【ドル円の見通し】円相場にトランプ砲も根強い円安、米ISM非製造業指数で上振れ警戒
景気不安を強めた米経済指標とトランプ米大統領の円安けん制発言が重なり、ドル円は昨日148円台へ下落した。しかし円安の圧力は根強い。今日のドル円は、2月の米ISM非製造業景気指数で上下に大きく振れる展開が予想される。

記事の概要
米国の景気不安が高まるなか、トランプ米大統領は3日、円安をけん制した。4日の市場でドル円は148.09レベルまで下落する局面が見られた。今のドル円は下値を意識する状況にある。しかし円安の圧力は根強い。投機筋の円買い越し(ネットロング)が過去最高の水準まで積み上がっている。これらの状況を考えるならば、今晩の2月米ISM非製造業景気指数で米国の景気不安が後退すれば、ドル円の上振れリスクを警戒したい。今日の予想レンジは148.0~151.00。
トランプ米大統領のけん制も根強い円安の圧力
アメリカのトランプ大統領は3日、日本が通貨安を誘導してきたと主張した。この問題に対処するため、関税を課す考えも示した。
米国の景気不安が高まっている状況でトランプ米大統領が円安をけん制したことで、4日の外為市場は円高へ振れる局面が見られた。ドル円(USD/JPY)は148.09レベルまで米ドル安・円高が進行した。しかし円買いは続かなかった。海外時間でドル円は149.90の手前まで急反発した。また、対欧州通貨でも円が下落したことで、昨日はG10 通貨で円安優勢の展開となった。
今のドル円は、新たな下値の水準を見極める状況にある。しかし、昨日の円安圧力の根強さを考えるならば、強い米経済指標によるドル円の上振れリスクも警戒する状況にある。
円相場の動向:3月4日

ブルームバーグの為替データで筆者が作成 / 対G10通貨の動向
今日の焦点は米ISM非製造業景気指数、ドル円の上振れリスクを警戒
今週のドル円(USD/JPY)は米経済指標にらみの1週間になると、週間見通しのIG為替レポートで指摘した。
2月の米ISM製造業景気指数が景気不安を強める内容となり、3日のドル円は下落した。今日は2月の非製造業景気指数が発表される。ブルームバーグがまとめた市場予想では52.2と、1月の52.8から縮小の見通しにある。
内訳にも注目したい。先行指標の新規受注は1月の51.3から51.5と、小幅な拡大が見込まれている。一方、雇用は52.3から51.6へ縮小する見通しにある。仕入れ価格は60.4と、1月から横ばいが見込まれている。
米国 ISM非製造業景気指数:24年1月~12月

ブルームバーグのデータで筆者が作成
アメリカ労働者の約8割がサービス業に従事していると言われている。国内総生産(GDP)に占める割合も大きい。ゆえに、内訳も含めて今晩のISM非製造業景気指数が景気不安を高める内容となれば、「米金利の低下→日米利回り格差の縮小→米ドル安・円高」の展開を想定したい。
一方で、強い経済指標でドル円が上振れする展開も意識したい。トランプ米大統領の円安けん制を受けても、4日の円相場は海外時間で円安に振れた。円安圧力の根強さが確認された状況でISM非製造業景気指数が景気不安を後退させる内容となれば、ドル円の上昇幅が拡大する可能性があろう。
過去最大に積み上がる投機筋の円買い越し、短期の円安要因に
今のドル円(USD/JPY)は、新たな下値の水準を見極める状況にある。それでも強い米経済指標で上振れリスクを警戒する理由がもう一つある。それが投機筋のポジション動向である。
米国商品先物取引委員会(CFTC)が公表している非商業部門の取組高によれば、投機筋は2月以降円買いを仕掛け、2月25日時点で円買い(ロング)は17万1,751枚と、過去最大の状況にある。買い越し額(ネットロング)も9万5,980枚と過去最大に積み上がっている。
この状況で強い米経済指標が確認される場合は、投機筋の円買いポジションを修正するきっかけになり得る。強い経済指標による米金利の反発と投機筋の円売りが重なる場合、ドル円は下でまとめたレジスタンスラインの攻防を意識したい。
投機筋の円ポジション動向:週次 2024年7月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成
ドル円 今日の見通しとテクニカルライン
今日のレジスタンスライン、151円までの上振れを警戒
上で述べたとおり今日のドル円(USD/JPY)は、2月の米ISM非製造業景気指数の後に大きく動く展開が予想される。ISM指数が予想外に強い内容となれば、151円台へ上振れする展開を想定したい。今日の予想レンジ上限は151.00レベル。
・ドル円は現在、10日線を上方ブレイクする状況にある。日足のMACDはゴールデンクロスへ転じつつある。モメンタムはゼロラインを視野に反発している。強い米経済指標で投機筋が円買いポジションの調整に動けば、これらテクニカル指標で地合いの弱さが後退するサインが点灯しよう。このケースでは、150.00ラインの突破と日足ローソク足実体ベースで上昇を止めているフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準150.65レベルの攻防を想定したい
・ドル円が38.2%戻しを突破する場合は、今日現在150.95前後まで低下している21日線のトライを想定したい。この移動平均線の上方ブレイクは、今日の予想レンジの上限である151.00レベルをトライするサインとなろう
・筆者の想定を超えてドル円が上振れする場合は、直近高安の半値戻しの水準151.45レベルまで急反発する可能性がある。だが、日米利回り格差の縮小が続いている状況を考えるならば、151円台では戻り売りを意識したい
レジスタンスライン:日足
・151.45:半値戻し
・151.00:予想レンジ上限
・150.95:21日線(日足)
・150.65:フィボナッチ・リトレースメント38.2%
・150.00:レジスタンスライン
今日のサポートライン、148円の維持が焦点に
2月の米ISM非製造業景気指数で景気不安がさらに高まる場合は、「米金利の低下→日米利回り格差の縮小→米ドル安・円高」の展開を想定したい。米株安が進行すればリスク回避の円高も重なり、ドル円(USD/JPY)の下落幅が拡大することが予想される。今日の予想レンジ下限は、昨日の安値148.09レベル。
・ドル円の下落局面では、15分足にプロットしたサポートラインの攻防に注目したい。149.60から148.60にかけてのラインはいずれも、サポート転換の可能性がある。本日東京時間の序盤では、最初のサポートラインである149.60レベルをトライする局面が見られた
・フィボナッチ・リトレースメントの23.6%戻し、半値戻しそして76.4%戻しは、今回取り上げたサポートライン付近と重なる
・148円のミドルを下方ブレイクする場合は、昨日の安値レベルであり、かつ今日の予想レンジの下限でもある148.09をトライする展開を想定したい
サポートライン:15分足
・149.60:サポートライン、23.6%戻し
・149.00:サポートライン、半値戻し
・148.60:サポートライン、76.4%戻し
・148.09:昨日の安値、予想レンジ下限
ドル円のチャート
日足:2025年以降

出所:TradingView
15分足:3月4日以降

出所:TradingView
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

IG証券のFXトレード
- 英国No.1 FXプロバイダー*
- 約100種類の通貨ペアをご用意
* 英国内でのCFDまたはレバレッジ・デリバティブ取引(英国でのみ提供)での取引実績において、FX各社をメイン口座、セカンダリー口座として使用している顧客の割合でIGがトップ(Investment Trends UKレバレッジ取引レポート 2022年6月)
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。