日銀の政策動向を読み切れない市場

日銀の政策動向を読み切れない市場

【サマリー】
・日銀イベント待ちの外為市場
・日銀の政策動向を読み切れない市場
・ドル円は調整の反発を想定するも上昇幅は限定的となろう
・ユーロ円はドル円の動きに追随することが予想される

日銀の政策動向を読み切れない市場

思惑先行の円買い
外為市場の参加者の関心は、日銀イベントに向いている。

昨年12月20日の会合で黒田日銀は、市場の意表を突くかたちでイールドカーブ・コントロール（YCC）の修正（長期金利の変動幅を±0.25％程度から±0.5％程度に拡大すること）を決断した。そして今月12日に読売新聞が、1月の金融政策決定会合（17～18日）で日銀が大規模緩和の副作用を点検するという内容の記事を報じたことで、外為市場ではさらなる政策修正を意識した円高が進行した。ドル円（USDJPY）は昨日、127.22まで下落する局面が見られた。

円相場の動向：1月12日以降

迷う市場
黒田日銀が追加の政策修正に動くーこの確信が外為市場の参加者にあるならば、16日の円相場は円高優勢で推移してもおかしくなかった。しかし、昨日の外為市場では円高が一服した。

また、国内の株式市場の参加者にその確信があるならば、銀行株が上昇基調を維持してもおかしくなかった。しかし、TOPIX銀行株指数は約3％下落した（昨年12月20日の決定会合で日銀が政策修正を決定した時は5％以上の上昇率だった）。

日銀が追加の政策修正を決断することに対する警戒心は根強いが、それについて確信を持つことができない今の市場心理を昨日の円相場と銀行株の動きは示唆している。

TOPIX銀行株指数

ドル円とユーロ円の展望

ドル円の展望
ドル円（USDJPY）は、日銀イベント前の調整の反発が続くことが予想される。だが、米ドル安の先安観は根強い。この点については、米金利の低下基調やNY金相場の上昇基調が示唆している。よって、ドル円が反発基調を維持しても上昇幅は限定的となろう。

本日もドル円が反発する場合、まずはレジスタンスのポイントとして意識されるムードが出始めている128.80レベルの攻防に注目したい。

ドル円が難なく128.80レベルを突破する場合は、129円台への上昇とフィボナッチ・リトレースメント61.8％の水準129.38レベルまで調整の反発相場が進行する展開を想定しておきたい。この水準は、先週12日のNY時間から13日の早朝にかけて相場の上昇を止めた経緯がある。

一方、ドル円が下値を目指す場合は、昨日の安値127.22レベルのトライが焦点となろう。128.00レベルを大陰線で下方ブレイクする場合は、日銀の政策修正に対する思惑の強さを示す動きと捉えたい。

ドル円のチャート

ユーロ円の展望
今月12日以降、ドル円の下落幅が拡大しているが、この動きに追随してるのがユーロ円（EURJPY）である。

日銀イベントを前にドル円が調整の反発相場を維持すれば、ユーロ円もこの動きに追随することが予想される。しかし、142.90レベルで2度上値が止められ21日線と200日線でデッドクロスが示現していること、MACDで地合いの弱さを示す動きが続いてこと、さらにユーロドル（EURUSD）の上昇が1.09手前で止められていることも考えるならば、ユーロ円の上昇幅は限られよう。

目先の焦点は、フィボナッチ・リトレースメント23.6％の水準139.15レベルの攻防となろう。昨日はこの水準で相場の戻りが止められた。23.6％戻しの突破に成功する場合は、38.2％の水準139.86レベルまで反発する展開を想定しておきたい。

ユーロ円が139.86レベルの突破にも成功する場合は、節目の140.00トライが焦点となろう。この水準の攻防では、サポートからレジスタンスへの転換を確認したい。

一方、ユーロ円が下値をトライする場合の焦点は、今月3日の安値137.39レベルの維持である。この水準をトライする材料となり得るのが、日銀の政策転換である。先週13日の安値138.01レベル（138円）の下方ブレイクは、137.39トライのシグナルと想定しておきたい。

ユーロ円のチャート