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底堅さを維持するドル円、焦点は日銀会合と植田総裁の会見、円高局面での注目水準

5月の物価指数で米国のインフレが鈍化の傾向にあることが示された。9月利下げの可能性が意識され、米債市場では利回りが低下している。日米の利回り格差は縮小の傾向にある。しかしドル円(USD/JPY)は底堅さ維持している。今日は日銀会合と植田総裁の会見で上下に振れる展開が予想される。円買い圧力が高まる場合、ドル円はサポートラインの攻防が焦点となろう。


サマリー

・5月の物価指数は米国のインフレが鈍化の傾向にあることを示唆した
・インフレの鈍化を受け、米金利は低下基調へ転じている
・米金利の低下で日米の利回り格差が縮小、しかしドル円は底堅さを維持
・日銀イベント3つの焦点とドル円の展望について


インフレの鈍化傾向を示唆した5月の米物価指数

13日に発表されたアメリカの5月生産者物価指数(PPI)は前月比で0.2%減と予想外に低下した。同比のコア指数も0.0%と、4月の+0.5%から大幅に低下した。また、トレンドを示す前年同月比でも、総合とコア指数がともに前月から低下した。

5月の消費者物価指数(CPI)と同月PPIでインフレが鈍化の傾向にあることが確認されたことを受け、米国の債券市場では10年債利回り(以下では長期金利)が4.2%台まで低下した。金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りも4.7%の水準を割り込む状況にある。

アメリカ物価指数の動向:23年5月以降

アメリカ物価指数の動向:23年5月以降 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:5月の結果

日米利回り格差が縮小しても底堅さを維持するドル円

米金利の低下を受け、日米利回り格差は縮小の傾向にある。

しかし、ドル円(USD/JPY)は157.00レベルを挟んで底堅さを維持している。この状況で今日は日銀イベントを迎える。

日米の利回り格差の動向:23年9月以降

日米の利回り格差の動向:23年9月以降 ブルームバーグのデータをもとに筆者が作成

日銀会合、3つの焦点

焦点1:国債購入の減額議論

日銀金融政策決定会合の焦点は3つある。一つは、月6兆円規模の国債購入の減額についての議論である。

金融政策決定会合における主な意見(2024 年 4 月 25、26 日開催分)では、国債購入の減額についての意見があった。減額の議論についてはすでに報道もされ、円高で反応する局面も見られた。今回の会合で減額を決定しても、植田日銀は金利の急激な変動を避ける措置を講じる姿勢を強調してくるだろう。

すでに市場が減額の可能性を織り込んでいる状況も考えるならば、このことが円高の要因となっても、その幅は限定的となることが予想される。

また、持続的な国債購入の減額については、経済と市場の情勢を見ながら徐々に進めていることが予想される。よって、この議論が円相場に与える影響はその内容も踏まえ、短期ではなく中長期のスパンで考える必要があろう。

焦点2:円安の対応

短期的に円安の進行を止める要因として注目したいのが、植田和男総裁の円安に対する対応と賃金の見通しである。

植田総裁は円安が物価に及ぼす影響について、4月の会見で述べた見解を5月の上旬に修正してきた。

同月7日に官邸で岸田首相と会談した後、「円安については日銀の政策運営上、十分注視をしていくことを確認した」と述べた。そして5月8日の衆議院財務金融委員会では、「過去の局面と比べて為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている側面、あるいはリスクがあることは意識しておく必要がある」と述べた。

植田総裁の言動の変遷を考えるならば、政府内で円安が政治的に重要な問題となっていることは明らかである。政治の情勢も考慮し植田総裁は今日の会見で、過度の円安進行についてはしっかりと対応していく方針を示す可能性がある。

植田総裁が円安対応について言及する場合、ドル円の上昇幅が拡大する局面では政府・日銀が円買い介入も含めた政策対応の姿勢を示す可能性が意識されることで、重要なチャート水準で反落する可能性を高めよう。

焦点3:植田総裁が考える賃金の見通し

短期的に円安を抑制するもうひとつの要因として注目したいのが、追加利上げの動向である。この点を考える上で重要なのが、賃金に関する植田総裁の見通しとなろう。

4月の毎月勤労統計調査で、実質賃金は25カ月連続でマイナスとなった。しかし、インフレの鈍化と賃上げにより、プラス圏へ向かうトレンドにある(下のチャート、赤の棒グラフを参照)。

国内の物価と実質賃金の動向:2020年以降



現時点で短期金融市場は7月の追加利上げを意識する状況にあるが、その確率は五分五分となっている。

7月8日に5月の毎月勤労統計調査が公表されるが、それを待たずして今日の会合で植田総裁が景気の回復と労働力不足などを理由に賃金が今後も上昇基調を維持する公算が大きいとの見通しを示す場合、短期金融市場では7月の追加利上げを強く意識するだろう。このケースでは、円の買戻しを想定しておきたい。

しかし「米金利の低下→日米利回り格差の縮小」でもドル円(USD/JPY)は底堅さを維持している。この状況を考えるならば、日銀会合の結果と植田総裁の会見内容が円買いの要因となっても、調整の範囲内でおさまる展開を想定しておきたい。

今日は、以下で述べるチャート水準の攻防に注目したい。


ドル円の展望とチャート分析

158.00トライを意識する状況が続く

ドル円(USD/JPY)のトレンドを日足チャートで確認すると、21日線がサポートラインとなっている(下のチャート、緑ライン、156.58レベル)。

一方、上昇の局面では157.50レベルがレジスタンスの水準として意識されている(下の日足チャート、赤矢印を参照)。

上で述べたとおり、日米の利回り格差が縮小の傾向にあってもドル円は底堅さを維持している。この状況を考えるならば、今のドル円は焦点は、157.50レベルの上方ブレイクとIG為替レポートで何度も取り上げている重要なレジスタンスの水準「158.00」のトライにある。

反落の局面ではサポートラインの維持が焦点に

しかし今日の日銀イベントは、一時的な円高の要因となる可能性がある。

ドル円(USD/JPY)が下値をトライする場合、最大の焦点は、今の上昇トレンドを象徴している短期サポートラインの維持となろう。このラインは今日現在、155.60レベルで推移している。そして、すぐ下の水準155.50には50日線が推移している。

これらテクニカルラインは、5月以降の円高を止めた経緯があるだけに、日銀イベントで円高となっても、その流れを止める可能性がある。

ドル円のチャート:日足 23年12月以降

ドル円のチャート:日足 23年12月以降 TradingView提供のチャートで作成


50日線の下方ブレイクと3つのチャート水準

日銀会合の結果や植田総裁の会見を受け、ドル円(USD/JPY)が50日線を下方ブレイクする場合は2つのチャート水準、6月4日の安値154.50レベルまたは5月16日の安値153.60レベルで相場が反転するかどうか?これらの点が焦点として浮上しよう。

上2つのチャート水準の間には、直近高安のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準154.09レベルがある。ドル円がこの水準を下方ブレイクする場合は、153円台へ下落するシグナルと想定しておきたい。

ドル円が153円台の攻防となる場合は、上で述べた153.60レベルまでの下落を警戒したい。しかし、現在の地合いの強さを考えるならば、日銀イベントでドル円が下落しても、急激に反発する展開が予想される。

時間足のストキャスティクスとRSIで相場の短期的な過熱感を追い、これらが買われ過ぎ(売られ過ぎ)の水準でデッドクロス(ゴールデンクロス)の状況にある時、ドル円が上で述べたチャートの水準をトライする場合は、反落(反発)へ転じる可能性を意識したい。

ドル円のチャート:4時間足 4月24日以降

ドル円のチャート:4時間足 4月24日以降 TradingView提供のチャートで作成

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