コンテンツにスキップする

外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません 外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません

【ドル円の週間見通し】売り交錯でレンジか 焦点は再び米経済指標に まずは3月PMIに注目

今週の外為市場では、米ドル売りと円売りが交錯する可能性がある。ドル円は短期のレンジ相場を想定したい。トレンドは米経済指標に左右されるだろう。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

記事のサマリー

外為市場では円高が一服している。円高圧力の後退はドル円の下支え要因となり、先週は150円へ反発する局面が見られた。しかし、投機筋は米ドル売りへ転じている。景気懸念で米金利の上昇が抑制されている状況も考えるならば、今週のドル円は米ドル売りと円売りが交錯するレンジ相場を想定したい。トレンドは米経済指標に左右されるだろう。ドル円の週間予想レンジは146.50~151.25。


円高の圧力が後退、ドル円はレンジ相場のムード

外為市場で円高の圧力が後退している。先週、明確に円高となったのは対豪ドルのみで、他の主要通貨では売り買いが交錯または円安優勢の展開となった(下の左グラフを参照)。月初来の変動率でも米ドル以外では円安優勢の状況にある(下の右グラフを参照)。

円相場の動向:対G10通貨

円相場の動向:対G10通貨

ブルームバーグの為替データで筆者が作成

日銀は追加の利上げ姿勢を維持している。しかし、植田和男総裁は先週19日の定例会見で海外の景気動向、特にアメリカのトランプ米政権が推し進める政策が同国経済に及ぼす影響を見極める必要性に言及し、追加の利上げ時期を慎重に見極める姿勢を示した。

国内の10年債利回り(長期金利)は1.5%台で高止まりしている。しかし今年の春闘で持続的な賃上げが確認され、かつ2月の消費者物価指数(CPI)コアの伸び率が前年比で3.0%とブルームバーグ予想の2.9%を上回り、3ヶ月連続で3%台を維持しても国内金利の上昇が抑制されている。日銀の追加利上げ期待による円高は、ひとまず一服ムードにある。

円高の圧力は後退している。しかし、今週のドル円(USD/JPY)は上昇幅が抑制されレンジ相場となる可能性がある。その要因となり得るが、投機筋の米ドル売りと上昇が抑制されている米金利の動向である。


米ドル売りへ転じる投機筋

米国商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、3月18日時点における非商業部門の米ドル(ICEドル指数)の買い越し(ネットロング)が、前週の1万6,835枚から7,188枚へ急減した。データ更新の時間差を考慮する必要はあるが、投機筋が米ドル売りへ転じていることは、ドル円の上値を抑制する一因となろう。

非商業部門のポジション動向:米ドル

非商業部門のポジション動向:米ドル

米国商品先物取引委員会(CFTC) / ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 3月18日時点


米債市場は景気懸念を意識、再び米経済指標にらみへ

今後、投機筋が米ドル売りを仕掛けるならば、その要因は米国経済の減速となろう。3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、声明文に「Uncertainty around the economic outlook has increased(経済の先行きを巡る不確実性が高まっている)」と記述した。

一方、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はFOMC後の定例会見で、労働市場と経済の底堅さについて言及した。関税に伴うインフレ率の上昇は「一過性」との認識を示した。コロナパンデミック時にも「一過性」の表現が用いられた。しかし、現実はインフレの進行と高止まりが続き、FRBは物価抑制で後手に回った。今回も「一過性」の予想が外れる場合は、インフレの粘着性が米国経済を支える個人消費の減少要因となろう。いくつかの経済指標ではこの点が示唆されている。昨年11月以降、ミシガン大学調査の消費者マインドが低下基調へ転じている。また、2月の小売売上は個人消費の縮小を示唆した。

注目は米債市場の動きである。景気の動向を反映して動く10年債利回り(長期金利、以下では米金利)は現在、4.1~4.3%のレンジで上下に振れている。労働市場と経済が底堅さを維持するなか、トランプ関税によるインフレ再燃も強く意識されているならば、今年1~2月の高水準4.6%台や4.8%台を視野に上昇してもおかしくない。しかし現在は、4.35%前後がレンジの上限として意識されている。インフレ再燃よりも経済が減速する可能性の方を意識していることを今の動きは示唆している。

今週の米債市場は、再び経済指標にらみの展開となろう。景気懸念を強める内容が続けば、レンジの下限4.1%を視野に米金利の低下、または下方ブレイクが予想される。米金利の低下は投機筋の米ドル売りの口実となろう。米ドル安は円安の影響を相殺し、ドル円(USD/JPY)の上昇を抑制するだろう。

米10年債利回り:4時間足 年初来

米10年債利回り:4時間足 年初来

出所:TradingView

今週注目の米経済指標は、24日の3月購買担当者景気指数(PMI)速報値、25日の3月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)、そして28日の2月個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)となろう。

まずは、企業活動の指数で近年注目されている24日の3月PMI速報値で米金利と米ドルが動く可能性がある。注目はサービス業の動向となろう。ブルームバーグがまとめた市場予想は51.0と、2月から横ばいの予想にある。総合は51.3と、2月の51.6から縮小する見通しにある。

今年に入り、製造業とサービス業の活動はともに低迷する状況にある。経済の先行き懸念が強まるなかで3月のデータが市場の予想を下回る場合は、米金利と米ドル売りの要因になり得る。このケースでは、ドル円(USD/JPY)の上値が抑制されよう。

一方、予想以上ならば米ドルの買い戻し要因となろう。後者のケースでのドル円は、以下で述べる週間の予想レンジ上限を視野に上昇幅の拡大を想定したい。

米国 購買担当者景気指数(PMI)の動向:直近1年間

米国 購買担当者景気指数(PMI)の動向:直近1年間

ブルームバーグのデータで筆者が作成


ドル円 今週の見通しとテクニカルライン

週間の予想レンジは146.50~151.25
今週の外為市場で米ドル売りと円の売りが交錯すれば、ドル円(USD/JPY)のレンジ相場を想定したい。週間の予想レンジは146.50~151.25。

日足のMACDはゴールデンクロスへ転じたが、ゼロラインを下回る水準にある。トレンドの強さを示すADXが低下の基調にあることも考えるならば、ドル円が上昇相場へ転じるムードにはない。上で述べた投機筋の米ドル売りと米金利の動向も考えるならば、今週の予想レンジ上限は今月3日にレジスタンスラインへの転換が確認された151.25レベルを想定したい。

ドル円が151.25レベルをトライするサインとして、2月28日と3月3日に日足ローソク足の実体で相場の上昇を止めた経緯がある半値戻しの水準150.67レベルの攻防に注目したい(日足チャート参照)。上限トライは米経済指標次第となろう。

レジスタンスライン
・151.25:予想レンジの上限(日足)
・150.67:半値戻しの水準(日足)
・150.14:3月19日の高値(日足)
・149.70:38.2%戻しの水準(日足)

一方、今週の米経済指標で景気懸念がさらに強まる場合、米金利は4.1%の水準をトライまたは下方ブレイクする可能性がある。国内の10年債利回り(長期金利)が1.5%台で高止まりしている状況で米金利の低下幅が拡大すれば、日米利回り格差が再び縮小しよう。このケースでは、ドル円の下値トライを意識したい。今週の予想レンジの下限を146.54レベルと想定し、まずは10日線の攻防に注目したい。この移動平均線の下方ブレイクは、147円台へ反落するサインと捉えたい。

147円台の攻防では、1時間足にプロットしたフィボナッチ・リトレースメント76.4%戻しの水準147.38レベルの攻防に注目したい。この水準は、13日の反落相場を止めた経緯がある。

サポートライン
・148.46:10日線(日足)
・147.38:76.4%戻しの水準(1時間足)
・147.00:サポートライン(日足)
・146.54:3月11日の安値、予想レンジの下限(日足)


ドル円のチャート

日足:年初来

日足:年初来

出所:TradingView

1時間足:3月10日以降

1時間足:3月10日以降

出所:TradingView

引き続き投機筋の円売りを警戒
ドル円(USD/JPY)の下支え要因として注目したいのが、投機筋の円売りである。先週の週間レポートでは、投機筋の円買い越しが2週連続で13万枚の高水準にあり、円安の要因になり得ると指摘した。

米国商品先物取引委員会(CFTC)が公表した最新のデータによれば、投機筋の円ロング解消で円の買い越し(ネットロング)が前週比で1万938枚減少した(3月18日時点)。円売りに傾いているわけではないため減少幅は限定的だった。しかし、日銀の追加利上げを意識した相場がひとまず一服するなかで円ロングが未だ高水準を維持する状況は、潜在的な円売りの要因として引き続き注目したい。投機筋が円売りに動けば、短期的にドル円を下支えする要因となろう。

非商業部門のポジション動向:日本円

非商業部門のポジション動向:日本円

米国商品先物取引委員会(CFTC) / ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 3月18日時点


本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

IG証券のFXトレード

  • 英国No.1 FXプロバイダー*
  • 約100種類の通貨ペアをご用意

* 英国内でのCFDまたはレバレッジ・デリバティブ取引(英国でのみ提供)での取引実績において、FX各社をメイン口座、セカンダリー口座として使用している顧客の割合でIGがトップ(Investment Trends UKレバレッジ取引レポート 2022年6月)

リアルタイムレート

  • FX
  • 株式CFD
  • 株価指数CFD

※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。

モーニングメール

ストラテジストによる「本日の予想レンジとトレンド」を毎朝※無料でお届け中! ※メール送信は基本的に月~金の平日を予定しておりますが、ストラテジストの都合により予告なく送信を行わない日がございますので、予めご了承ください

弊社の個人情報保護方針・アクセスポリシーにご同意の上、申し込みください。

こちらのコンテンツもお勧めです

IG証券はお取引に際してお客様がご負担になるコストについて明確な情報を提供しています。

FX/バイナリーオプション/CFDのリーディングカンパニー。IG証券について詳しくはこちら

その日の重要な経済イベントが一目でわかるカレンダー。「予想値」、「前回値」、「発表結果」データの提供に加え、国名や影響度によるイベントのスクリーニング機能も搭載。