日銀イベントを受けた円安は続かず 焦点は経済指標へ
"日銀相場"は短時間で終息した。ドル円は引き続き下値を模索する展開が予想される。ドル円の動きに追随しているユーロ円も下値トライを意識する状況にある。目先の展望は?注目のチャートポイントは?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
日銀イベントを受けた円安は続かず 焦点は経済指標へ
【サマリー】
・日銀イベントを受けた円安は短時間で終息
・市場は日銀が追加の政策修正に追い込まれることを意識している
・市場参加者の関心は経済指標へシフト
・ドル円とユーロ円の展望およびチャートポイントについて
“日銀相場“は続かず
日銀は1月17~18日に開かれた金融政策決定会合で大規模な金融緩和政策の継続を決めた。
日銀の緩和修正見送りを受け、外為市場は円安に振れた。しかし、欧米時間に入ると米ドルを売る動きが見られ、ドル円(USDJPY)は一転して下値を目指す展開となり、あっさりと130円台を下方ブレイクした。
ドル円の下落にクロス円も追随し、日銀イベントを受けた円安は短時間で終息した。日銀の政策維持を受け、国内の長期金利は一時0.36%台まで低下した。しかし、すぐに切り返すと0.42%前後まで反発した。
1月会合で追加の政策修正を見送った黒田日銀だが、上で述べた円相場と国内長期金利の動向は、今後日銀が追加の政策修正を行わざるを得ない状況に追い込まれることを想定していることがうかがえる。
国内長期金利の動向
市場の焦点は経済指標にシフト
日銀イベントを通過し、外為市場の焦点は経済指標にシフトするだろう。
18日に発表された12月の英消費者物価指数(CPI)は前年比で10.5%と、前月の10.7%(同比)から鈍化した。しかし、依然として二桁台を維持したことで英中銀の持続的な利上げ政策が正当化されるとの見方から、昨日の外為市場ではポンドを買う動きが見られた。
一方、アメリカの個人消費の動向を知る上で重要な指標となる12月小売売上高(前月比)は1.1%減となった(市場予想は0.9%減)。
個人消費の縮小は景気リスクの懸念を高め、米債市場では利回りが低下した。米金利の低下を受けて外為市場では米ドル安優勢の局面が見られた。NY時間での株安(リスク回避)に米ドル相場はサポートされたが(リスク回避の米ドル買いが見られたが)、今日以降の経済指標でも予想を下回る内容が続く場合は、「景気リスク→米金利の低下→米ドル売り」の圧力を受け、米ドル相場は調整の反発を挟みながら上値の重い展開が続くことが予想される。
18日の欧米市場の動き
今年の米経済指標の見方について
なお、今年の米経済指標を考察する際は、2つのことに注目したい。
ひとつは、インフレ関連の経済指標が引き続きインフレの鈍化傾向を示すかどうか?である。インフレの動向は連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の方向性を左右する要因である。インフレの鈍化が続く場合、米債市場の参加者は早期の利上げ停止とその先の利下げを意識するだろう。外為市場では米ドル安の要因となろう。
逆に「インフレが低下しない」リスクが意識される場合は、米金利の低下圧力が後退すると同時に米国の株式市場は下落することが予想される。外為市場では、米ドルを買い戻す動きが多く見られよう。
もうひとつの注目点は、昨年と違い今年は企業の生産活動や個人消費に関連した経済指標の内容が、素直に市場で受け止められる可能性が高いということである。そう考える理由は、市場のテーマがインフレリスクから景気リスクへシフトしているからである。ゆえに上記の経済指標で予想を上回る内容が続けば、「良いニュース(強い経済指標)は、良いニュース」として市場で捉えられるだろう。
逆に上記の経済指標で予想を下回る内容が続けば、「悪いニュース(さえない経済指標)は、悪いニュース」として、各市場で素直に受け止められるだろう。
ドル円とユーロ円の焦点
ドル円(USDJPY)
1月会合で日銀は緩和政策の修正を見送った。
ドル円は円安圧力の高まりを受けて131円台へ急騰した。しかし、欧米時間に入ると一転して下値を目指す展開となった。
日足チャートを確認すると、見事に2つの重要なテクニカルラインー短期レジスタンスラインと21日線(MA/131.34レベル)で上昇が止められたことがわかる。しかも、日足ローソク足で長い上ヒゲが示現している状況は、ドル円の地合いの弱さを示している。
国内の債券市場では引き続き海外勢を中心とした投機的な売り圧力に直面する可能性が高いだろう。一方、米債市場では景気リスクが意識されやすい状況にある。ゆえにドル円は、下値を模索する展開を意識しておきたい。
ドル円が下値を目指す場合、目先の下値ポイントは128円台の維持だが、現在の地合いの弱さを考えるならば、今月16日の安値127.22のトライおよびブレイクを意識する局面にある。ドル円がこのサポートポイントを難なく下方ブレイクする場合は、このレポートで何度か指摘してきた「126円の攻防」が焦点として浮上しよう。
一方、ドル円の反発局面では、上で述べた2つのテクニカルラインー短期レジスタンスラインと21日線のトライおよびブレイクとなるかどうか?この点が焦点となろう。
ドル円のチャート
ユーロ円(EURJPY)
ユーロ円は、ドル円の動きに追随する状況にある。昨日は、日銀イベント後に141.70手前まで急騰した。しかし、欧米時間に入りドル円が下落するとユーロ円もこの動きに追随し138円台で引けた。
ユーロ円の日足チャートを確認するとドル円と同じ展開-日足ローソク足で長い上ヒゲが示現し、短期レジスタンスラインで上昇が止められたことがわかる。
今後もドル円の下値リスクを警戒する必要があること、欧州中央銀行(ECB)の利上げペース減速の可能性が出てきたこと、そして景気リスクによる株安の可能性も考えるならば、ドル円と同じくユーロ円も下値トライを意識する状況にある。
予想どおりにユーロ円が下値を目指す場合、目先の焦点はサポートポイントとして意識されている138.20レベルの攻防となろう。この水準を下方ブレイクする場合は、1月3日の安値137.39レベルを視野に下落幅の拡大を予想する。
一方、ユーロ円が反発する場合の焦点は、ローソク足の実体ベースで10日線(MA/140.07レベル)を突破できるかどうか?この点に注目したい。
10日線すら突破できない状況が確認される場合は、ユーロ円の地合いの弱さを市場参加者に印象付けよう。139.50のブレイクは、10日線をトライするシグナルと想定しておきたい。
ユーロ円のチャート
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