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ドル円 今週の見通し:円高の逆回転を警戒、パウエルFRB議長の証言と米物価指数に注目

今週のドル円は、米国の重要イベントで上下に振れる展開が予想される。注目はパウエルFRB議長の議会証言と物価指数である。これらの内容次第では、急速に進行した円高の逆回転相場を警戒したい。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

記事の概要

先週、国内の債券市場では10年債利回り(長期金利)が13年10カ月ぶりに1.3%へ上昇した。日米利回り格差の縮小が進行しドル円は、2ヶ月ぶりに150円台へ下落した。クロス円も総じて円高優勢となった。だが今週は、円高の逆回転相場を警戒したい。そのきっかけになり得るのが、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言とアメリカの1月物価指数となろう。今週のドル円の予想レンジは148.20-154.00。


目次


国内金利の上昇で日米利回り格差が縮小、ドル円は一時150円台へ

先週7日の国内債券市場で新発10年物国債利回りが1.3%へ上昇した。2011年4月以来、およそ13年10カ月ぶりの高水準である。金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りも0.8%を視野に上昇幅が拡大した。

国内金利の上昇幅が拡大した一因となったのが、24年12月の毎月勤労統計調査(速報)だった。名目賃金(1人当たりの現金給与総額)は前年同月比で4.8%増の619,580円と、堅調な伸びを示した。2024年の実質賃金は前年から0.2%減となり3年連続のマイナスとなったが、昨年12月は前年同月比でプラス0.6%と、2か月連続でプラスとなった。日銀高官の発言も材料視されたとの見方がある。田村直樹審議委員は先週6日、長野県松本市の金融経済懇談会で「25年度後半には少なくとも1%程度まで短期金利を上げておくことが必要」との考えを示した。

国内金利の上昇は日米の利回り格差の縮小を促し、外為市場では対主要通貨で円高が進行した。(USD/JPY)は先週7日、2ヶ月ぶりに150円台へ下落する局面が見られた。

円相場の動向:2月3日~7日

円相場の動向:2月3日~7日

ブルームバーグのデータで筆者が作成


焦点はパウエル証言と米物価指数、内容次第で円高の逆回転相場を警戒

今週の外為市場は、米国イベントにらみの1週間となろう。なかでも市場参加者の注目度が高いのが、以下にまとめた11日のパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の議会証言と1月の物価指数である。

【米国の重要イベント】
・11日:パウエルFRB議長、上院銀行委員会で半期に一度の議会証言
・12日:1月の米国消費者物価指数(CPI)
・13日:1月の米国生産者物価指数(PPI)

アメリカ消費者のインフレ期待が急速に高まっている。この点を示唆したのが、ミシガン大学の調査による2月の期待インフレ率(速報値)だった。1年先のそれは4.3%と2023年11月以来の高水準となり、前月の3.3%から急上昇した。昨年の米大統領選挙以降からインフレ期待が急速に高まっている。この状況はトランプ関税で物価が上昇することを消費者が敏感に感じ取っていることを示唆している。

一方、米FRBが重視する5-10年先の期待インフレ率も3.3%と前月の3.2%から上昇し、2008年6月以来の高水準となった。

ミシガン大学調査 期待インフレ率:2023年1月~2025年2月

ミシガン大学調査 期待インフレ率:2024年2月~2025年2月

ブルームバーグのデータで筆者が作成

アメリカ消費者のインフレ期待は、実際の物価動向に大きな影響を与える。今週11日にパウエルFRB議長は上院銀行委員会で半期に一度の議会証言に臨む。インフレ再燃を警戒し今後の利下げについて慎重な姿勢を強調する場合は、今年前半(6月まで)の利下げ期待がさらに後退することが予想される(12日にパウエルFRB議長は下院金融委員会の議会証言に出席するが、上院銀行委員会と同じ発言が繰り返されると思われるため材料視される可能性は低い)。利下げ期待の後退は米ドル高の要因となろう。なお、先週7日時点でOISに基づく利下げ確率を確認すると3月と5月の利下げ見送りが織り込まれ、6月の利下げ確率は30%台へ低下している。

12日に1月の消費者物価指数(CPI)、13日に同月の生産者物価指数(PPI)がそれぞれ発表される。共通しているのが、いずれも前月比でインフレの粘着性が予想される一方、トレンドを示す前年同月比のコア指数は鈍化の見通しにあることだ。

米金利の低下幅が拡大したきっかけは、昨年12月の米コアCPIの鈍化にあった。ゆえに今回もコア指数の内容が米金利と米ドルの変動要因となることが予想される。コア指数が予想外に上昇する場合は、インフレ再燃のリスクが意識されることで、「米金利の反発→米ドル高」を想定しておきたい。特に先週の外為市場では、対米ドルで2.5%も円高が進行した。ゆえにアメリカの物価指数が米金利の反発要因となれば、今週は円高の逆回転相場を警戒する必要があろう。

一方、コア指数でインフレの鈍化が確認される場合は、米ドル安・円高のトレンドが続くことが予想される。

米国 消費者物価指数と生産者物価指数:2024年1月~12月

米国 消費者物価指数と生産者物価指数:2024年1月~12月

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:25年1月の市場予想


ドル円 今週の見通しとテクニカルライン

154円までの反発を想定
パウエルFRB議長の議会証言やアメリカの物価指数が米ドル高の要因となれば、急速に進行した円高の逆回転相場を想定したい。
関税に関する報道も円高逆回転の要因になり得る。トランプ米大統領は9日、10日に全ての鉄鋼とアルミニウム輸入への25%関税を発表すると述べた。日米首脳会談後の記者会見では相互関税についても言及した。10日には中国が対米報復関税を発動する。インフレ再燃の懸念が高まるなかで関税リスクが意識される場合は、米ドル高の要因になり得る。ドル円(USD/JPY)は、以下にまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。予想レンジの上限は154.00レベル。

・最初の焦点は152円台への反発となろう。ドル円が152円台へしっかりと上昇する場合、最大の焦点は200日線の攻防となろう。この移動平均線は先週6日に相場の反発を止めた。今週も同じ状況が確認される場合は、レジスタンスラインへ転換することになる。152.50レベルの突破は200日線をトライするサインと捉えたい。この水準もレジスタンスラインへ転換する可能性がある(1時間足、黒矢印を参照)

・ドル円が200日線を完全に上方ブレイクすれば、153円台の攻防が視野に入ろう。153.00レベルもレジスタンスラインへ転換する兆しが見られる(1時間足、黒矢印を参照)

・先週7日の時点で10日線が153.90台まで低下している。この移動平均線の突破は、予想レンジの上限154.00をトライするサインと捉えたい。154.00レベルもレジスタンスラインへ転換する可能性がある。

レジスタンスライン
・154.00:予想レンジの上限(日足、1時間足)
・153.90:10日線(日足、2/7時点)
・153.00:レジスタンス転換の可能性あり(1時間足)
・152.73:200日線(日足、2/7時点)
・152.50:レジスタンス転換の可能性あり(1時間足)
・152.00:レジスタンスライン(1時間足)

円高継続なら148円台のトライを警戒
日足チャートでは10日線と50日線でデッドクロスが確認された。MACDはゼロラインを下回り、かつ低下基調を維持している(日足チャート、黒矢印を参照)。6日に200日線で反発が止められた状況も考えるならば、テクニカルの面ではドル円(USD/JPY)の地合いの弱さがうかがえる。この状況でアメリカ物価指数がインフレの鈍化を示唆する場合は、「米ドル安・円高」の継続を想定したい。国内金利の上昇も続けば、ドル円の下落幅が拡大することが予想される。週間の予想レンジ下限は148.20レベル。このラインをトライするサインとして、以下でまとめたサポートラインの攻防に注目したい。

・最初の焦点は、先週の下落を止めた151.00の維持となろう。この水準を完全に下方ブレイクすれば、節目の150.00を視野に円高の進行を想定したい。昨年9月30日の安値141.65レベルを基点とした半値戻し150.26の下方ブレイクは、150.00をトライするサインと捉えたい

・ドル円が節目の150.00をも下方ブレイクする場合は、昨年9月16日の安値139.58レベルを基点とした半値戻し149.23レベルを視野に下落幅の拡大を想定したい。すぐ下の149.00は、昨年10月にサポートラインへ転換した。149.00-149.20をサポートゾーンと想定したい

・アメリカ物価指数の内容と国内金利の動向次第では、米ドル安と円高が同時に進行するだろう。このケースでは、瞬間的に148円台へ下落する可能性がある。テクニカルの面では、昨年9月30日の安値を基点としたフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準148.23のトライが焦点となろう。この水準を今週の予想レンジの下限と想定しておきたい。

サポートライン
・151.00:サポートライン(日足)
・150.26:半値戻し(日足、昨年9月30日安値が基点)
・150.00:節目のライン
・149.23:半値戻し(日足、昨年9月16日安値が基点)
・148.23:予想レンジの下限、61.8%戻し(日足、昨年9月30日安値が基点)


ドル円のチャート

日足:2024年9月以降

日足:2024年9月以降

出所:TradingView

1時間足:1月29日以降

1時間足:1月9日以降

出所:TradingView


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