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ドル円の週間見通し:クリスマスウィークでも油断できず、突発的な円高を警戒

今週の外為市場は、クリスマスウィークの小動きが予想される。しかし、円相場は突発的な円高を警戒したい。ドル円の週間見通しと注目のテクニカルラインについて。

Source: Adobe images Source: Adobe images

円相場、今週は突発的な円高を警戒

今週はクリスマスウィークで、外為市場は欧米市場を中心に休場が続く。しかし、12月に入り急速に円安が進行している円相場は、以下で取り上げている国内のイベントで突発的に円高へ振れる展開を警戒したい。

円安のけん制

加藤勝信財務大臣は先週20日、足元での円相場について「一方的、また、急激な動きが見られると認識をしています。行きすぎた動きに対しては、適切な対応をとってまいりたいと考えております」と述べ、円安をけん制した。

ドル円(USD/JPY)が158円をトライする局面でのけん制だった。今週も円安の流れが続き、ドル円が再び158.00をトライする局面、または158.00を突破する場合は、けん制発言による突発的な円高を警戒したい。

12月の東京都区部消費者物価指数(CPI)

11月の全国消費者物価指数(CPI)は前年同月比で2.9%と、前月の同比2.3%から伸びが加速した。また、生鮮食料品を除くコア指数は前年同月比で2.7%、生鮮食品とエネルギーを除くコアコア指数は同比で2.4%増と、いずれも10月の同比2.3%から上昇した。22年4月以降、総合指数とコア指数は恒常的に2%を上回る状況が続いている。

27日に12月の東京都区部消費者物価指数(CPI)が発表される。ブルームバーグがまとめた市場予想は前年同月比で2.9%、生鮮食料品を除く指数は同比2.5%と、それぞれ11月の2.5%、2.2%から上昇する見込みにある。全国CPIに続き東京都区部CPIでもインフレの加速が確認される場合は、来年1月会合での追加利上げ期待の高まりと、円高の要因になり得る。

しかし、追加の利上げの判断について日銀の植田和男総裁は、来年の春闘を見極める必要性に言及した。ゆえに、東京都区部CPIが円高の要因となっても、それは突発的かつ一時的な動きで終わることが予想される。

東京都区部消費者物価指数(CPI):月次 23年11月以降

東京都区部消費者物価指数(CPI):月次 23年11月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

日銀「主な意見」、”タカ派議論”なら円高の要因に

日銀は27日、金融政策決定会合(18~19日開催)の「金融政策決定会合における主な意見」を公表する。19日の定例会見で植田和男総裁は、賃金と物価の好循環の強まりを確認するという視点から、「来年の春季労使交渉に向けたモメンタムなど、今後の賃金動向について、もう少し情報が必要」と述べ、追加利上げの判断には春闘での賃上げ動向を見極める必要性に言及した。

外為市場では“ハト派”的と捉えられた会見だったが、政策当局者間の議論で持続的な賃上げについて肯定的な見解が多く見られたり、早期の利上げについて積極的な意見が相次いだ状況が判明すれば円高の要因となろう。

高止まりの米金利、抑制される国内金利、拡大傾向の日米利回り格差

11月の米個人消費支出価格(PCEデフレーター)は、前月比と前年同月比でともに市場予想を下回った。20日の米債市場では利回りが低下した。しかしその幅は限定的であり、10年債利回り(長期金利)は4.5%台で高止まりしている。金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りも4.3%台で高止まりしている。インフレ再燃に対する懸念の根深さ、そして25年の利下げパスに対する不透明感を意識した動きと考えられる。

一方、国内の金利は上昇が抑制されている。11月の全国CPIが前月から上昇したが、10年債利回り(長期金利)は1.1%手前で上昇が抑制されている。2年債利回りも0.6%前後で同じく上昇が抑制されている。追加の利上げに対する日銀の慎重姿勢を意識した動きと考えられる。

これらの動きを受け、日米の利回り格差は拡大の傾向を維持している。上で取り上げた国内イベントが円高の要因となっても現在の日米金利の動向を考えるならば、突発的な円高で終わる展開を想定しておきたい。

日米の利回り格差:日足 7月以降

日米の利回り格差:日足 7月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成


ドル円、今週の見通しとテクニカルライン

下落の局面では移動平均線の攻防に注目したい

日足のMACDに大きな動きは見られない。一方、モメンタムは上昇から低下へ転じるムードにあり、強気相場の勢いに陰りが見え始めている。今週、ドル円(USD/JPY)が下値を目指す局面では、以下で取り上げたサポートラインの攻防に注目したい。

・まずは、156.00レベルの維持が焦点となろう。先週20日の市場では155.95レベルで反発した

・上で述べた国内のイベントで円高が進行する場合は、155円台で推移している5日線の攻防が焦点に浮上しよう。この移動平均線は今月5日以降、サポートラインとして意識されている

・突発的な円高が重なり、ドル円が155.00や12月19日の安値154.44を一気に下方ブレイクする場合は、瞬間的に10日線をトライする展開を想定しておきたい。だが、上で述べた日米金利の拡大傾向や予想変動率の低下を考えるならば、ドル円の下落は押し目買いの好機と考えたい

サポートラインのまとめ

・155.95:12月20日の安値
・155.20:5日線(日足、12/20時点)
・155.00:サポートライン
・154.44:12月19日の安値
・153.78:10日線(日足、12/20時点)


上昇の局面では158円の攻防が焦点に

突破的な円高には警戒が必要である。しかし、拡大傾向にある日米の利回り格差の他、通貨オプション市場の動向も考えるならば、ドル円(USD/JPY)は強気相場にある。今週は、以下で取り上げたレジスタンスラインでの攻防を注視したい。

・通貨オプション市場ではリスクリバーサルがドル・プットへ傾く状況が見られた。しかし、今夏の円高局面のような大きな変動は見られない。一方、1週間の予想変動率は低下している。ドル円が下値をトライしても、その幅は限定的となることが予想される

ドル円のリスクリバーサルと予想変動率:日足 9月以降

ドル円のリスクリバーサルと予想変動率:日足 9月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成

・ドル円の上昇局面では、158.00のトライおよびブレイクアウトが焦点となろう

・158円をトライするサインとして、以下で取り上げているフィボナッチ・リトレースメントの攻防に注目したい。半値戻しの水準156.93レベルは、レジスタンスラインへ転換する可能性がある。また、157.00の上方ブレイクを見極める重要な水準でもある。76.4%の水準157.45の上方ブレイクは、先週20日の高値157.92をトライするサインと捉えたい。157.92のブレイクアウトは、158.00をトライするサインとなろう

・ドル円が158円台へ上昇する場合は、国内サイドからの円安けん制とそれに伴う突発的な円高を警戒したい。一方、円安のけん制がない場合、またはそれがあっても円安で反応しない場合は、159円を視野に上昇幅の拡大を想定したい。テクニカルの面では、フィボナッチ・エクステンション61.8%の水準159.25の攻防が焦点になろう

レジスタンスラインのまとめ

・159.25:フィボナッチ・エクステンション61.8%(日足)
・158.00:レジスタンスライン(日足)
・157.45:フィボナッチ・リトレースメント76.4%(15分足)
・156.93:半値戻しの水準(15分足)
・156.80:レジスタンスライン(15分足)


ドル円のチャート

日足:24年9月~12月20日

日足:24年9月~12月20日

出所:TradingView

15分足:12月20日の動向

15分足:12月20日の動向

出所:TradingView


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