ドル円の反発拡大、日米利回り格差の縮小一服で 米CPI次第では154円台が視野に
米金利の反発で日米利回り格差の縮小が一服している。今晩の米消費者物価指数(CPI)でインフレの粘着性が示される場合、ドル円はさらに反発することが予想される。
![Source:Bloomberg](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/uk/images/news-article-image-folder/bb_USDJPY_Japan_flag_14_11_2024.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
記事の概要
期待インフレ率の上昇をきっかけに米債市場では利回りが反発へ転じている。米金利の反発を受け日米利回り格差の縮小が一服している。今日以降はアメリカ物価指数の発表が続く。今晩は1月の消費者物価指数(CPI)が材料視されるだろう。インフレの粘着性を示す内容となれば、米金利の反発がさらに進行することが予想される。ドル円は154円台への上昇を想定する状況にある。
日米利回り格差の縮小が一服、ドル円は153円後半へ反発
9日の週間為替レポートでは、今週のドル円(USD/JPY)は円高の逆回転相場を警戒したい、と述べた。
現在のところ、見通しどおりドル円は反発相場にある。主因は米債市場の動きにある。10日の米国株レポートと今日のコモディティレポートで指摘したとおり、ミシガン大学の調査による2月の期待インフレ率が急上昇したことを受け、インフレ再燃の懸念が米金利の反発を促す状況にある。
その結果、先週まで円高相場をけん引してきた日米利回り格差の縮小が一服し、ドル円は153円後半へ反発する状況にある。
日米利回り格差の動向:2024年9月以降
![日米利回り格差の動向:2024年9月以降](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/US_JP_YieldSpread_250212.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
ブルームバーグのデータで筆者が作成
米CPI次第でドル円はさらなる反発も
今日は1月のアメリカ消費者物価指数が発表される。ドル円(USD/JPY)のトレンドを左右することが予想される。注目は、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数となろう。ブルームバーグがまとめた市場予想では前月比で0.3%と、昨年12月の0.2%から伸びる見通しにある。一方、前年同月比は3.2%から3.1%へ鈍化する見通しにある。
アメリカ消費者のインフレ期待が上昇するなか、CPIがインフレの粘着性を示す場合は、さらなる米金利の反発を促す要因になり得る。米金利の反発は日米利回り格差の拡大を促し、ドル円は154円台への反発が予想される。
米国 消費者物価指数の動向:2024年1月~12月
![米国 消費者物価指数の動向:2024年1月~12月](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/US_CPI_250212.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:1月の市場予想
一方、米CPIでインフレ再燃の懸念が後退すれば、米金利の低下が予想される。このケースではドル円の反落を想定したい。
通貨オプション市場ではプットオーバーの動きが一服している。予想変動率も低い水準で安定的に推移している。これらの状況を考えるならば、米CPIが市場の予想から相当下振れしない限り、ドル円の下落幅は限定的となることが予想される。
ドル円のリスクリバーサルと予想変動率:2024年7月以降
![ドル円のリスクリバーサルと予想変動率:2024年7月以降](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/USDJPY_RiskReversal_250212.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
ブルームバーグのデータで筆者が作成
ドル円の見通しと注目のテクニカルライン
154円台の攻防が視野に
直近のドル円(USD/JPY)の動きを日足チャートで確認すると、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準151.06レベルでサポートされ反発ムードが強まり、本レポート掲載時点で高値153.70台まで上昇する局面が見られた。MACDはゴールデンクロスへ転じるムードにある(日足チャート、黒矢印を参照)。上で述べた通貨オプション市場の動きも考えるならば、今のドル円は上値トライを意識する状況にある。今晩の米CPI次第では154円台の攻防へシフトする展開を想定したい。
・今晩の米CPIが米金利の上昇要因となれば、ドル円は154円台への反発を想定したい。今日現在、153.95レベルには89日線が推移している。反落の局面でこの移動平均線が相場をサポートする場合は、地合いの強さを印象付けよう
・ドル円が154円台へ上昇する場合は、21日線のトライを想定したい。この移動平均線は今日現在、154.50レベルで推移している。このテクニカルラインをも突破する場合は、昨年12月以降の高安で算出されるフィボナッチ・エクステンション38.2%の水準154.84レベルのトライが視野に入ろう
レジスタンスライン:日足
・154.84:フィボナッチ・エクステンション38.2%
・154.49:21日線
・154.00:レジスタンスライン
・153.95:89日線
反落の局面では152円台の維持が焦点に
15分足のストキャスティクスとRSIは短期的な買いの過熱感を示唆している。この状況で今晩の1月CPIが米金利の低下要因となれば、ドル円(USD/JPY)の反落を想定したい。焦点は152円台の維持となろう。以下にまとめたサポートラインの攻防に注目したい。
・今晩の米CPIがドル円の反落要因となれば、まずは153円の維持が焦点となろう。直近高安のフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準153.24の下方ブレイクは、153.00をトライするサインと捉えたい。すぐ下の152.93レベルはフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準にあたる。153.00とサポートゾーンを形成する可能性がある。ドル円は現在、上値トライの状況にある。高値更新の局面では、その都度新たなフィボナッチ・リトレースメントの水準を確認したい
・ドル円が152.90-153.00のサポートゾーンを完全に下方ブレイクする場合は、サポートラインへ転換する可能性がある152.60レベルのトライを想定したい
・今晩の米CPIが市場予想から大きく下振れする場合は、152.60レベルを瞬間的に下方ブレイクする可能性がある。このケースでは、昨日相場をサポートした152.20レベルまでの反落を想定しておきたい
サポートライン:15分足
・153.24:フィボナッチ・リトレースメント23.6%
・153.00:サポートライン
・152.93:フィボナッチ・リトレースメント38.2%
・152.60:サポート転換の可能性あり
・152.20:サポートライン
ドル円のチャート
日足:2024年11月以降
![日足:2024年11月以降](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/USDJPY1_20250212.png)
出所:TradingView
15分足:2月11日以降
![15分足:2月11日以降](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/jp/images/news-and-analysis/2025/USDJPY_20250212.png/jcr:content/renditions/original-size.webp)
出所:TradingView
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
![](http://a.c-dn.net/c/content/dam/publicsites/igcom/uk/images/Rebrand/Article_banners/Forex-global-component-banner.jpg/jcr:content/renditions/original-size.webp)
IG証券のFXトレード
- 英国No.1 FXプロバイダー*
- 約100種類の通貨ペアをご用意
* 英国内でのCFDまたはレバレッジ・デリバティブ取引(英国でのみ提供)での取引実績において、FX各社をメイン口座、セカンダリー口座として使用している顧客の割合でIGがトップ(Investment Trends UKレバレッジ取引レポート 2022年6月)
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。