焦点は8月米雇用統計 / ドル円とユーロドルの注目ポイントについて
各市場参加者の関心は今晩の8月米雇用統計に集まっている。今回の雇用統計は9月FOMCの動向を左右する重要な指標となる。内容次第でドル円とユーロドルのトレンドが左右されよう。注目のチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
9月FOMCの動向を左右する8月米雇用統計
【サマリー】
・雇用関連指標の強い内容を受け米債市場では利回りが上昇基調を維持
・今日の注目材料は8月米雇用統計
・今回の雇用統計は9月FOMCの動向を左右するだろう
・強い雇用統計は米ドル高の加速要因
・ドル円は新たなレジスタンスポイントを見極める局面に
・ユーロドルは0.99-1.01レンジの攻防が続く
・連続の大幅利上げを意識する米債市場
1日の米債市場で2年債利回りは、2007年11月以来となる3.5%台へ上昇した。米金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りの上昇は、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利上げを意識した動きと言える。
短期金融市場では75bps(ベーシスポイント)利上げの確率が70%台で推移している。
実際に連邦準備制度理事会(FRB)が3回連続の大幅利上げに踏み切るかどうかの判断は、今後発表される雇用とインフレの関連指標の内容次第となろう。
9月FOMCの利上げ確率
・強い雇用統計ならば米ドル高の加速を予想
雇用関連指標の中で各市場の参加者が最も注目しているのが、今晩発表される8月雇用統計である。各項目の予想中央値は以下となっている。
8月米雇用統計の予想中央値
今週発表された雇用関連指標はいずれも強い内容だった。
7月JOLT求人件数は1123.9万件と、減少予想(1037.5万件)に反して増加した。6月分も1069.8万件から1104万件へ大幅に上方修正された。
昨日発表された新規失業保険申請件数は23.2万件と、予想の24.8万件を下回った。
そして8月ISM製造業景気指数の雇用は7月の49.9から54.2へ上昇し、5か月ぶりの高水準となった。
これら堅調な雇用関連指標は米金利の上昇圧力を高める要因となり、冒頭で述べたとおり2年債利回りは3.5%台へ上昇している。そして長期金利にも上昇の圧力がかかり続けている。
この状況で8月雇用統計が同じく強い内容となれば、米金利にはさらに上昇の圧力が高まるだろう。
一方、米国の株式市場では金利の上昇リスクが意識され、高PERの銘柄を中心に下落する展開が予想される。
米国市場が上記の展開となる場合、外為市場では米金利の上昇と株安(リスク回避相場)を受け、米ドル高が加速するだろう。
過去5日間(ジャクソンホール会議でのパウエル講演後)の米ドル相場のパフォーマンスを確認すると、総じて米ドル高となっている。この間、米債市場では利回りの上昇基調が続き、米国株は下落トレンドへ転じている。米金利の上昇と米株安(リスク回避相場)の局面では、米ドルが最も選好されやすい状況にあることがわかる。
米ドル相場のパフォーマンス
ドル円は新たなレジスタンスポイントを見極める局面に
・目先の焦点は新たなレジスタンスポイントの見極め
ドル円(USDJPY)昨日、24年ぶりに140円台へ上昇した。現状、高値140.27レベルを付けた後に反落している。
冒頭で述べたとおり米債市場では利回りの上昇基調が続いている。米金利と強い相関関係にあるドル円の特性を考えるならば、ドル円は高値を更新し続ける展開を想定しておきたい。
目先の焦点は、どの水準で今の上昇がひとまず止まるか?この点にある。言い換えれば、新たなレジスタンスポイントの水準を見極めることが、今のドル円の焦点と言える。
その候補として浮上するのが、フィボナッチ・プロジェクション76.4%の水準140.34レベルと100.0%の水準143.42レベルである。
上述したとおり、今晩の8月米雇用統計が強い内容となれば、9月FOMCでの大幅利上げの可能性が高まるだろう。米債市場では利回りの上昇が予想される。よって、強い雇用統計が確認される場合、ドル円は上記2つのテクニカルポイントをトライそしてブレイクする展開を想定しておきたい。
ドル円のチャート
ドル円が、上で述べた2つのテクニカルポイントをも難なく上方ブレイクする場合は、1998年当時の相場を参考にするしかない。
当時の動きを週足チャートで確認すると、ローソク足の実体ベースで145.00レベルがレジスタンスとしてもサポートとしても意識される局面が見られた。
145円を上方ブレイクした後は147.67レベルで上昇が止まり、その後110円を一時ブレイクする水準(108.23レベル)まで「米ドル安/円高」が急速に進行した。
現在の米金利の上昇基調と日本の経常収支が悪化の傾向にあることも考えるならば、上で述べたフィボナッチ・プロジェクションのテクニカルポイントを突破し、1998年当時のレジスタンス水準をトライすることも想定しておきたい。
ドル円のチャート
なお、8月雇用統計が総じて予想以下となれば、大幅利上げの観測がひとまず後退する可能性がある。このケースでは、米金利の低下とそれに伴う米株高の展開が予想される。
米国市場がこの展開となれば、外為市場では米ドル売り優勢の展開が予想される。このケースではドル円の反落(調整の反落)を想定し、139.40レベルがレジスタンスからサポートへ転換するかどうか?または138円台を維持できるかどうか?まずはこれらの点に注目したい。
ユーロドルは0.99のトライそしてブレイクが再び焦点に
・0.99-1.01レンジの攻防
調整の反発基調にあったユーロドル(EURUSD)だが、昨日は大陰線が示現し、再びパリティ水準(1.0)を下抜ける展開となっている。
テクニカルの面で注目すべきは、昨日のレポートで指摘した21日EMA(今日現在1.006レベル)で戻りが止められたことだろう。昨日の大陰線は、この移動平均線が今後レジスタンスラインとして意識される可能性を示唆している。同時に1.01レベルがレンジの上限として意識される可能性も高めた。
忙しない展開となっているユーロドルだが、昨日の下落でレンジの下限と想定される0.99レベルのトライそしてブレイクが再び焦点として浮上してきた。この水準を下方ブレイクする要因として注目したいのが、やはり今晩の8月米雇用統計である。今回の雇用統計が米金利の上昇をさらに高める内容となれば0.99の下方ブレイク、そしてフィボナッチ・プロジェクションの各水準での攻防を想定しておきたい。
一方、8月雇用統計が「米金利の低下→米ドル安」の要因となれば、21日EMAを再トライするか?この点に注目したい。
ユーロドルのチャート
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