円安進行、ドル円は米PCEにらみ 今日の見通しとテクニカルライン
外為市場では円安が進行している。ドル円は現在151円の攻防にある。今晩の2月米PCEデフレーター次第では200日線が視野に入ろう。反落の局面では一目転換線の維持が焦点となろう。

記事のサマリー
外為市場で円安が進行している。日米利回り格差の縮小が一服し、ドル円は現在151円の攻防にある。今晩の2月米PCEデフレーターが予想外に上振れる場合は、200日線のトライが視野に入ろう。一方、PCEデフレーターでインフレ再燃の懸念が後退する場合は、日足一目転換線の維持が焦点となろう。
日米利回り格差の縮小が一服、ドル円は151円へ反発
現在の円相場は、日銀の追加利上げを意識した円高が一服し円安優勢の状況にある。3月10日を境に日米利回り格差の縮小が一服。この動き連動しドル円(USD/JPY)は反発トレンドへ転じている。昨日の外為市場では151円へ上昇し、今日の東京時間に高値151.21をつける局面が見られた。
日米の利回り格差の動向:日足 年初来

ブルームバーグの為替データで筆者が作成
米PCEデフレーターにらみ
日銀の追加利上げを意識した円高は一服している。しかし、国内の債券市場では10年債利回り(長期金利)が1.6%を視野に上昇基調を維持している。現在の米債市場ではトランプ関税の影響によるインフレ再燃が意識され米金利が上昇基調にあるが、今晩の2月米個人消費支出価格指数(以下ではPCEデフレーター)でインフレ再燃の懸念が後退する場合は、「米金利の低下→日米利回り格差の縮小→円高」の展開を想定したい。
一方、PCEデフレーターが予想外に上振れすれば、米金利の上昇要因となろう。ブルームバーグの市場予想をみると、市場参加者が注視するコア指数でインフレの粘着性が示される可能性がある。インフレ再燃の懸念を強める内容となれば、ドル円(USD/JPY)は以下にまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。
米国 PCEデフレーター:直近1年間の動向

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:2月の予想
ドル円 今日の見通しと注目のテクニカルライン
151.25突破なら200日線の攻防が焦点に
23日のIG為替レポートでは、ドル円(USD/JPY)の週間予想レンジの上限をフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準151.25レベルとした(日足チャートを参照)。本レポート掲載時点では、この水準がレジスタンスラインとして意識されている。だが、今晩のPCEデフレーターが米金利の上昇要因となれば、ドル円は151.25レベルを上方ブレイクする可能性が高い。実際に151.25を突破する場合は、レンジの上限を151.60レベルと想定したい。この水準には現在、200日線が推移している。また、2月12日の高値と3月11日安値のフィボナッチ・リトレースメント61.8%戻しでもある。2つの重要なテクニカルラインが重なる151.60レベルは、テクニカルの面でレジスタンスラインとして意識されやすいだろう。
筆者の予想を超えて米ドル高・円安が進行する場合は、151.60レベルの突破と152.00のトライを想定したい。またこのケースでは、反落の局面で200日線がサポートラインへ転換するか?この点も重要な焦点となろう。
レジスタンスライン
・152.00:レジスタンスライン(4時間足)
・151.65:61.8%戻し(日足)
・151.58:200日線(日足)
・151.25:38.2%戻し(日足)
反落の局面では149円の維持が焦点に
今晩の米PCEデフレーターでインフレ再燃の懸念が後退すれば、ドル円(USD/JPY)の反落を想定したい。しかし来週は、3月の米雇用統計など重要指標が控えている。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長を含め、FRB高官の講演も予定されている。ゴールデンクロスへ転じた後、ゼロラインを視野に上昇トレンドにあるMACDとゼロラインを上回る水準にあるモメンタムの動向も考えるならば、本日ドル円が下値をトライしても調整の反落となり、149円台を維持することが予想される。
テクニカルの面では転換線までの下落を想定しておきたい。まずは、2つのフィボナッチ・リトレースメント23.6%の攻防に注目したい(4時間足を参照)。後者のテクニカルラインを下方ブレイクする場合は、150円の下方ブレイクと転換線をトライするサインと考えたい。
筆者の予想を超える下落で転換線を下抜ける場合は、現時点での3月高安のフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準149.42レベルまでの下落を想定したい。
サポートライン
・150.49:23.6%戻し(4時間足)
・150.10:23.6%戻し(4時間足)
・149.70:日足一目転換線(日足)
・149.42:38.2%戻し(4時間足)
ドル円のチャート
日足:年初来

出所:TradingView
4時間足:3月7日以降

出所:TradingView
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