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【ドル円の週間見通し】止まらぬ円高 米ドル安も進行なら138円が視野に 焦点はFOMCの利下げ幅

9月の米連邦公開市場委員会(FOMC、17~18日)が迫るなか、0.5%の大幅利下げ観測が強まっている。円高優勢のなかで米ドル安がさらに進行すれば、ドル円は140円を下方ブレイクする展開が予想される。140円以下で注目したい下値の水準は?

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記事のポイント

・9月に入り、外為市場では再び円高が進行している
・9月FOMCの最大の焦点は、利下げの幅にある
・FRBが0.5%の大幅利下げを決定すれば、米ドル安が進行しよう
・ドル円は138円を視野に下落幅の拡大を想定する局面にある


円高の進行

9月に入り、外為市場では再び円高が進行している。先進国通貨、新興国通貨問わずにである。特にリスク資産との連動性が高いオセアニア通貨(NZドル、豪ドル)で円高が進行している。この状況は、市場参加者が景気不安によるリスク回避相場を警戒していることを示唆している。

一方、ドル円(USD/JPY)は、節目の140円が視野に入る。この水準を完全に下方ブレイクすれば、さらなる下値トライの可能性が高まるだろう。

円相場の騰落率:9月1日~9月13日

円相場の騰落率:9月1日~9月13日

ブルームバーグの為替データで筆者が作成

円買いを仕掛ける投機筋

円高が進行している要因の一つに、投機筋の買いが挙げられる。米国商品先物取引委員会(CFTC)のデータによれば、円の買い越し(ネットロング)が55,770枚まで積み上がってきた(9月10日時点)。2016年10月以来の高水準である。

投機筋のポジション動向:日本円 / 9月10日時点

投機筋のポジション動向:日本円 / 9月10日時点

CFTCとブルームバーグのデータで筆者が作成

9月のFOMC、最大の焦点は利下げ幅に

今週は円高だけでなく、米ドル安の進行も想定しておく必要があろう。

17~18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。先週、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)とフィナンシャル・タイムズ(FT)の両紙が0.5%の大幅利下げの可能性について報じた。

CMEのFedWatch ツールによれば、0.25%利下げと0.5%利下げの確率が五分五分の状況にある。どちらに転ぶか分からない以上、9月FOMCの最大の焦点は利下げの幅となろう。パウエルFRBが0.5%の大幅利下げを決定する場合、外為市場では米ドル安が進行することが予想される。

9月FOMCの利下げ確率:日次ベース 7月以降

9月FOMCの利下げ確率:日次ベース 7月以降

出所:CMEのFedWatch ツール / 9月14日時点

しかし、9月FOMCでの大幅利下げの可能性については、IG為替レポートで何度も取り上げてきた。

本レポートで重視しているのがOISに基づく予想確率である。それによれば、今週のFOMCでパウエルFRBは5.0%へ政策金利を引き下げることを前から織り込んでいる。また、今年の12月までに政策金利を4.2%~4.3%台まで引き下げることも織り込み始めている。

9月のFOMCで0.5%の大幅利下げを見送っても、11月か12月の会合でそれを決定する可能性があることを考えるならば、9月FOMC以降の外為市場では米ドル安がさらに進行する展開を想定しておきたい。

短期金融市場 FOMC政策金利の予想推移

短期金融市場 FOMC政策金利の予想推移

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 9月13日時点

ドル円の週間見通し、138円が視野に

140円の下方ブレイク

今週は、円高と米ドル安が同時に進行する可能性がある。ゆえに、ドル円(USD/JPY)は140円のトライおよびブレイクアウトを想定しておきたい。

ドル円の下落幅が拡大する可能性については、通貨オプション市場の参加者も意識している。リスクリバーサルの動向を確認すると、1週間と1ヶ月のそれが再びドルプットへ傾き始めている。一方、1週間の予想変動率は、9月5日以来となる15%台まで上昇している。

リスクリバーサルと予想変動率の動きは、通貨オプション市場の参加者がドル円の下落と140円のトライを意識していることを示している。ドル円が節目の140円を完全にブレイクアウトすれば、下落幅の拡大が予想される。

ドル円のリスクリバーサルと予想変動率:日足 2024年7月以降

ドル円のリスクリバーサルと予想変動率:日足 2024年7月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

138円の攻防が視野に

ドル円(USD/JPY)のトレンドを週足チャートで確認すると、下値の支持線を完全に下方ブレイクし、2023年1月の安値127.22レベルと2024年7月の高値161.95レベルのフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準140.49レベルの攻防にある。先週は安値140.28まで下落し、このテクニカルライン(140.49)を下方ブレイクする局面が見られた(下の週足チャート、黒矢印を参照)。

上で述べたとおり、外為市場では再び円高が進行している。投機筋の円買いも見られる。景気不安によるリスク回避の再燃も円高の要因として警戒する必要があろう。つまり、現在の円相場は円高へ振れる要因に囲まれている。

この状況でパウエルFRBが0.5%の大幅利下げを決定すれば、円高と米ドル安が同時に進行する展開が予想される。このケースでのドル円は、節目の140円をあっさりと下方ブレイクするだろう。大幅利下げの期待が高まれば、FOMCを前にドル円が140円を下方ブレイクすることも十分にあり得る。

いずれにせよ、ドル円が節目の140円を完全にブレイクアウトすれば、138円を視野に下落幅の拡大を予想する(下の週足チャート、赤ラインを参照)。この水準は、昨年の5月から7月にかけてサポートラインへの転換が確認された重要な水準である。

円高と米ドル安の進行で138円をも下方ブレイクする場合は、中長期的にフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準135.42レベルを視野に下落幅の拡大を警戒したい。

ドル円:週足 2022年7月以降

ドル円:週足 2022年7月以降

出所:TradingView

ドル円の反発局面では戻り売りを意識

9月FOMCでの0.5%利下げの可能性が急浮上するなかで、利下げ幅が0.25%にとどまれば、米ドルの買戻しが予想される。このケースでは、ドル円(USD/JPY)の反発を予想する。

しかし、日足のMACDとRSIの動向、上で述べた円相場を取り巻く状況、そして日銀が追加の利上げを模索している状況も考えるならば、ドル円は新たなサポートの水準が定まるまで、下落相場を意識する状況が続くだろう。ゆえにドル円の反発局面では、戻り売りを常に意識したい。

ドル円の反発を止める可能性があるテクニカルラインとして10日線、21日線そして上値の抵抗線(レジスタンスライン)に注目したい。

これら3つのラインの他、144.00レベルも重要なレジスタンスポイントである(下の日足チャート、赤ラインを参照)。この水準はサポートからレジスタンスのラインへ転換している。また、すぐ下にはレジスタンスラインが推移し、今週は21日線が144.00と交錯する。ドル円が140円の維持に成功しても、現状では144円レベルまでの反発が限界と想定しておきたい。

ドル円:日足 2024年6月以降

ドル円:日足 2024年6月以降

出所:TradingView


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