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株式動向と円高の加速 / ドル円とユーロドルの注目ポイント

米債市場では利回りの低下が続き、ドルインデックスは7月の上昇を埋める展開に。この状況で株式市場が崩れる場合は、円高の加速を警戒したい。注目しておきたいドル円とユーロ円のチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。

出所:ブルームバーグ 出所:ブルームバーグ

株式動向と円高の加速


【サマリー】
・景気後退のリスクが意識され米金利の低下基調が続く
・米金利の低下は米ドル売りの要因に ドルインデックスは7月の上昇を埋める展開
・株式市場が崩れる場合は円高の加速を警戒
・ドル円は131円のトライ&ブレイクが焦点に
・ユーロ円は132.66レベルを視野に下落幅の拡大を警戒



・低下基調が続く米金利

米国の債券市場では、利回りの低下基調が続いている。景気の先行きを反映して動く長期金利(10年債利回り)は2.7%の水準を完全に割り込む状況となっている。一方、米金融政策の方向性に連動する2年債利回りも同じく低下基調を辿っている。これらの動きは、「景気の後退リスク→大幅利上げの可能性が後退」していることを意識した動きである。

7月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は49.4と、前月の52.0から予想外に低下し、好不況の分岐点50を下回った。7月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI/中国国家統計局発表)も49.0と予想外に悪化し50を下回った。

そして7月の米国ISM製造業景気指数は、前月の53.0から52.8へ低下した。予想の52.0は上回ったが、先行指標となる新規受注指数は48.0と6月の49.2から低下。また、雇用指数も49.9と3ヶ月連続で50を下回った。

海外の経済情勢に加えて明日以降の米指標データで景気の減速を示す内容が続く場合、米金利の低下基調が続くことが予想される。

米金利のチャート

米金利のチャート TradingView 日足(5月下旬以降)


・米金利が低下基調にある中で株式が崩れる場合は円高の加速を警戒

上で述べた米債市場の動きを受け、外為市場では米ドル高を調整する動きが続いている。

米ドル相場の大まかなトレンドを示すドルインデックス(DXY)は7月14日に109.29レベルまで上昇後に反落基調へ転じ、昨日は短期サポートラインを下方ブレイクした。7月の上昇を埋める展開となっている。

ドルインデックスのチャート

ドルインデックスのチャート TradingView 日足(5月下旬以降)


ドルインデックスのトレンドが転換した先月14日以降の対G10通貨でのパフォーマンスを確認すると、すべての通貨で米ドル安となっている。

なかでも対円では5.5%超も米ドル安が進行している。7月が株高の月だったことを考えるならば、現在のドル円(USDJPY)の下落は、景気の後退リスクを意識した米金利のトレンド転換の影響がいかに大きいかを示唆している。

そのドル円に連動してクロス円も円高優勢となっている状況を考えるならば、現在の円相場は米国の経済指標次第でトレンドが左右される状況にあると言える。

米ドル相場のパフォーマンス

米ドル相場のパフォーマンス ブルームバーグのデータより作成 / 2022年7月14日以降のパフォーマンス(%)


現在の米国株は「さえない経済指標→大幅利上げリスクの後退」が意識されている状況にある。しかし、昨日は前月から低下した7月ISM製造業景気指数への反応は限定的だった(米国株の上値は重かった)。明日以降の米経済指標が総じて景気の減速を示唆する内容とれば、米国の株式市場では大幅利上げの後退観測よりも経済の先行きリスクの方が意識される可能性が出てこよう。

また、目先のリスク要因としては、ペロシ米下院議長の訪台が予定されていることもグローバル株式のリスク要因となりかねない。台湾問題を巡り米中の緊張がさらに高まれば、株式市場の重石となる展開が予想される。

米金利が低下基調にある中で株式市場が再び崩れる場合、外為市場ではリスク回避の円買い圧力が高まるだろう。

実際にこのような展開となれば、ドル円の下落幅拡大を予想する。また、リスク回避相場は米ドルの買い戻し要因となり得る。よって、クロス円での下落幅拡大にも警戒しておきたい。


ドル円とユーロ円 今日の注目ポイント

・ドル円は130円のトライ&ブレイクが焦点に

ドル円(USDJPY)は、短期サポートラインだけでなく132.00のサポートポイントをもあっけなく下方ブレイクした。大陰線でのブレイクであることを考えるならば、下落の圧力は相当強い。

よって、今日の焦点は130円のトライ&ブレイクとなろう。

今日の東京時間にドル円は131.00をあっさりと下方ブレイクした。次の焦点は、フィボナッチ・プロジェクションの水準で重要視される161.8%の130.32レベルの攻防に注目したい。米金利のトレンド転換、株式市場の反落リスク、そしてドル円の変動幅が拡大傾向にあることを考えるならば、本日中の130.32トライ&ブレイクは十分にあり得る。

ドル円の130.32ブレイクは130.00のトライ&ブレイクの可能性を高めるだろう。一気に130円以下の攻防となる場合は、126.36レベル(5月24日安値)を視野に下落幅の拡大を警戒したい。

ドル円のチャート

ドル円のチャート TradingView 日足(今年2月以降)

・ユーロ円は“132.66レベル”のトライ&ブレイクに注目

ドル円に連動し、ユーロ円(EURJPY)も下落幅が拡大傾向にある。短期サポートラインのみならず、136.70のサポートポイントをも難なく下方ブレイクしたことで、3月安値と6月高値の半値戻し134.33レベルの攻防が焦点として浮上している。

だが、真に注目すべきは132.66レベルの攻防となるかどうか?この点にある。日足チャートを確認すると、この水準はサポートポイントとしてもレジスタンスポイントとしても意識された経緯がある。今はサポートポイントとして2度意識されるか?この点が焦点となる。

実際にそのような展開となれば、短期的にユーロ円が反発するきっかけをつくるだろう。また、ネックラインとしての重要性が増すことにもなる。それゆえ、132.66をもあっさりと下方ブレイクする場合は、124.39(3月7日安値)を視野に下落幅の拡大を警戒したい。

ユーロ円のチャート

ユーロ円のチャート TradingView 日足(年初来)

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