止まらない円安、米CPIでさらに進行も ドル円は157.00をロックオン
円安が止まらない。昨日もクロス円を中心に円安が進行した。ドル円(USD/JPY)は157円を視野に上昇トレンドにある。今晩の米国消費者物価指数(4月、CPI)が強い内容となれば、ドル円は157円台へ上昇することが予想される。一方、米CPIが米ドル安の要因となれば155円台の維持が焦点となろう。
サマリー
・植田日銀のタカ派姿勢や米金利の上昇が抑制されても、円安が止まらない状況に
・今日の重要イベントは、4月の米国消費者物価指数(CPI)となろう
・ドル円は157.00をロックオン、米CPIの内容次第では158.00が視野に
・ドル円が反落する場合は、21日線と155.00の攻防に注目したい
止まらない円安
円安の進行が止まらない。
14日の外為市場は、クロス円を中心に円安優勢の展開となった。
昨日は「米金利の低下→米ドル安」となったが、ドル円(USD/JPY)は円安に下支えされ157.00レベルを視野に上昇トレンドを維持。高値156.78レベルまで上昇した。
ユーロ円(EUR/JPY)は169円台、ポンド円(GBP/JPY)は197円台の攻防へシフトしている。
植田日銀が円安対応で「タカ派」の姿勢に転じ、かつ米債市場で利回りの上昇が抑制されても、円安が進行している今の状況は、「日本円は売り」という市場参加者の思惑がいかに強いのかを示唆している。
円相場の動向:5月14日
今日の重要イベントは米消費者物価指数(CPI)
今日の重要イベントは、4月の米国消費者物価指数(CPI)となろう。
昨日発表された4月の生産者物価指数(PPI)は市場予想を上回った。一方、3月は総じて下方修正され評価の難しい内容となった。
しかし、アメリカのインフレ動向を見極めるうえで多くの市場参加者は、PPIよりもCPIを重視する。ゆえに今晩の4月CPIは各市場のトレンドを大きく動かす重要なイベントとなろう。
下で述べるとおりCPIの内容次第では、予想を上回った4月PPIもあらためて意識される可能性がある。
米国 消費者物価指数の動向:23年以降
米CPI後の各市場の展望
4月の米CPIが予想以上となり、インフレの粘着性があらためて確認される場合は、昨日の4月PPIの強い結果があらためて意識される可能性がある。このケースでは、「インフレの粘着性→利下げ期待の後退」を受け、米金利の反発と米株安の展開が予想される。
米金利の上昇とリスク回避の相場(株安)が同時に発生する場合、外為市場では米ドル高の圧力が最も高まりやすい。
予想を上回ったPPIに米金利は低下で反応した。この状況で4月CPIがインフレの鈍化傾向を示す場合は、米金利の低下幅が拡大することが予想される。米金利の低下は米国株の上昇要因となろう。
そして米金利の低下と米株高が同時に発生する状況は、外為市場で米ドル安の圧力を最も高めることになろう。
4月CPIが米ドル高の要因となる場合、米ドル相場のトレンドを示すドルインデックス(DXY)は、21日線のトライそして上方ブレイクが焦点となろう。この移動平均線は今日現在、105.58レベルで推移している。
一方、4月CPIが米ドル安の要因となる場合は、50日線を視野に下落幅の拡大が予想される。50日線を一気に下方ブレイクする場合は、短期サポートラインのトライが焦点として浮上しよう。50日線は今日現在、104.76レベルで推移している。
ドルインデックスのチャート:日足 23年12月以降
ドル円:今日の見通しとチャート分析
円安圧力の強さを示す「相関崩し」
円安の対応で植田日銀は「タカ派」の姿勢へ転じている。これを受け、国内の金利は緩やかに上昇している。一方、米債市場では利回りの上昇が抑制されている。これらの動きを反映し、日米の利回り格差は縮小の傾向にある(下のチャートを参照)。
しかしドル円(USD/JPY)は昨日、156.78レベルまで上昇した。今の円安の圧力は、ドル円と日米の利回り格差の相関関係を崩すほど強いということを示唆する動きである。
日米の利回り格差とドル円のチャート:日足 23年4月以降
157.00をロックオン
円安が進行している状況を考えるならば、今日のドル円(USD/JPY)も上値トライを意識したい。今晩の4月米CPIが予想以上となれば、米ドル高の展開が予想される。
円安が進行するなかでの米ドル高となれば、ドル円はIG為替レポートで注目している157.00レベル(フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準)のトライそして上方ブレイクが焦点となろう。
ドル円が157円台へしっかりと上昇する場合は、IG為替レポートで何度も取り上げている158.00レベルの攻防を意識したい。
4月29日に円相場が突如急伸した。その後の反発相場を止めたのが158.00レベルである。そして5月2日に再び円相場が再び急伸した。この時の高値水準も158.00レベルだった。
これら直近の動きを考えるならば、158.00レベルはレジスタンスの水準として意識される可能性が高い。
ドル円のチャート:1時間足 4月26日以降
CPIで反落する場合の焦点は?
一方、4月の米CPIでインフレが鈍化の傾向にあることが確認される場合は、米ドル安の要因となろう。このケースでは、ドル円(USD/JPY)の反落を想定しておきたい。
ドル円が反落する場合、目先の焦点は156円台の維持となろう。この水準は、サポート水準へ転換する可能性がある。
米ドル安の進行でドル円が155円台へ反落する場合は、今日現在155.30手前で推移している21日線の攻防を意識したい。この移動平均線の下方ブレイクは、155.00レベルをトライするサインとなろう。
その21日線をトライするサインとして、155.50-60の攻防に注目したい。155.50レベルは、先週10日から今週13日の東京タイムにかけて相場をサポートした経緯がある。一方、155.60レベルは直近高安のフィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準にあたる。
ドル円が上のサポートゾーンを下方ブレイクする場合は、21日線の攻防を意識したい。
分足や時間足のストキャスティクスおよびRSIで相場の過熱感を確認し、これらが売られ過ぎの水準にある局面でドル円が上のサポート水準をトライする場合は、反発相場を想定しておきたい。
ドル円のチャート:45分足 5月3日以降
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
IG証券のFXトレード
- 英国No.1 FXプロバイダー*
- 約100種類の通貨ペアをご用意
* 英国内でのCFDまたはレバレッジ・デリバティブ取引(英国でのみ提供)での取引実績において、FX各社をメイン口座、セカンダリー口座として使用している顧客の割合でIGがトップ(Investment Trends UKレバレッジ取引レポート 2022年6月)
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。