ドル円相場、下半期大荒れ 1%超の騰落続出 2025年の見通しは?
ドル円相場は2024年下半期に1%超の値動きが23回あった。2000年以降の半期としては5番目の頻度。2025年は円高急進の可能性もくすぶる。
ドル円相場の2024年下半期の値動きは大荒れの展開が続いた。12月20日終値までの日次データの集計では、前日比での値動きが1%を超えた回数は23回。2000年以降の半期ベースでの値動きとしては5番目にあたる頻度で、荒れ模様の半年だったといえる。日本政府の為替介入や日米の金融政策をめぐる思惑の揺れで、1ドル=161円台から139円台まで円高が進んだ後、足元では158円台目前まで円安に戻るといった激しい値動きに見舞われた。2025年の見通しをめぐっては、円安圧力と為替介入への警戒が拮抗することも考えられる。一方、1月20日に就任するドナルド・トランプ次期大統領らの言動やアメリカ経済の進展次第で、大きく円高に振れる可能性も考えられそうだ。
ドル円相場、2024年下半期は大荒れ 1%超の値動きは23回も
ドル円相場(USD/JPY)の2024年下半期(7-12月)の値動きを12月20日までのデータで振り返ると、1%以上の円安が9回、1%以上の円高が14回あった。合計23回という数字は、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げが続いた2022年下半期(27回)以来の多さだ。2000年以降のデータで23回以上の1%超の値動きがあったのは、この2回に、リーマン・ショックが起きた2008年下半期(38回)と2009年上半期(36回)、さらにアベノミクスに伴い日本銀行が大規模金融緩和に着手した2013年上半期(31回)を加えた5回だけだ。
円安は37年半ぶりの161.95円まで 139.58円の円高水準も
2024年下半期の荒れた相場の節目となったのは37年半ぶりの円安水準だった。ブルームバーグによると、ドル円相場は7月3日に一時、1ドル=161.95円をつけた。しかし11日には、日本政府の為替介入とみられる値動きで前日比1.76%の円高となる158.84円を記録。さらに米国の7月雇用統計で失業率が4.3%に上がった8月2日には下半期最大となる1.89%の円高が進行した。その後、9月16日には一時、139.58円をつけている。
しかしドル円相場はその後、円安に振れた。10月2日には就任直後の石破茂首相が日本銀行の金融政策について「個人的には現在、追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」と発言。2日終値は下半期最大となる2.02%の円安で1ドル=146.47円となった。米大統領選挙翌日の11月6日にはトランプ氏の経済政策が物価上昇圧力を招くとの見方から1.99%の円安が進行。さらに直近では、日銀の植田和男総裁が記者会見で利上げへの慎重姿勢を示した12月19日にも1.71%の円安となり、翌20日には一時、1ドル=157.93円をつけた。
2025年は円安と介入警戒で拮抗か トランプ氏や米経済の動向で円高急進も
こうした中、2025年のドル円相場の見通しは日米の金融政策の方向性が左右しそうだ。FRBは18日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で3会合連続の利下げを決めたものの、ジェローム・パウエル議長は2025年の利下げペースは減速すると説明している。日銀の利上げへの慎重姿勢と合わせて考えれば、日米の長期金利(10年物国債利回り)の差は縮まりにくく、ドル円相場の値動きが小さくなることも考えられる。特に、米国金利が高止まりするとの見通しが円安圧力となった場合には、日本政府による為替介入で円高が急進することへの警戒も強まり、1ドル=160円前後でドル円相場が膠着することも想定される。
ただ、ドル円相場の今後の見通しをめぐっては、1月20日のトランプ政権発足が円高材料となる可能性もくすぶる。米国の製造業の復権を目指すトランプ氏は大統領選挙中の7月に円安や人民元安を問題視する発言が材料視された。また、トランプ氏が11月22日に財務長官に指名したスコット・ベッセント氏は財政赤字の縮小などを提言しており、円高要因といえる米国の長期金利低下につながる局面もあった。
ドル円相場の2000年以降の平均は1ドル=111円程度。足元の水準は大幅な円安といえる。トランプ氏から円安を牽制する発言が出るなどすれば、急激に円高が進む展開もありえる。また米国の労働市場で失業率が上がるなど、高金利が長期間にわたって続いてきた米国経済の見通しに不安が生じた場合にも、大きな円高要因として意識されることになりそうだ。
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