今週の注目材料と外為市場およびドル円の展望について
今週の注目材料はアメリカの経済指標と日銀イベントとなろう。それぞれの焦点は?外為市場とドル円の展望は?詳細はIG為替レポートをご覧ください。
※今週のユーロ円の見通しについてはこちらのレポートをご覧ください
サマリー
・今週の外為市場は引き続きアメリカ経済指標にらみの展開が予想される
・3月PCEデフレーターに対する米金利と米国株の反応が焦点に
・日銀イベントと円相場の展望について
・今週のドル円の見通しとテクニカル分析について
アメリカ経済指標にらみの展開が続く
現在の米債市場は、経済指標の内容で上下に振れる展開となっている。このため、今週の米ドル相場も引き続き経済指標の内容にトレンドが左右されることが予想される。
今週は、25日に4月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)、27日に1-3月期実質国内総生産(GDP)速報値、そして28日に3月個人消費支出(PCE)価格指数(PCEデフレーター)が発表される。
いずれの経済指標も米金利の変動要因になり得るが、連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ政策が長期化する可能性が意識されている状況を考えるならば、PCEデフレーターの内容と米金利の反応により注目したい。
アメリカPCEデフレーターの推移
上のチャートを見ると、PCEデフレーターの前月比では上振れする月が見られるが、前年比ではコア指数を含めインフレが鈍化の傾向にある。
フェデラル・ファンドレート(FF)金利先物の動向から利上げの確率を割り出すFEDウォッチツールで6月会合の利上げ確率の動向を確認すると、5月会合での0.25%の利上げを最後にFRBの利上げサイクル終了を織り込む状況にある。
しかし、重要な物価指標である消費者物価指数(CPI)の動向を確認すると、3月の住居費は前年比で8.2%と高止まりしている。また、サービス価格(除くエネルギーサービス)は低下基調にはあるが、同比で7.1%と未だに高い水準を維持している。そして食品
住居費およびエネルギーを除いた3月のインフレ率は前年比で3.8%と、2月の3.7%から上昇している。アメリカのインフレは確かに鈍化のトレンドにある。しかし、FRBが物価指標としている2%へ低下しないリスクがくすぶる。
5月と6月会合の利上げ確率
外為市場の展望
先週のFEDウォッチでは、6月会合での0.25%利上げの確率が30%前後まで上昇する局面が見られた。現時点では20%前半へ低下している(上のチャートを参照)。
しかし、インフレリスクがくすぶるなかでパウエルFRBが注視する物価指標(PCEデフレーター)がインフレ圧力の根強さを示す場合は、市場が織り込んでいる「5月会合で利上げサイクルが終了する」という思惑が後退しよう。1QのGPDデータでも予想外に強い内容が確認される場合は、「利上げ長期化の観測→米金利の上昇→米ドル買い」の展開を想定しておきたい。
米金利の上昇と米株安が同時に発生する場合は、欧州通貨やオセアニア通貨で米ドルの買い戻し圧力が高まる展開が予想される。このケースでのドル円(USDJPY)は米ドル買いにサポートされ、下で述べるレジスタンスの水準を再びトライする展開が予想される。クロス円では下値トライを想定しておきたい。
市場予想を下回るアメリカの経済指標が続く場合に注目したいのが、米国株の反応である。さえない経済指標が景気リスクを意識させ米株安の要因となる場合は、外為市場で円買いの圧力が高まることが予想される。このケースでは米金利の低下が予想される。米金利の低下は米ドル安の要因だが、通貨によってはリスク回避の米ドル買いが予想される。
一方、さえない経済指標が利上げ長期化の懸念を後退させる場合(=米金利が低下する場合)は、米国株の上昇が予想される。このケースでは、米ドル安と円安が同時に発生するだろう。欧州通貨やオセアニア通貨は、米ドルや円で上昇する展開が予想される。円相場では、クロス円の上昇を想定しておきたい。
アメリカの経済指標と外為市場の展望
日銀金融政策決定会合と円相場について
今週27~28日に日銀金融政策決定会合が開催される。
今月10日の総裁就任会見で植田氏は、現状の経済、物価、金融情勢を鑑みると、現行のイールドカーブ・コントロール(YCC)を継続することが適当と述べた。国会の所信聴取の場でも、現在は金融緩和のメリットが副作用を上回っていると述べた。国内のインフレや賃金の動向を見極めながら政策運営を行う必要があることも考えるならば、今回の会合では現行の金融政策を維持する公算が大きい。
展望レポート(基本的見解)では、2025年のインフレ見通しが公表される。2%の物価目標を下回る水準が示される場合、日銀の緩和政策維持を外為市場の参加者に意識させるだろう。
しかし、外為市場ではすでに日銀の緩和政策維持を織り込み円安が進行している。よって、今回の日銀イベントに対する円相場の反応は限定的となることが予想される。円安で反応してもその持続性は、上で述べたアメリカの経済指標と海外市場の動向次第となろう。
植田日銀はしばらく現行の金融緩和政策を維持するだろう。だが、植田総裁は現在の金融緩和政策の副作用や問題点についてもふれている。よって、基本路線は政策の見直しにあると思われる。今後の政策動向を考える上でフォワードガイダンスは重要な材料のひとつになり得る。可能性は低いがフォワードガイダンスの修正がある場合、その内容によっては円相場が上下に振れる展開が予想される。
ドル円の見通しとテクニカル分析
テクニカルの面では下落リスクを警戒する局面に
今週のドル円(USDJPY)は、サポートの水準を探る展開を想定しておきたい。
直近のトレンドを1時間足チャートで確認すると、MACDは上昇の勢いが後退していることを示唆している。そして実際の相場は、短期レジスタンスラインを形成しながら、4月高安のフィボナッチ・リトレースメント38.2%戻しの水準133.40レベルをトライするムードにある。4月の安値を起点とした短期サポートラインのブレイクは133.40レベルをトライするシグナルと想定しておきたい。
ドル円が133.40レベルをもあっさりと下抜ける場合は、132円台への下落を警戒したい。
ドル円が132円台の攻防へシフトする場合は、4月高安の半値戻し132.87レベルの攻防が焦点となろう。4月の中旬に132円台の維持に貢献した21日MAは今日現在、132.94レベルで推移している。これらテクニカルポイントでの攻防(132.85-95ゾーンの維持)は、133円台維持の攻防でもある。
ドル円のチャート
日足のチャートポイント
次に日足チャートでドル円の動向を確認すると、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準134.75レベルで相場の上昇が何度も止められている。135.00レベルとレジスタンスゾーンを形成していると考えることもできる。先週21日の市場では、10日MA(133.85レベル)を下方ブレイクする局面が見られた。MACDでは横ばい推移のムードが漂い始めている。
いずれにしてもテクニカルの面では、ドル円の反落を警戒する局面にあることがうかがえる。この状況でドル円の下落幅が拡大する場合(そのきっかけとなり得るのがアメリカ経済指標)は、ドル円の10日MAブレイクとさらなる下値トライを想定しておきたい。
ドル円の下落幅が拡大する局面での焦点は、上で述べた132.85-95ゾーンの攻防となろう。
日足チャートを重視するなら、21日MA(132.94レベル)の攻防に注目したい。さえないアメリカの経済指標が景気の先行き懸念を意識させる場合は、米金利の低下と米株安が同時に発生するだろう。ゆえにこのケースでのドル円は、21日MAのブレイクを想定しておきたい。
日足ローソク足の実体ベースで21日MAがレジスタンスラインへ転換する場合は、日足チャートの短期サポートライン(1月16日の安値127.22レベルを起点としてサポートライン)を視野に、ドル円の下落幅がさらに拡大する展開を想定しておきたい。
ドル円のチャート
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