円売り
アメリカ株の上昇に連動し、世界的に株式市場が反発している。この点をMSCI世界株価指数(MSCI ACWI)のトレンドで確認すると、アメリカ株が底を打った8月5日以降、世界株価指数も反発基調へ転じ、今週は3%超上昇する展開となっている。
この動きに連動するように、外為市場ではリスク性の高い新興国通貨が買われている。対照的に株高(リスク選好)は、再び円売りの圧力を高める要因となっている(下のチャートを参照)。
円相場のパフォーマンス:8月6日以降
トルコリラ円の見通しとテクニカル分析
分岐点に差し掛かるトルコリラ円
上のパフォーマンスチャートを確認すると、トルコリラ円(TRY/JPY)の上昇率は他の新興国通貨と比べて小幅である。
しかし、トルコリラ円は現在、テクニカルの面で分岐点に差し掛かっている。その分岐点とは、直近高安のフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準4.42レベルである(下の日足チャート、赤矢印を参照)。8月に入りこのテクニカルラインが、強固なレジスタンスとして意識されている。
日足のRSIではゴールデンクロスが確認され、強気のモメンタムが強まりつつある動きが見られる。MACDでもゴールデンクロスが確認された。ゼロラインを下回る状況にはあるが、トルコリラ円の強気地合いが次第に戻りつつあることを示唆している。
「株高・円安」のトレンドとこれらテクニカル指標の動向を考えるならば、トルコリラ円の「4.42のブレイクアウト」を意識する状況にある。
今日以降、トルコリラ円が4.42レベルを完全に上方ブレイクする場合、次の焦点は21日線のトライとなろう。この移動平均線は今日現在、4.48レベルで推移している(下の日足チャート、緑ラインを参照)。8月15日の高値水準4.45レベルの突破は、21日線をトライするサインとなろう。
トルコリラ円が21日線をも突破する場合は、7月以降の下落トレンドを象徴する短期レジスタンスラインのトライが焦点として浮上しよう。このラインは今日現在、4.50レベルで推移している。
トルコリラ円:日足 今年7月以降
出所:TradingView
反落局面で買いを仕掛けたい水準は?
一方、トルコリラ円(TRY/JPY)の反落局面では、3つのフィボナッチ・エクステンションの攻防に注目したい。
最初の水準が、23.6%戻し「4.31」である。このテクニカルラインは株式市場が反発して以降、サポート水準として意識される局面が散見されている。
2つ目の水準が38.2%戻し「4.23」である。トルコリラ円が4.23レベルをトライする局面では、下ヒゲが示現するパターンが見られる。この状況は、4.23前後でのトルコリラ買い(円売り)の需要の強さを示唆している。
そして最後の水準が、半値戻し「4.16」である。4.23レベルと同じく、この水準でも下ヒゲによる反発が見られる。
なお、本レポートの掲載時点で4時間足のストキャスティクスは買われ過ぎの水準にある。RSIとともにデッドクロスへ転じる場合、まずは23.6%戻し「4.31」のトライを想定しておきたい。
4時間足(または別の時間足)のストキャスティクスとRSIで相場の動きを追い、トルコリラ円が上で述べた3つのサポート水準をトライする局面で、これらオシレーター指標が売られ過ぎの水準にあり、かつゴールデンクロスが確認される場合は、短期の押し目買いを考えたい。
トルコリラ円:4時間足 今年7月以降
出所:TradingView
ドル円の動向が重要に
トルコリラ円(TRY/JPY)は、ドル円(USD/JPY)との相関(順相関)の関係が高い(下の相関チャートを参照)。ゆえにドル円の動きを追うことは、トルコリラ円のトレンドを予測するうえで重要である。
トルコリラ/円、米ドル/トルコリラ、米ドル/円の相関関係:年初来
そのドル円は現在、「株高・円安」のトレンドが土台となり、149円台へ上昇している。昨日は、高値149.40レベルをつける局面が見られた。
RSIとMACDでゴールデンクロスが確認されている状況も考えるならば、現在のドル円は新たな高値の水準を見極める局面にある(下の日足チャート、緑矢印を参照)。
その候補として注目されるのが21日線である。この移動平均線は今日現在、150.10レベルで推移している(下の日足チャート、緑ラインを参照)。
株高トレンドが崩れない限り、ドル円は150円台を回復する可能性が高まっている。ゆえにトルコリラ円は、上で述べた「4.42のブレイクアウト」を意識する局面にある。また、トルコリラ円が反落する場合は、積極的な押し目買いを考える局面にもある。
ドル円:日足 23年12月以降
出所:TradingView
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