今週の注目材料は米国CPIと債務上限問題の行方
今週の注目材料は、4月の米国消費者物価指数(CPI)と9日から協議が始まる債務上限問題の行方となろう。それぞれの注目ポイントは?外為市場の展望は?そしてドル円のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
サマリー
・米ドル相場は米国の物価指標-4月CPI待ちのムードに
・4月米CPIの焦点と外為市場の展望について
・債務上限問題は米ドル安の要因に
・ドル円、今週の見通しと注目しておきたい上下のチャートポイントについて
米国の物価指標待ちのムード
週明け8日の外為市場では相場を動かす特段の材料が乏しく、米ドル相場は売り買い交錯の展開となった。
市場参加者の関心は、今週10日に発表される4月の米国消費者物価指数(CPI)に向いている。
先週5日の4月雇用統計では、労働市場の堅調さがあらためて確認された。注目すべきは、賃金の上昇を伴う雇用増および失業率の低下となったことである。賃金インフレの根強さが確認されたタイミングで4月CPI、特にコアCPI(変動の大きいエネルギーと食料品を除いたインフレ率)が予想外に強い内容となれば、米金利は反発地合いを維持することが予想される。
「根強いインフレの圧力 → 米金利が反発地合いを維持」する展開となれば、外為市場では米ドルの買い(戻し)圧力が高まるだろう。
米国 消費者物価指数(CPI)の推移
債務上限問題と米ドル売り
現在は連邦政府の債務上限引き上げを巡る政治の動きも、米金利の上昇要因として注視すべき状況にある。
バイデン米大統領は9日、共和党のマッカーシー下院議長やマコネル上院院内総務らと会談する準備を進めているとの報道がある。
手厚い社会保障や増税を志向する民主党と歳出削減で「小さな政府」を目指す共和党との溝は深い。マッカーシー下院議長が共和党内を統率しきれていない状況も、この問題が長引く可能性を高めると見る向きもある。
債務上限問題を巡り与野党の対立が長引けば、デフォルトリスクが意識され米金利は上昇するだろう。CDS市場ではこの点が意識され、4月以降保証料率の上昇幅が拡大している。ゆえに債務上限問題が米金利上昇の主因となる(悪い金利の上昇要因となる)場合、外為市場では米ドル買いではなく「米ドル売り」の展開を想定しておきたい。
債務上限問題が金融市場のメインテーマとなれば、米国をはじめとした主要国の株式市場の下落が予想される。悪い金利の上昇が米ドル安の要因となり、かつ株式などのリスク資産が下落する局面では、外為市場で日本円やスイスフランの買い圧力が高まることが予想される。
アメリカのCDSチャート
ドル円の見通しとテクニカル分析
50日MAが新たなサポートに
ドル円(USDJPY)は、135円台で底堅さを維持している。債務上限問題は米ドル相場の売り要因だが、現在は円安が米ドル売りの圧力を相殺する状況にある。
テクニカルの面では21日MA(134.47レベル)に代わり、50日MA(133.80レベル)がサポートラインとして意識される局面にある。ゆえに、米金利の低下と株安が同時に発生する局面では、ドル円の反落および50日MAの攻防が焦点となろう。
ドル円がこの移動平均線(50日MA)で反発する状況が続く場合は、下で述べるレジスタンスポイントを視野に堅調地合いを維持することが予想される。
上昇局面でのチャートポイント
現在の日米株式は、調整の反落を挟みながら堅調地合いを維持している。日米株高は円安要因であり、その円安にサポートされドル円が反発トレンドを維持する合は、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準135.96レベル(136.00)の再トライおよび上方ブレイクが焦点となろう。
ドル円が136円台へ上昇する場合は、5月3日の大陰線高値136.57レベルのトライが次の焦点として浮上しよう。ドル円がこのレジスタンスポイントをも突破する場合は、137円台への再上昇を想定したい。なお、200日MAは今日現在、137.00レベルで推移している。
ドル円のチャート
上のテクニカルポイントをトライするシグナル
上で取り上げた50日MAをトライするシグナルとして注目したいのが、4月の安値130.63レベルを起点とした短期サポートラインの下方ブレイクである。このラインは今日現在134.40台で推移している。ストキャスティクスは短期的な相場の過熱感を示唆している。ゆえに目先は、短期サポートラインのトライを意識しておきたい。
一方、上で述べたレジスタンスポイントをトライするシグナルとして注目したいのが、4時間足チャートで示したフィボナッチ・リトレースメントの各水準の突破である。
ドル円は現在、38.2%戻しの水準135.13レベルが意識されている。半値戻しの水準135.64レベルは、先週3日のNYタイムにドル円の上昇を止めた経緯がある。これらレジスタンスポイントの突破は、上の日足チャートで示した76.4%の水準135.96レベル(136.00)をトライするシグナルと想定しておきたい。
ドル円が136円台へ上昇し、かつ4時間足チャートの61.8%戻しの水準136.14レベルの突破は、5月3日の高値136.57および200日MAをトライするシグナルになり得る。
ドル円のチャート
大きく動くならアメリカCPI後
ドル円(USDJPY)のリスクリバーサルを確認するとドルプットの動きが一服し、現在は横ばい推移で新たな材料待ちムードとなっている。
その材料として目先注目すべきは、今週10日の4月米CPIとなろう。変動の大きいエネルギーと食料品を除くコアインフレ率が予想外に上昇する場合は、「米金利の上昇→米ドル買い」の展開が予想される。再び円安優勢へ振れているタイミングで米ドル買いの圧力が高まれば、ドル円は上で述べたレジスタンスポイントを視野に上昇幅が拡大することが予想される。
一方、米CPIが米ドル売り要因となれば、50日MAを視野にドル円の反落を想定しておきたい。
だが、CPIが米ドル売りの要因となる場合は、米株高の要因となることが想定される。ゆえに、このケースでドル円が反落しても調整相場と想定し、上で述べた50日MAで反発する可能性があろう。
ドル円が50日MAを下方ブレイクしても、先月26日に相場をサポートした133.00レベルで反転することが予想される(上の4時間足チャートを参照)。
ドル円とリスクリバーサルのチャート
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